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日本本土防衛戦 番外編 知るという事 伝えるという事

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 伊豆諸島某島に開設された、日本共和区統合省防衛局捕虜収容所。


 1500人を収容できる捕虜収容所は、防衛局の管理、監督下で戦時捕虜を収容する。


 捕虜収容所は、専門的な訓練を受けた陸海空自衛隊の隊員(士長以上)たちと、防衛省に雇われた防衛技官が勤務する。


 捕虜収容所の警守の自衛官は、一般捕虜警備候補生採用試験を得て警守になるか、部内捕虜警備候補生を得て警守になるかの2つである。


 一般捕虜警備候補生は、2士(非任期制)として教育隊で一般教育訓練を受けた後、6ヶ月間の前期専門的教育訓練を受ける。


 前期専門的教育訓練が終了すれば、4ヶ月間の後期専門的訓練を受ける。


 前期は法学(自衛隊法、刑法、民法、国際法、捕虜に関する条約等)、自衛隊制圧術、拳銃及びその他の銃火器の取り扱い、捕虜収容所での一般的行動等である。


 後期は主に捕虜収容所内での暴動叉は捕虜収容所外でのコマンド部隊等の襲撃に備えた集団警備、脱走や捕虜の問題行動時の対応である。


 1年2ヶ月間の訓練を終了すれば、士長に昇進し、日々練度向上や各部隊で捕虜に対する対応について警務官と講義を行う。


 捕虜収容所では、北海道に侵攻したソ連兵の一部を収容している。


 ヨハン・ニコラビッチ・チェルノフ少佐も、ここに収容されている。


 彼は佐官であるため、捕虜収容所では士官居住区の2人部屋に収容されている。


 広くない部屋だが、2人で寝起きする程度なら、問題無い。


 士官、下士官、兵を問わず、収容所内での行動は自由であり、許可された部屋は朝、昼、夕、深夜を問わず、出入りが許可されている。


 ただし、就寝時間内の行動は、他の捕虜に迷惑を与えない事が義務付けられている。





「チェルノフ少佐。面会時間です。面会室に来てください」


 黒色の軍服を着た、日本兵が声をかけた。


 訛りのあるロシア語だが、聞き取れないロシア語では無い。


「わかりました」


 チェルノフは立ち上がり、自室を出た。


 2人の看守は左右に立ち、面会室に移動する。


 看守が携帯しているのは黒色のヘルメット、黒色のボディーアーマー、無線機、警笛、透明なサングラスのような物で武器は警棒ぐらいである。


 看守たちが出入りするドアに近づくと、ドアの横で小さな窓からこちらを見ている看守がボタンを押す。


 ブゥゥゥ!


 という音と共にドアから、カチャ!という音がした。


 看守の1人が、ドアを開ける。


(スペース・アグレッサーはアメリカの欺瞞情報では無い・・・か)


 ヨハンが、心中でつぶやく。


 ドアが閉まると、カチッ!という音がした。


 そのまま進むと、1つのドアの前に立った。


 看守の1人がドアを開けた。


 ヨハンが入ると、背広姿の40代後半ぐらいの男と、30代前半ぐらいの男がソファーから立ち上がった。


 40代後半の男が、日本語で話しかけた。


 しかし、ヨハンは日本語がわからないから、彼が何を言っているのか理解できない。


 すると、30代前半の男がロシア語で通訳した。


「日本共和日報社で社長兼編集長をしています窪川(くぼかわ)(しのぶ)と申します」


 30代前半の男が通訳し終えると、窪川という男が一礼した。


 看守と窪川が何か話し、その後2人の看守が後ろに下がった。


 窪川がヨハンにソファーに座らせると、窪川と通訳の男が腰掛けた。


「何か飲み物はいかがですか?ロシアンティー等、いろいろ用意できますが?ただし、アルコール以外で・・・」


「ロシアンティーをいただきます」


 ヨハンがそう言うと、通訳の男が窪川に通訳した。


 窪川、通訳の男、ヨハンの3人の前にロシアンティーが置かれた。


「お願いがあるのですが、ソ連でのロシアンティーの正しい飲み方を教えてくれませんか?」


 窪川の言葉を、通訳の男が通訳する。


 質問の意味がわからず、ヨハンは首を傾げたが、一般的なソ連でのマナーを教えた。


「これは、ICレコーダーと言って、そうですね・・・会話を録音する機械と思って下さい」


 窪川が、ポケットから取り出した手の平サイズの箱のような物を見せ、そう言った。


「これから、貴方に取材させていただきたいので、会話を録音させていただけますか?」


 なぜ、わざわざ断りを入れるのか理解できなかったが、ヨハンは無言でうなずいた。


「貴方の故郷の事を、教えていただけますか?」


 窪川の質問に、ヨハンは当たり障りの無い事を答える。


 この後も、2人の記者はソ連での一般的な生活や、ソ連の長所ばかりを聞いてきた。


「なぜ貴方がたは、私の祖国の良いところばかりを聞くのですか?」


 面会時間の終了間際に、ヨハンは窪川に聞いた。


「知りたいからですよ」


「?」


「私が学生の頃は、共産主義に悪いイメージしか持っていなかったのですが、どんな主義にも良い面と悪い面はあります。それを平等に判断する記録を、後世に伝えたいのです。私の個人的願望のようなもの、とでも思って下さい。ソ連の人々が当たり前の生活の中で何を感じ、何を夢見ているのか・・・それを知りたい。それだけです」


 そう言って窪川は笑みを浮かべた。





 後にわかる事だが、この2人の目的は民主主義の国で報道統制され、決められた内容しか視聴者たちに報道できなかった、共産主義の本当の姿を記事にするためだ。

 日本本土防衛戦 番外編をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 多分、突っ込み所満載と思いますが、榴璃軍の兵器一覧につきましては設定集で近日中に投稿します。

 部隊概要その他は外伝の朝鮮半島独立篇と政治篇で説明する予定です。

 次回は息抜きのために閑話と断章を投稿します。戦闘が続いているため、ちょっとした気分転換で書きました。ほのぼの系の話にしています。読者のみなさまも気分転換で息抜きしていただければ幸いです。 次回投稿日は9月19日を予定いています。

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