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死闘南方戦線 第13章 ニューギニア島急襲 吼える16インチ50口径砲

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 ニューワールド連合軍連合海軍艦隊総軍司令官直轄水上打撃群に所属するミサイル戦艦[ミズーリ]は、水上打撃群旗艦である[ズムウォルト]級ミサイル駆逐艦[ベンジャミン]の護衛艦として、[タイコンデロカ]級ミサイル巡洋艦と、[アーレイ・バーク]級ミサイル級駆逐艦と共に随行している。


 艦隊編成は4隻であるが、ミサイル戦艦[ミズーリ]を除くと、他の3艦は自艦防空だけでは無く、艦隊防空も可能だ。


 ミサイル戦艦[ミズーリ]艦長である、ケイト・トミナガ・バギー大佐は、海軍のデジタル迷彩服姿で、艦橋の艦長席に腰掛けている。


「艦長。まもなく、作戦展開海域に入ります」


 副長の中佐が、報告する。


「主砲及び、トマホーク巡航ミサイルの調子は?」


 バギーが問うと、20代前半の中尉は、力強く答える。


「問題ありません!!」


 バギーは、艦長席から立ち上がり、艦橋から目の前の海を眺める。


 艦橋の位置からは、2門の16インチ3連装50口径砲が見える。


「作戦海域に突入しだい、ニューギニア島に設置されている、テロ国家連合軍の航空基地及びレーダー施設、通信施設への艦砲射撃及び、巡航ミサイルによる攻撃を加える。湾岸戦争以来の実戦である。あらゆる不測の事態に備えよ!」


「アイアイ、艦長!」


 副長が挙手の敬礼を行い、各部署で最終確認を行う。


[ミズーリ]以下の水上打撃群に与えられた任務は、ニューギニア島から出撃しているアメリカ陸軍航空軍と、イギリス空軍の無力化である。


 ペリリュー島に上陸した米仏連合軍への航空支援や物資の空輸も、ここから行われており、防衛戦略上、邪魔な存在である。


 理由は、これだけでは無い。


 南方進出計画が実行段階に入ったため、実行開始前に叩く必要があった。


「艦長!旗艦[ベンジャミン]より、入電。作戦変更無し!当初の作戦計画通りに作戦を実行せよ。以上です」


 通信士官が、報告した。


「了解」


 バギーは、艦内マイクを持った。


「主砲射撃用意!!」


 バギーの命令で、ミサイル戦艦[ミズーリ]の前部に搭載されている3連装16インチ50口径砲が、右に旋回する。


「この光景は、湾岸戦争以来だな・・・」


 副長が、小さくつぶやく。


 ミサイル戦艦[ミズーリ]には、レバノン内戦や湾岸戦争に従軍した将兵も、少なからずいる(年齢は50歳以上)。


 副長も、アナポリス海軍兵学校を卒業し、海軍少尉として配属されたのが、再就役したミサイル戦艦[ミズーリ]である。


「艦長。作戦海域に入りました!!」


 上級将校が、報告した。


「ファイア!!」


 バギーが、叫んだ。


 3連装16インチ50口径砲2門が吼えた。


 16インチ50口径(50口径40.6センチ)砲は、[大和]型戦艦の四六糎砲には及ばないが、その衝撃波と爆音は、ほとんど同じである。


 艦橋にいるバギーたちにも、その衝撃波や爆音は、肌や身体で感じられる。


 砲術士官が、命中までのカウントを行う。


 カウントがゼロになると、発射された16インチ50口径砲から発射された榴弾は、目標となった、中型爆撃機や大型爆撃機が駐機している、ニューギニア島の航空基地に命中する。


「艦長![ベンジャミン]より、入電!目標基地施設に命中!滑走路の破壊を確認!」


 通信士官の報告に、バギーは再度命令を出す。


「第2射用意!目標は第1射目が着弾した滑走路方面!ファイア!!」


 バギーが叫び、第2弾を装填した2門の3連装16インチ砲が、再び吼える。





 ニューギニア島西部地方を統治しているオーストラリア連邦政府からの許可の下、アメリカ陸軍航空軍や、イギリス国王への忠誠心篤きイギリス対日派遣軍(陸海空軍)は、複数の航空基地を建設していた。


 東部ニューギニアのアメリカ陸軍航空軍の航空基地では、パラオ諸島ペリリュー島で増強された大日本帝国軍とスペース・アグレッサー軍に対して航空攻撃をかけるため、B-25[ミッチェル]の離陸準備を行っていた。


