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矛と盾 第8章 戦場 その残酷な現実

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 菊水総隊航空自衛隊航空輸送隊のC-130H群から、第1空挺団第1普通科大隊の隊員たちは勢い良く機外に飛び出し、外気に身を晒しながら、幸島飛行場に着地した。


 C-130Hの後、2機のC-2輸送機が第1空挺団の普通科部隊が保有する車輌を、空中投下した。


 12.7ミリ重機関銃を装備した軽装甲機動車や高機動車、第1空挺特科大隊第1中隊と120ミリ迫撃砲も隊員と共に、幸島飛行場の地面に着地した。


 見山はすぐに、第1普通科大隊本部と本部管理隊の隊員たちを集合させ、近くの塹壕を臨時の大隊指揮所とした。


 見山は各科長たちと、無事に着地した麾下の3個普通科中隊の各中隊長から部隊の状況を把握したと同時に、幸島飛行場周辺地図を広げた。


「よし、第1中隊は予定通り、制圧地点を確保!第2中隊は空中投下された我々の車輌を回収せよ!回収でき次第、第1中隊の援護と支援に回れ。第3中隊は大隊指揮所から第1普通科大隊の担当地区の確保!」


 見山が、すばやく指示し、本部管理隊通信隊の隊員たちが、各中隊指揮所に連絡する。





 第1空挺団第1普通科大隊第1中隊は、幸島飛行場に隣接する幸島駐屯地の制圧に向かった。


 幸島駐屯地には、イギリス陸軍1個旅団規模の司令部もあり、司令部を警備しているイギリス陸軍歩兵部隊と激戦を繰り広げた。


 89式5.56ミリ小銃折曲式銃床を装備する隊員たちは、暗視装置と不可視レーザーを装着しているため、暗闇で混乱しているイギリス兵たちを、確実に絶命させていく。


 イギリス軍の陣地からは、イングランドイングリッシュで「撃つな!同士討ちになる!」と叫ばれている。


 飛行場及び駐屯地では、夜襲に備えて配備していた照明弾やサーチライト等は、航空攻撃で破壊され、個人携帯が可能な信号拳銃を持つイギリス兵は、幸島警備隊と隠密降下した第1空挺団の前哨狙撃隊と新世界連合軍連合海兵隊に属する、アメリカ海兵隊のカウンター・スナイパーたちが、照明弾を打ち上げる前に射殺していく。


 彼ら狙撃手及び観測手たちは、赤外線暗視装置を取り付けている狙撃銃や、赤外線暗視装置付観測器具で狙撃を行っているため、その狙撃は正確である。


「イギリス軍部隊は、同士討ちを避けるために攻撃が控えめである。落ち着いて射撃しろ!それと各小隊長は、小銃員が同じ場所で射撃を行わないように注意しろ!いかに、同士討ちを避けるためでも、火点を確認されたら、そこに銃弾の雨が降り注ぐぞ!!」


 中隊長が、無線機を耳に当てながら叫ぶ。


 中隊長の命令は、イギリス陸軍部隊と戦っている各小隊長から、小隊運用を行う小隊陸曹に伝えられ、小銃員はある程度の射撃を行ったら、すぐに射撃地点を変更した。


 その移動途中に流れ弾が当たる可能性を軽減するために、5.56ミリ機関銃NIMINIを装備する機関銃員が援護射撃を行う。


 5.56ミリ機関銃NIMINIの火力は高く、イギリス兵たちが身体を潜める積み上げられた土嚢に、機関銃弾が浴びせられ、彼らも思うように反撃ができない。


 戦場において、もっとも警戒しなくてはならないのは、流れ弾だ。


 実は、戦闘で死傷する兵士のほとんどは、狙って撃った弾より流れ弾に当たったという場合が多い。


 狙って撃った弾は、その方向にしか飛ばないから、戦闘時において命中する可能性はあまり高く無い。


 だが、流れ弾はどこから飛んでくるか、まったくわからない上に、敵が撃った弾とは限らず、味方の銃弾の可能性もあるし、流れ弾の方が防弾装備の隙間に、被弾する可能性もある。


