死闘南方戦線 終章 死神の休日
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
パラオ諸島ペリリュー島近海で、陸海空自衛隊及び新世界連合軍連合陸軍、連合海兵隊航空部隊の洋上基地として、[しょうない]型多機能輸送艦2番艦[ゆみがはま]が展開していたが、ペリリュー島の米仏連合軍を制圧した事から、本艦もマレー方面の攻略作戦に日本帝国海軍聯合艦隊第2艦隊、第2航空艦隊と共に参加する事になった。
原隊復帰した霧野は、部下とヘリ部隊を率いて、[ゆみがはま]に乗り込んだ。
「姐さん。お食事を、お持ちしました」
ものすごく怯えた口調で、御堂が霧野の分の食事を乗せたトレイを、彼女のテーブルに置いた。
「ご苦労、1佐」
霧野は、短く告げた。
因みに御堂は、霧野の原隊復帰の話を聞いた時、統合幕僚本部に勤務する氷室匡人2等海佐に、抗議の電話をした。
防衛局長官が、意見書という形でせよ、現場に口出しをするなど、黒幕がいなければあり得ない。
その黒幕が誰かと言えば、すぐ察しが付くというものだ。
その時の内容は、以下の通りだ。
「話が違うでは無いか!?氷室2佐、私が姐さんと顔を合わせても、しばらく彼女は、のほほんモードでいるから、これまでの仕返しをしても何も問題無い。と言ったでは無いか!!?」
御堂の抗議に、氷室は・・・
「確かに言いましたけど、しばらくとは、言った覚えはありません。あくまでも、今の所は・・・です。それに、僕は忠告したはずですよ。死神3佐の力は、この時代では必ず必要になる。だから、仕返しをするのも、程ほどに・・・と」
「裏切ったな、氷室2佐!!!死んでもお前を、恨み続けるからな!!!」
「はい、はい。どうぞ、ご自由に・・・」
であった。
そして御堂は、自分のしでかした事を、償っているのである。
「さすがは海自の食事。味付けから炊き方まで、パーフェクト。そして、御堂1佐の盛り付けも完璧」
霧野からの褒め言葉を受けて、御堂が頭を下げる。
「ありがたきお言葉です。姐さん」
「しかし・・・」
そこで、彼女の表情が変わった。
「量が少ない」
「ひっっっ!!すみません!姐さん!!」
御堂は慌てて、食堂の列を見る。
昼食の時間帯であるため、混んでいる。
「姐さん。小官の食事をどうぞ」
そこに現れたのが、辻であった。
どうやら霧野が、量が少ない事を主張する事を想定していたのか、辻は自分のトレイに彼女に提供するために、予備のトレイ(小型サイズ)と丁寧にサラダを盛り付けていた。
『作戦の神様』の、あだ名は伊達では無い。
「気が利くわね」
霧野がそう言って、辻が用意した自分の食事を分けて貰う。
辻は、頭が包帯でグルグル巻きになった顔を御堂に向けて、私の作戦勝ち、と言いたげな表情を浮かべた。
(おのれ!私が作った地盤を、そのまま利用された!!)
御堂の心に、自分以上にポイントを稼いだ、辻に対する怒りが込み上げる。
(あの時、石垣、側瀬のドッキリ演習時に私も参加して、ドサクサ紛れに、この男をボコボコにしておけば良かった)
等と、とんでもない事を、御堂は心中でつぶやいた。
その後、霧野の好感度を上げようと、必死に奮戦する1佐と中佐を無視して、霧野は、のほほんモードに戻り、のんびりと食事を楽しむのであった。
かなり後の話ではあるが、辻政信中佐は、陸軍省及び陸軍参謀本部に霧野みくに3等陸佐が唱える、回転翼機を主力とした空中強襲歩兵陸軍の創設を、具申する事になる。
そして、同じく陸軍省と陸軍参謀本部に、戦車を主力とした機甲陸軍化を唱える西竹一中佐と、意見が対立する事になる。
しかし、現段階では双方とも、陸上自衛隊で学んでいる段階である。
死闘南方戦線 終章をお読みいただきありがとうございます。
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