表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/99

91.圧倒

「ぐぬぅ……」


 ドラゴンは険しい表情をしている。


「前座はこれくらいで十分か?」


 アリシアはニヤリとしながら煽る。だが……、


「前座はまだまだ続くぞ」


 今度はドラゴンがニヤリとし、そして、ブレスを吐く。


「っ……!」


 クガとアリシアは警戒するが、ドラゴンが放ったブレスはキラキラと瞬くだけで、攻撃性があるものではないようであった。

 しかし、当然、何の意味もないわけでもなかった。


 クガとアリシアに仕留められた紅龍と青龍がみるみるうちに再生していく。


「我が手下は何度でも再生する」


【なんと……!】

【蘇生のブレスってことか?】


「紅龍と青龍だけでは物足りなかろう……緑龍」


 ドラゴンがそう呟くと、さらに風を纏った緑のドラゴンが出現する。


「ふん……次から次へと……手下ばかりに構っていても埒が明かない。クガ……!」


「ん……?」


「三体まとめて頼んだ!」


「えっ……!?」


【クガ、やれ……】

【無茶ぶり来たぁああ!!】


 アリシアはクガの返事を待たずして、ドラゴンに向かって、猛進していく。


「改めまして、こんにちは」


「っ……!」


 アリシアはドラゴンの目の前に現れ、煽るように挨拶する。


 ドラゴンは牽制するように、炎のブレスを放つ。


 だが、アリシアはすでにそこにはいなかった。


「……瞬間移動か、こざかしい」


「えぇ……」


 アリシアは不敵に微笑んでいる。

 すると、ふいにドラゴンが問いかけてくる。


「貴様……魔物だよな?」


「ぬ……? そうだ。吸血鬼だ」


「吸血鬼? 聞いたこともない……だが、つまり、SS級の座を奪いに来た……そういうことよな?」


「そうだ!」


「そうか……だが、不思議なのだが、もう一人の奴は人間に見える」


「そうだが……?」


「やはりそうか……三龍に対峙させ、捨て駒にしたとはいえ、貴様、魔物の身にして、人間を眷属にして恥ずかしくないのか?」


「特に」


【なんだこのドラゴン、差別主義者か?】

【いや、吸血鬼さんが変わってるだけ説も】


「それにクガは眷属ではない。私の何者かだ……!」


 アリシアは触手をドラゴンに向けて発進させる。


「ふん……そんなも……っ……!」


 アリシアの触手がドラゴンの左肩付近に突き刺さる。


「おぉ……流石に硬いな……」


 アリシアは想像以上にドラゴンの皮膚が硬かったことから口をぽっかりと開けて驚いている。


 だが、それ以上に、驚いていたのはドラゴンであった。

 触手が自慢の堅牢な表皮を貫き、想像以上に皮膚の内側深くまで食い込んできたからだ。


「こざかしい……!」


 ドラゴンは身体を大きく回転させ、その巨大な尾を薙ぎ払う。


「おっとっと……」


 しかし、吸血鬼は無傷でそれを回避し、ひょうひょうとした様子である。


「っっ……」


 ドラゴンは想定していなかった状況に、僅かながら焦燥を感じる。

 さらに……、


「ぐぎゃぁああああ!!」


「ん……?」


 横からは手下のドラゴンの叫び声が聞こえてくる。


「なっ……!?」


 ドラゴンにとって更に想定外の事態が連続する。


 吸血鬼が捨て駒にしたと推測していたクガ(人間)が手下のドラゴン三体全てを討ち取っていたからだ。


「アリシア、大丈夫か?」


「あ、あぁ……」


 すぐに駆けつけてきたクガに心配され、アリシアは一瞬、豆鉄砲をくらったような顔になるが、素直に返事をする。


【すげぇ、ドラゴンを圧倒してる】

【さぁ、吸血鬼さんとクガ、二人揃ったぞ】

【ドラゴン、覚悟はいいか?】


 アリシアが四本の触手を伸ばし、クガはドラゴンに突進する。


「ぐぎゃっ!」


 アリシアの触手がドラゴンの身体に突き刺さり、ドラゴンは痛みに顔を歪める。


 そして、クガはドラゴンの首を落とすべく頭部に向かう。


「こざかしい……!」


 ドラゴンはクガに向けて、火炎弾を放つ。

 しかし、クガは素早くそれを回避する。


「くっ……!」


 アリシアの触手が身体の自由を奪っており、ドラゴンは逃げることもできない。


【うぉおおおおおおお!!】

【やっちまえぇえええええ!!】


 クガは好機と見て、ドラゴンの首筋を見据えて、大剣を振りかぶる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【作者新作】

<新作のリンク>

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