 第1中隊が、イギリス兵と歩兵対歩兵の戦闘を行っていると、軽装甲機動車や高機動車を回収した第2中隊が応援に駆け付けた。


 12.7ミリ重機関銃や、持ち運びが困難な対戦車装備も持ち込まれたから、さらなる激戦が繰り広げられた。


 出動してきたイギリス陸軍の、ジープや装甲車に容赦なく01式軽対戦車誘導弾が撃ち込まれ、土嚢に潜んでいるイギリス兵たちは、迫撃砲小隊が装備した81ミリ迫撃砲弾が撃ち込まれ、吹き飛ばされる。


 幸島飛行場と幸島駐屯地を守っているイギリス軍守備隊司令部からは、歩兵戦車では無く巡航戦車部隊の応援要請が出された。


 その通信は、第1普通科大隊本部付の情報科部隊が傍受した。





 南幸島に上陸した英蘭印連合軍上陸部隊司令部では、南幸島飛行場と駐屯地に極めて強力な空挺部隊が降下し、第42空中強襲旅団と引継ぎのための義勇軍1個旅団の先遣部隊が、交戦中の報告を受けた。


 南幸島を担当する上陸部隊司令部は、飛行場の警備と防衛のために第42空中強襲旅団と交代する義勇軍第1義勇旅団に、すぐに急行する事を指令した。


 第42空中強襲旅団の要請だった戦車部隊の応援については、アメリカから供与されたM4中戦車[シャーマン]に国産の17ポンド対戦車砲を搭載したシャーマンファイアフライ1個中隊を増援に派遣した。





「戦闘指揮所に報告、待機中の敵旅団より、動きがあり。シャーマンファイアフライを主力とする1個中隊18輛が、幸島飛行場に急行中」


 ギリースーツに身を包んだ伊花が、双眼鏡で確認しながら、小隊班に属する無線員に伝える。


「戦闘指揮所。こちら監視小隊[キツネ]。監視中の敵旅団から、1個戦車中隊が行動開始」


 無線員である陸曹が報告すると、戦闘指揮所である普通科中隊本部から、誘導弾による攻撃誘導を行え、と指示された。


 ここから遠くに離れた位置に展開している96式多目的誘導弾システムが、多目的誘導弾の発射準備を行っている。


 伊花は、誘導弾中隊本部に移動中のシャーマンファイアフライの速度と隊列等を報告し、座標を伝える。


「了解。目標到着まで3分」


 誘導弾中隊本部から報告に、伊花は弾着後の戦果確認のために双眼鏡で監視を続ける。


「そろそろだな」


 森切が腕時計を確認しながら、つぶやいた。


 時間通り、戦車中隊の真上から96式多目的誘導弾システムから発射された誘導弾が、シャーマンファイアフライの上部装甲を貫き、吹き飛ばす。


「第1射命中!先導の戦車小隊の全滅を確認!後続の戦車部隊が小隊単位に別れて、散開しました!」


 伊花は、これまで東富士演習場で行われた実弾演習で、誘導弾が戦車と想定された的を実弾で吹き飛ばす光景は何度も見たが、本物の戦車が誘導弾で、火の塊になる光景は初めてである。


