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閑話 4

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 ハワイ諸島オアフ島航空自衛隊ヒッカム航空基地では、航空自衛隊麾下で編成されている施設部隊である航空施設隊第1航空施設隊と、海上自衛隊航空部隊麾下で施設部隊として機能する機動施設隊、陸上自衛隊第3施設団第14施設群による、ヒッカム航空基地の拡大工事が行われていた。


 滑走路の拡大だけでは無く、80年後の時代と同様に、真珠湾基地との合併が行われた。


 新しく作られた滑走路では、第1航空施設隊の1個隊が、滑走路の安全点検を行っている。


 その滑走路に隣接する新築の格納庫では、第10航空団第10飛行群第205飛行隊に所属する高居(たかい)(なお)()1等空尉が、同航空団整備補給群整備隊から借りた車輌用整備工具を使って、私物である自動二輪車の整備を行っていた。


 整備と言っても、自動車や自動二輪車の整備士が行う本格的な整備では無い。


 あくまでも、一般人ができる程度の簡単な整備だ。


「今日は、お友達とは一緒では無いのか?」


 隣で一緒に自動二輪車の整備を行っている、パイロットスーツを着た中年男性が声をかける。


「第205飛行隊に、新しく配属された新米パイロットの1人が、基地で遭難したそうですから、その捜索です。教官」


 高居は、整備をしながら答えた。


 因みに、単なる方向音痴が原因で、基地内で迷子になったらしい。


「そうか。まったく、俺の所にも新人パイロットが配属されたが、ヘリパイとしてのやる気が感じられない。口では、頑張りますと言っているが・・・」


 高居が教官と呼んだ男が、厳格な口調でつぶやく。


 しかし、それは不機嫌だからでは無い。


 顔つきも厳格であり、その声も元からだ。


 航空学生時代からの付き合いである高居や、親友である嘉村慶彦(きむらよしひこ)1等空尉は、良く知っている。


「ところで、いい加減、教官という呼称は、止めてくれないか?ここは、第12飛行教育団では無い」


「これは口癖です。教官」


 高居は改める様子も無く、彼を教官と呼称した。


 因みに嘉村も、同じ呼称である。


 彼は、菊水総隊航空自衛隊航空救難群第1航空救難隊に所属する、近代化改修機UH-60J(SP)の機長である本野(ほんの)(ふとし)3等空佐。


 固定翼航空機と、回転翼航空機両方のパイロット資格を有する航空自衛隊のパイロットとして、20年の経歴を持つベテランパイロットである。


 救難ヘリコプターのヘリパイになる前は、F-4EJ及び近代化改修されたF-4EJ改のファントム・ドライバーであった。


 F-4EJ改は、老朽化により退役が進み、ヘリパイに転向した。


 この時、彼はF-15J改への転向を、上官たちから進められたが、彼は即答で断った。


 本野は、F-4EJ改以外の戦闘機には乗らない、と叫んだそうだ。


 第1航空救難隊は、オアフ島ヒッカム航空基地を拠点に海上自衛隊救難航空群第1救難飛行隊に所属する、US-2と共同で救難活動を遂行する。


「よし!こんなものだろう」


 高居は、油で汚れた軍手を外し、工具を工具箱に戻した。


「どうだ。久しぶりに、バイクレースを一緒にやらないか?上の許可は取っているから、新しくできた滑走路を使って良いそうだ」


 本野が、バイクレースに誘う。


「いいですね。あいつがここに来たら、審判役になって貰いましょう」


 高居は、すぐに乗った。


 彼が言ったあいつとは、親友である嘉村の事だ。


「そうだな。あいつの判定は適格だろう」


 高居と本野が、工具箱を整備隊本部に返納し、外に出た。


「あっ!どいて!どいて!!」


「え?」


「?」


 高居と本野は、声がした方向に振り返る。


 ドン!!


 鈍い音と共に、高居が地面に倒れる。


「あ!大変だ!!」


 高居の顔面を、サッカーボールが直撃した。


「すみません!すみません!」


 サッカーボールを蹴った主は、第10航空団第10飛行群第205飛行隊に所属する女性パイロットである伊倉名波(いくらななみ)3等空尉である。


「前にもあったような・・・」


 本野が、その光景を眺めながら、つぶやいた。


「大丈夫ですか?」


 伊倉が慌てて、声をかける。


「そう言えば・・・君が航空学生1年目の時に最初の学科試験で悩んでいた時も、俺にサッカーボールをぶつけたな」


「???」


 高居が何かを思い出したかのようにつぶやく。


 確か、あの時は・・・





 あの時も、同じ様にサッカーボールを顔面で受けて、高居はぶっ倒れた。


「どうしよう!どうしよう!」


 オロオロとしていた伊倉だったが、突然。


「ここは・・・逃げる!!」


 と叫んで、猛ダッシュで逃げてしまった。


「普通、ここは大丈夫かと聞いてくる所だろう!!逃げるという選択肢は、何なんだ!!?」


 高居が叫んだ時には、伊倉の姿は無かった。





 そんな事もあったなと、心の中でつぶやく。


「まあ、何だ。嘉村が戻ってくるまで時間がある。その間、相談に乗ってやれ」


 本野も思い出したらしく、苦笑いを浮かべながら、顔面をさすりながら立ち上がる高居に告げた。


「了解しました」


 高居は、気持ちを切り替えて、伊倉に振り返った。


「あの時のように、サッカーをするか?」


「はい!よろしくお願いします!!」


 どうやら、伊倉は完全に忘れているようだが。


 高居の言葉に、伊倉は嬉しそうに笑顔になった。

 死闘南方戦線 閑話4をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

 来週及び再来週は息抜きのために間章と断章を投降いたします。

 次回は間章2話を投降いたします。

 投降予定日は4月3日を予定しています。

 IF外伝1の韓半島独立篇後編を4月5日を予定しています。

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