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死闘南方戦線 序章2 プレジデントの独語

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 北海道にソ連軍、南東諸島に英蘭印連合軍、ペリリュー島に米仏連合軍が上陸し、それぞれの局地戦が中期戦を迎えた頃・・・


 アメリカ合衆国首都ワシントンDC・ホワイトハウスの大統領執務室で、大統領首席補佐官が、フランクリン・デラン・ルーズベルト大統領に、緊急報告書を見せた。


「!!!」


 ルーズベルトは、あまりにも驚愕する緊急報告の内容に、手に持っていた書類を床に落とした。


「フ・・・フォークランド諸島が攻撃を受けた・・・だと・・・?」


「イギリス大使からの報告と、フォークランド諸島に派遣した、陸軍フォークランド諸島派遣軍の補給物資と従軍医師や看護婦を乗せた輸送船団を護衛していた護衛艦隊の、残存艦からの報告です」


 首席補佐官からの報告に、ルーズベルトは報告書を握りつぶした。


「それで、被害は?」


「派遣した輸送船10隻は、新型ロケット弾と新型魚雷攻撃で全輸送船が沈没し、護衛の駆逐艦も、8割が撃沈されました。フォークランド諸島に上陸した敵上陸軍は、フォークランド諸島防衛のために配備されていた、イギリス陸海空軍とアメリカ陸海軍は空挺部隊との共闘により、わずか半日で壊滅しました。今はフォークランド諸島西フォークランド島の隅まで後退し、防衛陣地を構築しています」


 首席補佐官の報告に、ルーズベルトは眉間に皺を寄せて、椅子に腰掛けた。


「大日本帝国陸海空軍と共に軍事行動する、スペース・アグレッサーとか、ゴースト・フリートとか呼ばれる、不明軍の仕業か?それともドイツ第3帝国か?」


「いいえ、そのどちらでもありません。まったくの別の軍です。その証拠に、アルゼンチンに駐留するドイツ帝国陸海軍施設も、彼らのロケット弾攻撃で破壊されました。大日本帝国軍も、彼らに味方する不明軍も、大西洋には現れていません」


「では、どこが・・・?」


 補佐官からの回答に、ルーズベルトは椅子に腰掛けたまま、腕を組んで考え込んだ。





 サヴァイヴァーニィ同盟軍参謀本部特殊作戦総局に所属する特殊部隊の1つ、スペツナズ(旧ロシア連邦軍参謀本部情報総局に所属するスペツナズ)第20特殊任務旅団第202特殊任務支隊が、フォークランド諸島東フォークランド島に潜伏していた。


 第20特殊任務旅団第202特殊任務支隊本部直属の先遣中隊は、奇襲攻撃の準備をしていた。


「フォークランド諸島駐留軍司令官が、そろそろ車で官舎に帰宅するぞ」


 スペツナズに所属する、フォマー・アビトワ大尉がつぶやく。


「車輌を確認」


 アビトワを補佐する少尉が、双眼鏡で確認しながら、低い声で報告する。


「サイは、投げられた」


 アビトワは小さくつぶやき、起爆装置のボタンを押した。


 その瞬間、駐留軍司令官を乗せた公用車の真横にあるゴミ箱が吹っ飛び、そのまま公用車を吹き飛ばした。


 もちろん、これだけでは無い。


 他の箇所でも、同時多発的に爆破が行われて、フォークランド諸島防衛を任されているイギリス軍やアメリカ軍高級士官暗殺と、司令部のある施設への同時多発的破壊工作により、指揮機能は混乱した。


 スペツナズ・・・戦時下では交戦国及びその軍事同盟国に対し、敵後方の深部偵察、破壊工作から特定人物の暗殺までも行う、特殊部隊の中ではSASやグリーン・ベレーにも匹敵する部隊である。


 頃合いを見計らって、サヴァイヴァーニィ同盟軍同盟海軍西海攻略艦隊第40独立海軍歩兵旅団強襲上陸大隊が、上陸舟艇や水陸両用車で、強襲上陸を開始した。


 旧ロシア海軍歩兵の主力戦車である、T-80が1個大隊上陸し、その後方から水陸両用車に乗り込んでいた海軍歩兵が下車し、AKS-74Uを構えて展開する。


 海軍歩兵は、言わば東側陣営の海兵隊に相当する海軍傘下の部隊で、強襲上陸から拠点確保までを担当する海軍の独立兵科だ。


 第40海軍独立歩兵旅団強襲上陸部隊の上陸開始と共に、サヴァイヴァーニィ同盟軍独立空挺軍1個新鋭空挺師団が着上陸作戦を開始し、混乱したイギリス軍やアメリカ軍の僅かながらの抵抗を排除しつつ、島の攻略を行った。


 サヴァイヴァーニィ同盟軍による奇襲攻撃により、フォークランド諸島に駐留する米英連合軍は組織的に抵抗ができず、半日もかからず、島の半分を奪取された。





「何という事だ!!!」


 ホワイトハウスの大統領執務室に、次々と上がってくる報告に、ルーズベルトはコーヒーカップを床に叩き付けて、絶叫した。


 大日本帝国本土への攻撃も、あれ程の大兵力を動員しながら、思わしい戦果は挙がっていない。


「陸軍も海軍も何をやっている・・・ソ連といい、英蘭印連合軍といい・・・とんだ体たらくだ!!」


 彼らを利用したのは自分たちであるのだが、ルーズベルトとしては、そう言わずにはいられなかった。


 この時点ではまだ、ソ連国内での異変はまだルーズベルトの元に届いていないが、それを知った時、ルーズベルトは重大な決断を迫られる事になる。

 死闘南方戦線 序章2をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

 次回の投稿は12月26日を予定しています。


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