 これまで、ハワイ、フィリピン、ニューブリテン島で、実戦を経験した陸上自衛隊の隊員たちの実戦時の話を聞かされた。


 その話は、伊花が想像していたような戦果を自慢するような話では無かった。


 映画、漫画、小説の描写のように実戦を経験した自衛官・・・初めて人に銃口を向けた事について自慢気に話す者はいなかった。


 誰も、ロクに口を開かない。である。


 伊花が学生時代に、ベトナム戦争を経験した日系アメリカ人の元アメリカ陸軍兵に、戦争の話を聞いた時、即答で断られた。


 どうして、話さないのか?と聞くと、「話したがる奴が、どこにいる」と窘められた。


 今なら、その意味がわかる。


 話さないのでは無く、話せないのだ。


 どのような言葉がその戦場について適切な言葉か、わからないのだ。


 この事について、ある人物があくまでも自分の個人的意見と強調した上で、持論を語ってくれた。


 その人物は、自身が交通事故に遭った時の事を引き合いに出して、「その時の記憶が、完全に吹っ飛んで、前後の状況を思い出すのに時間がかかった」と述べた。


「専門家ではないから断定はできないが、もしかすると衝撃的な体験をして、精神に極端なプレッシャーが掛かりそうになると、記憶を飛ばして心を守ろうとするのではないか?交通事故でさえそうなら、戦争等で悲惨な場面に出くわせば、普通の人間なら克明に覚えている事すら、心が堪える事が出来ないかもしれない。だから、説明する言葉が見つからないのも、話が断片的になるのも、それが一因かもしれない。事実私の親は、昭和16年生れで4歳の時に空襲に遭ったが、炎の記憶はあっても、それ以外を覚えていないそうだ。祖母にしても、どこに逃げたら良いのかわからない炎の中を、逃げ回った記憶しかなかった。恐らく、口に出せないような悲惨な光景も目にしたと思うのだが、生き残る事に必死なら、そういった絶望的な場面は、脳が記憶から強制的に排除したのでは?と想像しているが、そういった経験した事のない戦後の日本人である私では、答が出せない」


 これは、一個人の意見でしかない。


 しかし、民間人であろうが、軍人であろうが、同じ人間である。


 そうであっても、不思議は無いとも思える。


 続いて、発射された誘導弾の第2射が、M4の車体を吹き飛ばす。





「なんだと!」


 義勇軍第1旅団司令部テントで、旅団長のアルジー・ラジープ・オルオフ准将は、増援に出した巡航戦車で編成された、戦車中隊1個がスペース・アグレッサーのロケット攻撃で全滅した事を聞かされた。


 義勇軍の将校は、オルオフのようにインド人やマレー人とのハーフという人間が多いが、イギリス叉はオランダ人の血が濃く出ている者がほとんどであり、中にはヨーロッパ戦線で敗退し、左遷された将校たちで編成されている。


 兵卒及び下士官は、全員が東南アジアのイギリス領叉はオランダ領から徴兵された現地民だ。


「どうやら、我々の行動は敵に監視されていたようです。全滅した戦車中隊の生存者からの報告では、森林地帯から敵のロケット弾が降り注いだと言っています」


 情報担当の参謀が、地図を指差す。


「奴らに好き勝手やらせるのは、ここまでだ」


 オルオフは、苦虫を噛み潰したような表情でつぶやいた。


 しかし、声にはとても力が入っている。


「ちょこまか、ちょこまか、ちょこまかと動き回る害獣どもに、好き勝手させるのは、ここまでだ!戦車部隊が全滅した最寄りの森林地帯に、歩兵部隊を展開!対ゲリラ戦展開を出動部隊に通達!」


「「「イエス・サー!!!」」」


 参謀たちが敬礼し、出動部隊の査定を行った。


 飛行場に応援部隊を出撃させようにも、ゲリラ戦で全滅しては話にならない。


 森林地帯に潜むスペース・アグレッサーのゲリラ部隊を捜索、殲滅するのは密林での戦いに慣れている、森と共に生きる部族出身の兵士たちで編成した歩兵部隊(約1個大隊クラス)を投入した。