 別の航空基地でも、護衛戦闘機であるP-38[ライトンニング]が、離陸準備をしているだろう。


「飛行前のチェックだ!」


 B-25の機長である大尉は、昨日まで何度もフィリピンや、パラオ諸島への空爆を行い、無事に帰還していた。


「燃料の予備缶だ!」


 いくら、航続距離を延長した改良型のB-25でも、燃料の予備缶は必要である。


「銃座の状態は?」


 大尉が聞くと、機銃手たちが「バッチリです」と報告する。


 長距離飛行の最終手順を終えて、B-25のエンジンが始動する。


「第1エンジン始動!」


「第2エンジン始動!」


 機長と副操縦士が叫ぶ。


 だが・・・


 突如として、上空から大口径砲弾の飛来音を響き、主要滑走路に次々と着弾した。


 16インチ砲クラスの戦艦並の砲弾が、滑走路に直撃し、炸裂し、すべてを吹き飛ばす。


 猛烈な爆風と、衝撃波が襲い掛かってきた。


「な、なんだ!!?」


 B-25は、その爆風と衝撃波を正面から受け止めてしまい、風防ガラスが砕け散った。


 機長は寸前のところで、コックピットの計器類に頭を伏せて、細かく砕けたガラスの破片の直撃は避けられたが、副操縦士はそうはいかなかった。


 顔面に、ガラスの破片が直撃した。


 幸いにもゴーグルをしていたため、目は無事だったが・・・


「艦砲射撃だと?」


 大尉はつぶやく。


 ニューギニア島周辺海域は、オーストラリア海軍の哨戒艇や警備艇が展開し、上空でもアメリカ海軍のRBY[カタリナ]が、対潜及び対水上警戒を行っていた。


 RGY対潜哨戒機は、改装により航続力の延長と、精度は良くないが、レーダー波探知装置が取り付けられているはずなのでは?


 そんな事を考えていると、第2弾攻撃と思われる砲弾の飛来音が響き、再び滑走路に直撃した。


 滑走路で離陸のために、滑走していたB-25や、滑走路手前の誘導路で待機していたB-25は、爆風や衝撃波を受けて、滑走路に叩き付けられるように爆発し、爆発炎上した機の消火に向かっていた消防車や、搭乗員の救出に向かった輸送トラックも爆風に煽られて横転した。


「総員退避!!退避!!」


「塹壕に、逃げ込め!!」


 誘導兵や整備兵たちが、次の第3射攻撃に備えて、航空基地の塹壕に飛び込んだ。


 エプロンで離陸準備に入っていた、無事なB-25の搭乗員たちも搭乗機を放棄し、そのまま塹壕に逃げ込む。


 攻撃は、艦砲射撃だけにはとどまらなかった。


 艦砲射撃が止んだと同時に、上空から轟音が響いた。


「スペース・アグレッサー軍の、ジェット戦闘機だ!!」


 大尉は、B-25の最寄りに掘られた塹壕に、顔を血だらけにした副操縦士や他の搭乗員たちと、共に飛び込んだ。


 彼は、上空を見上げた。


 8機のジェット戦闘機が高速で接近し、無数の爆弾を投下する。


 その機影は、知らされている情報とは形状が違っているように感じられた。


「スペース・アグレッサーは、どれだけのジェット戦闘機を保有しているのだ?」


 エプロンに待機していたB-25や、基地及び担当空域の防空を担当するP-40が、飛び立つ事も無く破壊された。


 この基地を攻撃したのは、急遽作戦を変更し、マレー沖から転進してきた、菊水総隊海上自衛隊第2護衛隊群第2護衛隊に所属する[あたご]型イージス護衛艦[あしがら]と、第6護衛隊に所属する[あきづき]型汎用護衛艦[てるづき]に護衛された、ニューワールド連合軍連合海軍艦隊総軍第3艦隊第4空母戦闘群[フォッシュ]から出撃した、ラファールMである。


「まったく、突発的なアクシデントが発生したとはいえ・・・予定を前倒しで進める必要が出てきたのはわかるが・・・超過重労働もいいところだ・・・」


 赤銅色がかった金髪を弄りながら、[フォッシュ]のCDCで、クレマンはブツブツとつぶやいていた。


「いくら、空中給油の体制は万全とはいえ・・・長距離飛行をする、艦載機のパイロットたちは、人間なのだぞ・・・ニューワールド連合軍総参謀長は、我々をロボットか何かと勘違いしていないか?」


