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矛と盾 第19章 誤射 思わぬ悲劇 前編

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 英蘭印連合軍主力艦隊オランダ海軍水上艦部隊は、幸島からの撤退が開始された、英蘭印連合軍上陸部隊の援護と輸送船団の護衛についていた。


 オランダ海軍水上艦部隊司令官であるドールマン少将は、旗艦である軽巡洋艦[デ・ロイテル]の航海艦橋で、幸島への夜間艦砲射撃の指揮を執っていた。


[デ・ロイテル]の主砲である、50口径15センチ連装速射砲3門が吼え、幸島へ榴弾を次々と撃ち込む。


「提督。本艦及び[ジャワ]による艦砲射撃で、総数1000発以上の砲弾を撃ち込みました。しかし、日本軍及びスペース・アグレッサー軍からの攻撃は日々強くなり、すでにイギリス海軍の巡洋艦が、陸上から発射されたと思われるロケット弾2発の直撃を受け、轟沈しました」


 先任参謀からの報告に、ドールマンは腕を組んだ。


 幸島での撤退作戦は、まだ30パーセントも完了していない。


 だが、撤退作戦を遂行しているうちに、輸送船や駆逐艦も、次々と撃沈されている。


 たとえ、輸送船に無事に乗り込んで島から脱出したとしても、日本海軍の潜水艦による雷撃で沈められる。


 そのため、撤退作戦は、まったくスムーズに進まない。


「・・・我々もこれ以上、この海域に止まるのは危険か・・・」


 ドールマンは、静かにつぶやいた。


「・・・・・・」


 参謀たちは、何も答えなかった。


「すでに総司令部は、主力艦隊の撤退を決定した。明日の航空支援を最後に、それ以降は戦闘機による上空援護は無いそうだ。アルファ地点、及び我々にも・・・な」


 ドールマンは、苦虫を噛み潰したよう表情でつぶやいた。


「対空レーダーが、高速接近中の航空編隊を探知!スペース・アグレッサーのジェット戦闘機隊です!」


 レーダー士官が、報告した。


「どこに、向かっている?」


 ドールマンの問いに、レーダー士官が答えた。


「イギリス海軍の空母艦隊と思われます。我々の存在など眼中に無い、と言わんばかりのコースで飛行しています」


「ふむ」


 ドールマンは、そのジェット戦闘機の高度、編隊数、針路等を聞いた後、対空警戒を厳にする指示を出し、自らは対空見張所に移動した。


 双眼鏡を覗き、報告された方角を見る。


 日の出前で、少しずつではあるが、明るくなり始めた空を眺めた。


 双眼鏡の倍率を最大にして、その機影を確認した。


 双発のジェットエンジンを搭載した大型の機体。その主翼下には、ロケット弾らしき物が搭載されている。


「あれほどのロケットや爆弾を搭載していながら、あれだけの運動性能や、加速性能を保てるものなのか・・・」


 ドールマンは、小さくつぶやいた。


 レーダー士官が言った通り、4機のジェット戦闘機は自分たち等、眼中に無いといった感じで通り過ぎた。


「どこから、飛んできたのでしょうか・・・?」


 幕僚の1人が、つぶやく。


「我々が、最初に制圧した南東諸島と沖縄本島の中間島・・・名前は、大魚島からだろう」


 ドールマンの言葉に、幕僚は悲痛な表情を浮かべた。


 大魚島に上陸したオランダ海兵隊と義勇軍は、大魚島の奪還に出動した第15旅団第54普通科連隊と、南西軍第12軍1個支隊の攻勢で、2日も持たず奪還された。


 その際、オランダ海兵隊は、飛行場がすぐに使用できないように破壊工作を行ったが、彼らはそれを1日で修復した。


「提督!日本海軍の駆逐艦部隊を発見!まもなく会敵します!」


 幕僚の1人が、報告した。





 アルファ地点では、2人の指揮官に、総司令部の命令が届いた。


「・・・・・・」


 ペイリンは、無言で命令を承認した。


「総司令部は、ここに、どのくらいの将兵を見捨てるつもりだ!」


 ペアードが、叫んだ。


 司令部テントでは、ペイリンは先ほどと同じく無言で立ち上がり、紅茶の入ったアルミ製のポットから、行軍用の耐久性が強い素材のカップに、紅茶を淹れた。


「この命令では、北幸島と南幸島から撤退する英蘭印連合軍の将兵の、半数も乗せられない。ここにいる将兵も、どのくらいを乗せられるか・・・」


 ペイリンは、小さくつぶやいた。


「では、どうしますか?」


「命令には、従う」


「ですが!?」


 ペアードが叫び、椅子から勢い良く立ち上がった。


「撤退できる将兵たちも、幸運とは言えない。無事に東南アジア方面に撤退できても、その後は、マレー半島、ボルネオ島等に大日本帝国軍が、侵攻してくるだろう。しかも、本土を攻撃された事への、復讐心に猛り狂ってな・・・そうなれば撤退した彼らは、再び銃を取り、戦わなくてはならない。その時の戦闘は、想像を絶する激戦だろう」


 イギリス海軍もオランダ海軍も、そのほとんどの主要戦闘艦は傷つき、まともな制海権、制空権は確保できないだろう。空軍はあるが、どこまで戦えるか・・・そうなれば即戦力になる健全兵のみを、優先的に輸送船や駆逐艦に乗せるのは、間違いでは無い。


 しかし、取り残される将兵や、義勇兵にすれば「ふざけるな!!」であろう。


 それに、いざ東南アジアで態勢を立て直そうにも、問題は山積みだ。


 情報を統制したとしても、人の口に戸は立てられない。


 負傷兵や、義勇兵を見捨てたという噂が、流れるのを止めるのは不可能だ。


 詳細を伏せれば伏せるほど、憶測や流言が広まっていく。


 そうなれば、統治下にある植民地の民衆は、どう思うか?