 しかし、正規軍とは違い、義勇軍はイギリス軍やオランダ軍、さらにアメリカ軍から払い下げの旧式手動装填式小銃等が主力だ。


 彼らは、スペース・アグレッサーのゲリラ部隊に見つからないように迂回してから目的の森林地帯に侵入し、各小隊単位で展開し、狩りを始めた。


 彼らは夜目がとても効き、密林での戦い方も生れながらに知っている。





 伊花が指揮する第5小隊は、目標への監視を続けていた。


「動きがありませんね」


 第5小隊第1班の陸士が、双眼鏡で確認しながら言った。


「恐らく誘導弾の攻撃が、予想以上に効いているんだろう。出て行けば、誘導弾の攻撃を受ける。だが・・・」


 陸士が所属する班の指揮を行う、班長の3等陸曹が首を傾げる。


「だが、なんです?」


「普通はここまで攻撃を受けたら、俺たちがここにいるのはわかるはずだからな。早く陣地変換しなくては・・・」


 3曹がつぶやいた後、小隊陸曹の森切から監視地点の変更指示が出た。


 だが、すでに第5小隊が展開するこの森に、狩人たちが放たれていた。





 幸島飛行場と英蘭印連合軍上陸部隊の上陸地点の、丁度中間に位置する森林地帯(第5小隊等の作戦行動地域)では、幸島警備隊普通科中隊第5小隊と第6小隊の統括し、誘導弾中隊対戦車対舟艇小隊と幸島警備隊対戦車隊の対戦車班等と部隊行動の調整をする戦闘指揮所では、普通科中隊副長(1等陸尉)が側面からの奇襲攻撃等を警戒する警戒員から報告を受けた。


「中隊副長。無人監視車が、複数の移動物体を探知」


 警戒員の報告に、中隊副長がノートパソコンを覗く。





 監視地点を別の監視地点に移動中、伊花小隊の小隊班に属する無線員が、指揮所から緊急連絡を受けた。


「こちら指揮所。各小隊に命令変更を伝える」


 伊花が部隊に止まれの指示を出し、無線員から渡された無線機で指揮所と連絡をとる。


「こちらキツネ。指揮所、どうぞ」


「キツネへ、ただちに監視行動を中止し、退却地点Bに移動せよ。0300時までの退却ポイントだ」


 指揮所から退却する事について詳細な説明を受けると、すぐに返答した。


「了解。これより、退却地点Bに移動する。目的地までさほど遠くないから0300時までには必ず到着する」


 伊花はそう言って無線機を無線員に返すと、小隊無線で事情を説明し、退却地点Bに移動した。


 退却地点Bは、ここから2キロメートルのところで、この小隊の足ならそれほど時間はかからない。


 退却地点Bには、偽装した高機動車(防弾仕様)と護衛として5.56ミリ機関銃MINIMIを装備した軽装甲機動車が待機している。


 伊花は、移動を開始する。


 自分たちの背後から、森林戦に熟練した対ゲリラ部隊が迫っている事について、伊花は少し焦りが出ていた。


 若手の隊員たちは、初の実戦で極度の緊張と長期の監視行動でろくに休憩がとれていないから、疲れが目立ち始めている。


 森切もその事は危惧していたが、経験の浅い彼らでは、そのような事態になっても仕方が無い事だ。


 敵もかなり森林地帯に潜むゲリラや、コマンド部隊との戦い方を熟知していた。


 突然、銃声が響いた。


「!?」


 1人の隊員の頭部に弾丸が直撃し、即死した。


「敵襲!」


 攻撃を受けた第2班の班長が、小隊無線で小隊に伝える。


 別の隊員が、倒れた隊員の元に行くと、敵からさらなる攻撃を受けた。


 倒れた隊員の元に向かった隊員は足に1発被弾し、続いて2発目、3発目と身体に弾丸を受けた。


「撃て!撃て!」


 伊花は89式5.56ミリ小銃の安全装置を解除し、3点射制限射撃にして、火点目標に撃ち込んだ。


 彼の命令で、隊員たちが装備している89式5.56ミリ小銃や5.56ミリ機関銃MINIMIが火を噴いた。


 新隊員や経験の浅い隊員たちが多いため、小規模な戦闘では3点射制限射撃で射撃を行う。


 これは5.56ミリライフル弾を使用する自動小銃は、7.62ミリライフル弾を使用する自動小銃と異なり、反動が小さく戦闘時になれば経験の浅い隊員や新隊員では、すぐに弾を撃ち尽してしまうからだ。