「しかし、実際の史実でも、大日本帝国の航空隊のパイロットは、ラバウルからニューギニアへ出撃し、その半数が帰還しています。その往復の航続距離と戦闘の時間を考えて、不可能ではないと結論付けたが故でしょうな」


「・・・人間、誰もが、やれば出来ると言うものではない。個人差というものもある・・・」


 先任参謀の言葉に、クレマンはそう答えた。


「しかし・・・よりによって、テロリストがこの時代に来ていたとは・・・それも、この時代の重要人物と言っていい、スターリンを暗殺・・・いや、彼らの言い方なら粛正だな。粛正するとは・・・和戦両略で連合、枢軸両国家群との交渉を進めていたところで、とんだ番狂わせもいいところだ・・・」


 眉をひそめて、クレマンはつぶやいた。


 ソ連での政変は、ニューワールド連合に少なくない衝撃を与えた。


 今頃、新世界最高評議会や、加盟国議会は大騒ぎであろう。





[しょうない]型多機能輸送艦1番艦[しょうない]と、ドック型輸送揚陸艦に区分される[あつみ]型支援輸送艦1番艦[あつみ]の2隻は、大韓市国最高国務委員会国防委員会朱蒙軍海軍機動艦隊第3艦隊に属する[雲(ウン)(ボン)]級強襲揚陸艦等の外洋揚陸艦や輸送揚陸艦等で編成された掃海揚陸艦隊に所属する1個外洋型輸送戦隊と、海上補給路や海上交通路の安全確保を担当する第3艦隊護衛戦隊のフリゲートや第5護衛隊群所属する護衛艦の護衛を受けている。


[しょうない]には、菊水総隊陸上自衛隊水陸機動団第1連隊が装備、資材と共に1000名以上が乗り込んでいる。


 水陸機動団第1連隊(900人)は、旧西部方面普通科連隊が、そのまま第1連隊に改変され、隊員数を増員し、編成された。


 隊員の6割以上が、旧西部方面普通科連隊出身であり、水陸機動団で編成されている3個の水陸機動連隊(第3連隊は予備部隊的位置付)の中でも第1連隊は、精鋭の主力部隊である。


レンジャー資格者の数も多い。


 第1連隊の中で先遣中隊の位置付である第1中隊に所属する朝野(あさの)秋吉(あきよし)3等陸尉は、中隊に所属する他の小隊長と共に、中隊会議室に顔を出している。


 南方地方攻略作戦の第1段階である、同盟国であるタイ王国や東南アジアでの親日派勢力との海上交通路確保が彼らの任務だ。


 しかし、日本本土にソ連軍と英蘭印連合軍が、パラオ諸島ペリリュー島に米仏連合軍が強襲上陸し、作戦遂行について賛否が飛び交っている状態だ。


「全員起立!」


 中隊副長である、1等陸尉が叫ぶ。


 第1中隊長である3等陸佐が、小会議室に入った。


「全員、楽にしてくれ」


 中隊長の言葉に、中隊に属する小隊長たちが腰掛けた。


「小隊長諸君。統幕本部及び菊水総隊司令部は、作戦の続行を決定した」


 中隊長の言葉に、朝野たちは顔を引き締める。


「我々、水陸機動団第1連隊が攻略する諸島は、諸君等も知っての通り、我々の知る地理には存在しない諸島だが、南シナ海に位置し、北部にベトナム南端部、南部にボルネオ島という極めて戦略上重要な位置に島が点在している。同諸島での最大の島であり、有人島である島の攻略が任務である。島にはイギリス空軍の航空基地や潜水艦の補給や補修を行う小規模な港があり、守備隊は陸軍の1個連隊強2000名である。航空機の整備要員や艦艇の整備要員を合わせれば3000人以上だ」


 中隊長は、朝野たちに最後の確認を行った。


 水陸機動団第1連隊と、朱蒙軍海軍海兵隊の海兵旅団が攻略する島は、面積で言えば硫黄島と同じくらいの面積の島だが、レーダー施設が置かれている山は、司令部機能だけでは無く、航空機格納庫機能を有する秘密基地でもある。