 各植民地内で、蠢いている独立派は、恐らく日本軍の侵攻に合せて、民衆を扇動するかもしれない。


 ペイリンは、頭を振って悪い予測を思考の片隅に押しやった。


 今は、目前の問題が最優先だ。


「ペアード准将。なんとしても、この撤退作戦は成功させる。夜明けと共に、できる限りの健全兵を輸送船、駆逐艦に乗り込ませて、1人でも多く撤退させる」


「サー!」


 ペアードも納得はしていないが、本国の状況や、東南アジアでの日本軍の南進を考えれば、総司令部の命令は仕方無い。


 すでに、工兵隊が建設した即席の桟橋は完成し、撤退作業は今まで以上に、スムーズに進められる。


 対空砲陣地を増設し、戦車も対空砲として使用する事にした。


 対空砲撃を行うには、戦車砲は不十分ではあるが、無いよりかはいい。


 予備の重機関銃や軽機関銃は、防衛陣地に回し、とにかく火力を高めた。


「上空援護のために、ここに派遣される艦上戦闘機部隊だが、できる限り、回してもらうよう、もう一度総司令部に打診してくれ」


 ペイリンは、通信兵に言った。


 通信兵は、固定通信機で総司令部に連絡し、ペイリンの要請を伝えたが、総司令部は却下した。


 すでに無事な空母は1隻のみであり、それも数時間以上の時間をかけて、なんとか修理した状態だ。


 飛ばせる艦上戦闘機は多くなく、その戦闘機を艦隊防空、護衛艦隊防空、アルファ地点の防空にわけなくてはならない。


 連日の日本軍等からの航空攻撃は、エスカレートする一方。


 ペイリンは、紅茶を飲み干した後、司令部テントを出た。


 日が昇り、将兵たちは桟橋に列をつくり、輸送船や駆逐艦に乗り込んでいる。


 桟橋には対空砲を設置し、海上には被弾したが、どうにか修理できた上陸舟艇に、重機関銃や対空砲を設置して、臨時の防空艇にした。


 これで、少しは敵機の攻撃を、鈍らせる事ができる。


「提督!上空援護のシーファイアです!」


 1人の海軍士官が、叫んだ。


 ペイリンが、上空を見上げる。


 6機のシーファイアが3機編隊を組み、周辺の警戒をついた。


「せめて・・・最後の輸送船が出航するまでは、上空援護を頼むぞ・・・」


 ペイリンは、聞こえるはずの無い総司令部に向けて、つぶやいた。


 海上では、オランダ海軍の駆逐艦が対空、対潜警戒を行っている。


 その艦も、やはり傷ついている。





 日本海軍の駆逐艦部隊と、水雷部隊からの攻撃を防いだ、ドールマンが率いる護衛艦隊は、数隻の駆逐艦の被害で終わった。


 1隻が撃沈され、他は小破ないし、中破の被害だった。


 それに対して、こちらが与えた損害は、水雷艇1隻を撃沈した程度である。


「提督。日本海軍の駆逐艦からの砲撃で、機関部と煙突部に被弾、機関出力が低下しました。速力はどんなに上げても18ノット程度がやっとです・・・」


[デ・ロイテル]の艦長は、被害状況をまとめて、報告した。


「恐ろしく、正確に砲撃してきたな・・・報告では、ゴースト・フリートの戦闘艦艇だけだと聞いていたが、大日本帝国海軍の戦闘艦も、我々よりも精密に砲弾を撃ち込んだ・・・」