 大規模戦闘が困難で、主に遭遇戦が主体である森林戦では、どこの国の軍隊も滅多な事では自動小銃での連発射撃は行わない。


 森林戦は伏激戦であり、焦った方が負けである。


 特に密林と共に育ってきた者たちは、森の中を動物たちに気付かれずに駆け回るのは得意だ。


 そんな彼らの前で、うかつにも移動を急いでしまったのだから、発見されるのは当然なのかも知れない。


「いいか、敵はボルトアクション式小銃のみで攻撃している。隊形を崩さず、お互いの肩が見える位置で応戦しろ!少しでも隊形が乱れたら、そこを攻撃される!」


 森切は5.56ミリ機関銃MINIMIを撃ちながら、敵に精密射撃の時間を与えないようにしながら、小隊各員に伝える。


 89式5.56ミリ小銃にもMINIMIにも暗視装置が装着されているため、暗闇でも昼間のように見える。


 しかし、敵も夜目が効くのか、射撃は正確である。


「見た所、敵は1個小隊程度・・・という事は、すぐにここに敵部隊がやってくる」


 伊花も、中より下の成績で幹部自衛官になったとはいえ、防衛大学校、幹部候補生学校に進んで3等陸尉に入官したのだから、必要最小限の知識はある。


 森林戦は、基本的に遭遇戦であるそのため、部隊行動がもっとも力を発揮できないのも森林戦の特徴だ。


そのため、戦闘は小隊戦闘がメインであり、常に銃声が聞こえたら、すぐに急行できる。


「手榴弾!」


 伊花が叫び。自身が着込んでいる防弾チョッキ3型の手榴弾ポーチからM26手榴弾を1つ取り出した。


 形がレモンに似ている事から、レモンの愛称で呼ばれる事もあるこの破片手榴弾は西側諸国のほとんどの軍隊が採用している手榴弾だ。


 伊花は、M26手榴弾の投擲準備を行うと、他の隊員に注意を促す。


 他の隊員の何人かは、M26手榴弾を投擲していた。


 その間、邪魔されないようにMINIMIを持つ機関銃手が援護射撃を行う。


 伊花がM26手榴弾を投擲しようとした瞬間、機関銃の掃射の一瞬の隙をついて、M1903[スプリングフィールド]を持った小銃兵が撃った。


 発射された弾丸は、伊花の防弾チョッキ3型の胸部に直撃した。


「ぐっ!!!」


 防弾チョッキ3型はスペック上では、拳銃弾や砲弾片を防ぐ事ができる。


 さらに追加のセラミックプレートを入れれば、小銃弾も距離やいくつかの条件にもよるだろうが、防ぐ事も可能。


 しかし、あくまでも小銃弾による致命傷を防ぐだけであり、着弾時の衝撃はもろに受ける。


 伊花は胸部被弾により、バランスを崩し、持っていた手榴弾を落とした。


 M26破片手榴弾は、4秒後に炸裂する。


 伊花は慌てて落とした手榴弾を探すが、戦闘中に落ち着いて探せる訳が無い。


「手榴弾だ!退避しろ!!」


 森切が叫び、他の隊員たちが、できる限りそこから離れる。


 伊花は、自分が落とした手榴弾を拾い上げ、どこかに投げようとしたが、森切が伊花の首根っこを掴み、そのまま火事場の馬鹿力で彼を投げ飛ばした。


 手榴弾は、再び地面に転がる。

 

「森切1曹!?」


 伊花が口にできたのは、それだけだった。


 森切は、一度として小隊員たちに見せた事も無い笑みを浮かべた。


 その後、地面に落ちたM26破片手榴弾が炸裂した。

 矛と盾 第8章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

 次回の投稿は10月31日を予定しています

 11月1日にIF外伝の政治篇の2部を投稿いたします。大変長らくお待たせしました。

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