真紅の旗 其れは革命の色 序章 2 ゲネーラル・フェルトマーシャルの独語
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ドイツ第3帝国占領下であるモスクワの、国防軍陸軍ロンメル軍集団司令部庁舎軍集団司令官室で、麾下の各軍司令部から提出された書類に目を通していたエルヴィン・ヨハネス・オイゲン・ロンメル元帥は、本国首都ベルリンにある国防軍陸軍参謀本部から、第1級通信を受けた。
ロンメルは、上級大将以上の階級叉は、総統閣下からの特別な許可を得た者だけが見る事ができる、第1級通信文が入れられた、封筒を開けた。
軍集団司令官室には、ロンメル専属の高級副官であるクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐がいるが、彼は、ヒトラーからの直接命令を受けて、高級副官に抜擢されたため、第1級通信文の内容を知る事も、許されている。
「・・・・・・」
ロンメルは、内容を確認して、言葉を失った。
彼は席を立ち、壁に貼られている世界地図を眺めた。
「新ソ連を支援している、スペース・アグレッサー軍による攻勢で、イランが落ちた・・・か」
イギリスの支援下で建国された、イラク王国に駐留するイギリス陸軍イラク駐留軍も、イランに侵攻したスペース・アグレッサー軍に対し、国防軍陸軍の主力重戦車であるティーガーⅠや、ティーガーⅡを正面戦闘で撃破可能とされる、急造巡航戦車であるセンチュリオンで編成された1個戦車師団と、従来の巡航戦車及び歩兵戦車で編成された2個機甲師団、3個歩兵師団、イラク王国軍で編成された4個歩兵師団を投入したが、結果は惨敗である。
イギリス軍、インド帝国軍、イラク王国軍を合わせて、10万規模の大兵力にもかかわらず、敵は1個師団(約2万程度)で迎撃戦を行い、完全勝利を収めた。
「大佐。ポーランド及びフィンランドを、絶対防衛線とした防衛計画は、どこまで進んでいる?」
ロンメルは、副官であるシュタウフェンベルクに、語りかけた。
「はっ!モスクワを第1次防衛線とした防衛態勢を構築し、総統閣下の要請で、ヴェルサイユ条約機構軍、4ヶ国連合軍による3軍共同での防衛態勢を準備中です」
「それで、阻止できるか?」
ロンメルは、大軍を預かる元帥として、本来であれば発言してはならない発言をした。
「それは・・・」
シュタウフェンベルクも、言葉に詰まる。
今回の防衛作戦は、ドイツ第3帝国占領下のソ連に住むソ連国民の、ポーランドやフィンランドへの疎開が完了するまでの、時間を稼ぐ事である。
ベルリン首脳部は、アメリカ、イギリス、イタリアと協議し、占領下のソ連を守れないという事は、全員一致の考えである。
特にアメリカとイギリスは、太平洋で大日本帝国軍と共同の軍事行動を行っている、スペース・アグレッサー軍に対して、大規模な主力となる兵力を投入している。
アメリカ陸海軍が派遣した、ヨーロッパ派遣軍は、太平洋に送る事ができなかった、新兵器や兵員で、編成している。
とても数は、足りない。
その時、司令官室のドアを、ノックする音がした。
「入れ」
ロンメルの許可を得て、シュタウフェンベルクが、入室を許可した。
「失礼します。アメリカ合衆国陸軍ヨーロッパ派遣軍司令官の、ドワイト・デビット・アイゼンハワー元帥並びに、イギリス陸軍派遣軍司令官のバーナード・ロー・モントゴメリー元帥が、お越しになられました」
国防軍陸軍少佐が、報告する。
「そんな時間か、わかった。応接室に案内しろ」
「はっ!」
少佐は、ナチス式の敬礼をすると、司令官室を退出した。
「違うスペース・アグレッサー軍とはいえ、太平洋で彼らと戦った経験のあるアメリカと、イギリスが手を貸してくれるのであれば、どうにか、少しは打撃を与える事も可能かも知れない」
ロンメルは、つぶやいた。
アイゼンハワーも、モントゴメリーも、戦時特例で元帥に昇進した。
どちらの派遣軍も急造ではあるが、重戦車であるM26[パーシング]や、巡航戦車[センチュリオン](どちらも、オリジナルと言うより、もどきに分類するべき戦車)を保有した機甲軍を率いている。
時間稼ぎぐらいは、できるだろう。
しかし、大西洋、ヨーロッパ方面の最初の烽火は、大西洋上、フォークランド諸島近海で上がる。
後に、バトル・オブ・アトランティックオーシャンと呼ばれる、水上戦である。
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次回の投稿は4月24日を予定しています。