 ドールマンは艦橋を出て、被弾した箇所を見渡せる場所から、被弾箇所を眺めた。


 被弾した煙突部では黒煙が噴き出て、煙突部がほとんど確認できない。


「先任参謀!無事な艦はただちに、輸送船団の護衛に戻らせろ。本艦は、最後までこの海域に止まり、陸上への艦砲射撃を続ける」


「了解しました!」


 ドールマンの命令を聞いた先任参謀は、ただちに駆け出した。


「艦長。すまないが、足の遅くなった本艦は、最後まで、しんがりを務めなくてはならない」


 ドールマンの言葉に、艦長は笑みを浮かべた。


「旗艦の艦長である以上は、最後まで提督と共にいます」


「だが、本艦の他の将兵たちは、どうだろうな・・・」


 ドールマンが、司令官らしからぬ弱音を吐く。


「提督が最後まで残るのであれば、全将兵も納得するでしょう」


 無事な僚艦は、次々と命令に従い輸送船団の護衛に付くため、針路を変更している。


 被害を受けた他の艦も、退却のコースをとる。


 しかし、一部の艦だけが、何故か[デ・ロイテル]に随行している。


「何をしている?私の命令を、聞いていないのか?」


 ドールマンが、[デ・ロイテル]に随行する、駆逐艦数隻を見ながらつぶやいた。


「本艦1隻と、提督1人だけでは荷が重いだろう、という事でしょう」


「馬鹿者どもが・・・」


 艦長の台詞に、ドールマンが吐き捨てた。


「艦長。最大仰角で艦砲射撃を開始する。残りの砲弾を、すべて撃ち尽せ!」


「了解しました。提督!ですが、着弾地点をさらに伸ばすため、できる限り島に近づきます!」


 艦長の決断に、ドールマンはうなずいた。


 島に近づきすれば、その分、艦隊が危険にさらされるが、それでも少しは敵にダメージを与える事ができる。





 アルファ地点では、続々と撤退するイギリス兵、オランダ兵、インド兵が桟橋を渡り、輸送船や駆逐艦に乗り込んでいる。


 今のところは、日本軍からの攻勢は無い。


 総司令部では、撤退できない将兵たちに、最後の突撃を命令し、できる限りの野砲や迫撃砲で砲撃を開始した。


 さらに特別混成歩兵旅団を編成し、歩兵による突撃を開始した。


 これにより、日本軍等もこれらに対処しなくてはならないため、なんとか、アルファ地点の安全を確保できたのだ。


 しかし、それでも多くの将兵は取り残される。


 撤退作戦に使用される最後の駆逐艦が、日没前に出航する事になった。


 最後の便に便乗する兵士たちと共に、高級士官も撤退を開始する。


「提督、何をなさっているのです」


 ペアードが内火艇に乗り込んだ後、数名の部下と桟橋に残ったままのペイリンに、声をかけた。


「この島から撤退するのは、貴官等で最後だ」


 その言葉にペアードは、ペイリンの考えている事を理解した。


「何を仰っているのです?閣下、無駄死にをなさるつもりですか?今回の作戦の結果は閣下の責任ではありません。もう一度態勢を立て直すためにも、閣下も撤退なさって下さい」


 ペアードの言葉に、ペイリンは微笑を浮かべて首を振った。

 

「私はここに残る。撤退できなかった将兵たちのために、将官が1人でも残っていれば義勇兵たちも納得はできなくても、ある程度は理解してくれるはずだ。後は貴官が指揮をとって、撤退した将兵たちを無事にシンガポールに運んでくれ。私は、ここに残った将兵たちや義勇兵が、1人でも多く祖国に戻れるように、力を尽すつもりだ。戦って、敵を倒すだけが戦争ではない。これが、私の戦争だ」