 港には潜水艦だけでは無く、哨戒艇や水雷艇以外にも、フリゲートが配備されている。


 さらに、厄介な事に、アメリカ本土では史実と異なり、消極的に行われていた在留日系人の強制収容だが、イギリス領等では積極的に行われている。


 この島にも、強制収容及び敵対的思想(親日的感情)がある者が、居住している(正確には強制的に送られた、と言うべきだろう)。


 彼らの救出と保護も、重要である。


 だから、こそ、水陸機動団第1連隊と朱蒙軍海兵隊が、選ばれたのだ。


 どちらも、仮想敵国が自国の領土を武力で奪った時に、奪還するために編成された部隊と言える。





[しょうない]型多機能輸送艦は、[いずも]型ヘリコプター搭載護衛艦をベースに建造された空母型輸送艦であり、全長225メートル、全幅32メートル、基準排水量1万8000トンと[おおすみ]型輸送艦を上回る強襲揚陸艦クラスの輸送艦だ。


 ヘリコプター格納庫は、大型ヘリコプター(CH-47JA)なら、8機を収容する能力を有する。


 陸上部隊の車輌格納庫には、戦車4輛ないし5輛(90式戦車なら4輛、10式戦車は5輛)を収容した状態で、大型車輌60輛を収容する事ができる。


 収容人員は1000人であり、水陸機動団なら1個連隊(900人から700人)を資材、物資と共に乗せた状態で輸送できる。


[しょうない]型多機能輸送艦では、陸自部隊の居住区は中隊ごとに振り分けられており、各中隊居住区には中隊長と各小隊長たちが集まる会議室と、小隊(30人)だけで会議が行える小会議室が設置されている。


 連隊長及び本部管理中隊の居住区は、陸自部隊居住区の上層にあり、統合運用司令部作戦室等の陸海空共同運用を行う区と同じ場所にある。


 朝野が指揮する小隊は、与えられた小隊会議室で出撃に備えて、89式5.56ミリ小銃や5.56ミリ機関銃MINIMI等の整備点検を行っている。


 精鋭精強な第1連隊に所属しているだけあって、小銃を分解し、整備点検をするのは他の部隊を差し置いて、同じ水陸機動団に所属する他の連隊よりも早い。


 第1連隊は、他の連隊と異なり、離島有事が発生した際に真っ先に投入される主力連隊である。


 これは第2連隊も同じだが、防衛出動命令発令から、即応展開するまでの時間を考えれば、もっとも早い。


「みんな、作業を続けたまま、聞いてくれ」


 朝野は、小隊に所属する隊員たちに、声をかけた。


 隊員たちは、分解した小銃や機関銃の整備や結合をしながら、返事をした。


「作戦は決行に決まった。状況開始まで島の地理を、もう一度見直してくれ」


 朝野は、簡単に説明した。


 彼らには、それ以上の説明は必要ない。


 隊員たちの練度は高く、島の攻略準備に入ってから、彼らは念入りに島の地形や建造物等を頭に叩き込み、フィリピンでは新設された大日本帝国陸軍水陸両用集団第1水陸両用旅団(南東諸島で幸島警備隊と合同演習に参加した水陸戦闘団は、同集団の予備部隊兼教育部隊である)と、朱蒙軍海兵隊第1海兵旅団による3部隊共同による、強襲上陸作戦を展開する。


 彼らが上陸する島は、面積は硫黄島と同等であり、中心部に標高400メートル程の山があり、山頂にはレーダー施設と、通信施設が設置されている。


 対空砲陣地も、複数存在している。


 地上のほとんどは、草原地帯と岩でできた山岳地帯のみで、戦車や装甲車等が、ふんだんに力を発揮できる場所が、比較的に多い。


 元々は無人島であり、大日本帝国軍による中国侵攻に反対するアメリカ、イギリス、オランダ(オランダ本国のみ、ベルサイユ条約機構軍に参加を表明して後、経済制裁を撤回したが、ドイツ第3帝国に反対する勢力は、東南アジアの植民地に集結しているため、現在も制裁措置は継続中である)が、大日本帝国への石油輸出禁止等の経済制裁に対し、南方の親日派や、大日本帝国と有効な関係を築いているタイ王国への海上封鎖と軍事的威圧を目的に、イギリス軍が進駐した島だ。


 常時、潜水艦1隻が緊急出航態勢に入り、何らかの軍事行動が確認されれば、フリゲートや水雷艇で編成された警備隊や、水雷隊が出撃する。


 島に潜入した諜報員からの報告では、島内の秘密航空基地に所属している戦闘機は24機、双発の爆撃機(魚雷も搭載可能)は10機だけである。他は偵察機ぐらいしか無いそうだ。

 死闘南方戦線 第13章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

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