「・・・・・・」


 ペアードは何も言わず、納得したようにうなずいた。


「ご無事で」


 彼は、最後にこの島に残る海軍の高級士官に告げた。


 内火艇が動き出し、駆逐艦へと走り出す。


 ペアードは、僚友に挙手の敬礼をする。


 ペイリンも、答礼した。





 英蘭印連合軍上陸部隊の撤退できた将兵は、上陸部隊の半数にも及ばず、わずか、四分の一程度だった。他の将兵は戦死若しくは負傷、あるいは取り残された兵士たちだった。



 英蘭印連合軍上陸部隊の撤退作戦が終了した、との報告を受けるとドールマンは、傷ついた[デ・ロイテル]を見ながら、うなずいた。


「提督。我々も、撤退しましょう?」


 先任参謀が具申すると、ドールマンは艦長に指示した。


[デ・ロイテル]は舵を切り、機関不調でありながらも、出せる最大速力の18ノットで大日本帝国海軍等の包囲網を突破しようとした。


 しかし、速力が十分に出せないため、包囲網の裏を読み、大きく迂回したコースをとった。


 しばらくの航海を続けると、機関室から突然緊急連絡が入った。


「艦長!タービンが焼き付きました。とても現速力を維持できません!」


[デ・ロイテル]の機関長が、叫んだ。


「ちっ!まったく」


 艦長が、舌打ちした。


 機関長から被害状況を確認した艦長は、ドールマンに、この事を報告した。


「速力4ノットでは、どうやっても日本海軍や、ゴースト・フリートの包囲網を突破するのは、不可能です」


「艦長。一番近い日本の有人島は、どこだ?」


 ドールマンが、聞いた。


 艦長と航海長、航海士たちが海図を広げて、探し出す。


「南東諸島は危険ですから、それを除くのであれば・・・大東諸島ですね」


 航海長が指を指す、諸島を見たドールマンは、[デ・ロイテル]の位置と、その諸島との距離を計算した。


 近いと言っても、それなりの距離はある。


 速力4ノットでは、かなりの時間がかかる。


 だが、この島しか無いのも確かだ。


「艦長。大東諸島に針路を変更せよ」


 ドールマンはそう言って、先任参謀に振り返った。


「先任参謀、降伏旗を掲げよ。もし、日本海軍等の艦艇に発見されても戦闘状態を回避する。通信機器も使えず、僚艦もいない状況下では、それがベストだ」


[デ・ロイテル]の通信機器は日本軍の攻撃で破壊され、ほとんど交信が不可能だ。僚艦も撃沈された。


[デ・ロイテル]はマストに掲げられているオランダ旗を降ろし、白旗と日本国旗が掲げられた。


 それと、通信不可能を知らせる信号旗と、救助要請の旗も掲げた。


 だが、それが悲劇の始まりだった。





 アメリカ海軍の新型潜水艦[コルセア]級艦隊型潜水艦[シーパンサ]は、日本海軍及びゴースト・フリートの警戒網を無事に突破し、日本本土近海での偵察活動を行っていた。


[コルセア]級潜水艦は、[ガトー]級潜水艦や[パラオ]級潜水艦とまったく変わらないが、ほとんど別物である。


 日本海軍の対潜水艦捜索に対抗するために、隠密性と静粛性に強化し、潜航時間も大幅に向上させ水中速力12ノット(全速航行時)でも4時間の水中航行が可能。


 もっともスクリュー音が小さく、極めて探知が不可能な速力4ノットであれば、16時間以上の水中航行が可能だ。


[シーパンサ]のソナー士官が、海上を航行するスクリュー音と、異様な雑音を探知した。


「艦長。右舷前方に、機関不調の艦を探知!」


 ソナー士官の報告に、司令塔で腕を組んでいる艦長は腕を解いた。


「南東諸島の激戦で、損傷した日本海軍の戦闘艦かも知れません」


 副長の意見に、艦長はうなずいた。


「恐らくそうだろうな・・・潜望鏡深度まで浮上」


[シーパンサ]は、深度50メートルから潜望鏡深度20メートル程度まで浮上した。


 艦長は、カーキ色の士官勤務帽を回し、潜望鏡を覗いた。


「目標を視認。距離2000、速力4ノット程度・・・巡洋艦クラスと確認できるが、艦影に見覚えが無い」


 艦長は作戦前に頭に叩き込んだ、日本海軍及びゴースト・フリートの艦影の記憶を、いくつも思い出した。


 しかし、日本海軍やゴースト・フリートには、海軍省情報部が把握していない新鋭艦が多数ある事も聞かされている。


 それに、ゴースト・フリートの戦闘艦の対潜索敵能力は、情報部の予測を遥かに上回っている。


 現に、この作戦に投入された、[コルセア]級潜水艦も、何隻も撃沈されている。


 艦長の心が、危機感に支配されていたのも、致し方無いと言えるだろう。


「日本国旗らしき旗が確認できる・・・通信士官。目標艦から、何か交信を傍受したか?」


「いえ、何も傍受していません」


 通信士官の報告に、艦長は少し考えた。


「艦長。この海域は日本海軍等の勢力圏内です。戦場である南東諸島とは、かなり離れています。連合軍の艦艇がいるとは思えません」


 副長の考えは、もっともな事だ。


 ただ、艦長の危機感は乗員すべてが共有しているものなので、本来なら日本海軍が掲げているのは、旭日旗であって、国旗では無い事に気付く者がいなかったのが、彼らにとっても不運と言えるだろう。


 それに、次々と僚艦を撃沈されたのだ。


 彼らの心の内に、復讐心があったとしても、仕方の無い事だろう。


「そうだな。もし、あの艦が新鋭艦なら、これは撃沈のチャンスだ。本艦の性能を実戦で把握する大チャンスだ」


 艦長がそうつぶやくと、水雷士官に言った。


「魚雷1番、2番発射準備」


「アイ・サー、1、2魚雷発射管開け」


 副長が復唱し、水雷士官に指示する。


 水雷士官が、発射準備にとりかかる。


「1、2番魚雷発射準備完了しました」


「艦長。魚雷発射準備完了です」


 水雷士官と副長からの報告に、艦長は発射命令を出した。


「ファイア!」


 鈍い振動と共に、[シーパンサ]から2本の魚雷が発射された。

 矛と盾 第19章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

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