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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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90.ドラゴン

 それは家出魔物少女を連れていくことが決まってすぐのことだった――。


【この家出魔物少女……ドラゴンだったりして……】


 とあるリスナーのなにげない推測が一撃で核心に迫ってしまうのであった。


「え……? どういうことだ?」


 アリシアはリスナーに尋ねる。


【このタイミングでの露骨に怪しい〝拾ってください〟】

【二本の角に爬虫類のような赤い尻尾……】

【SS級ボスでその特徴が当てはまりそうなのドラゴンくらいじゃね?】


 =========================

【SS級ボスリスト】

 ・天狗 ・ケルベロス   ・ドラゴン

 ・悪魔 ・リヴァイアサン ・ベヒーモス ← パーティ〝サムライ〟に撃破された

 =========================


【ぎりぎりリヴァイアサンは当てはまるかもだけど、リヴァイアサンのイメージカラーは青だよな】

【あぁ、リヴァイアサンは青だ。間違いない】

【リヴァイアサンは青以外ありえない】


 リスナー達は謎にリヴァイアサンは青に自信を持っていた。


「え……? じゃあ、本人に聞いてみればいいか?」


 アリシアがリスナーに尋ねる。


【うーん、でも、ここまだ48層だしな】

【ボスとしてアクティベートしてないってこともありうるかも】

【だまして連れて行った上でドヤ顔するつもりが事前にばれたら、恥ずかしくなって、いなくなっちゃうかもしれない】


 そんなことあるか……? とクガは心の中で思う。


【結論として、この家出魔物少女についていけば目的のドラゴンと戦えるってことだね!】


「どうする? アリシア?」


「うむ、まぁ、他に当てもないしいいんじゃないか?」


「そうか」


「なにがですかー?」


 家出魔物少女が無邪気に尋ねる。


「い、いやいや、な、なんでもないよ」


 アリシアは方針決定直後は、若干、挙動不審になっていたが、こうして、クガ、アリシア、アイエは従順に家出魔物少女についていくことにしていたのであった。


 ◇


「何はともあれ、私はドラゴンと戦いたかったのだ! ありがとう!」


 アリシアは生き生きとした様子で家出魔物少女に礼を言う。


「ふん、少しは役に立ったのかと思えば、相手に利用されていたのか。お前は邪魔だ。立ち去れ」


「そんな……」


 ドラゴンが家出魔物少女に冷たく言い放ち、家出魔物少女は悲しそうな表情を浮かべながらも、すごすごと去っていく。


「いいじゃないか。結果として、どちらも目的を果たしたのであれば、細かいことを言うなよ!」


 そう言いながら、アリシアは開戦の挨拶とばかりに紅く尖った石のような物体をドラゴンに向かって撒き散らす。


「ふん……」


 ドラゴンは翼をはためかせる。

 それだけで、まるで嵐のような強風が発生する。

 アリシアの飛ばした紅石を無慈悲に撃ち落とす……はずだったのだろう。


「っ……!」


 アリシアの紅石は風を受けてもなお猛進し、そのままドラゴンの身体に到達する。

 紅石はドラゴンの硬い表皮を破り、ドラゴンに傷をつける。


「どうした? ドラゴン? そんなに遠慮しなくてもいいのだぞ?」


【いいぞー! 吸血鬼さん!】

【吸血鬼さん、なめんなよ……!】


「ははっ……そんなに早く消滅したいのであればお望み通りにしてやろうぞ……!」


 ドラゴンがそう宣言すると、赤いドラゴンと青いドラゴンが出現する。

 大きさは本丸であるドラゴンの半分くらいだ。


「紅龍、青龍……やれ」


 紅龍はクガに、青龍はアリシアに向かって突進してくる。 


「うおっ!」


 クガは紅龍の最初の突進をなんとか回避する。


「グギャアアア!」


 紅龍はすぐに方向転換し、今度は振り向きざまに火炎弾を発射する。


「うおりゃ……!」


 クガはその火炎弾を大剣で、叩き落すように防ぐ。


 紅龍は火炎弾を吐いてから間髪入れずに突進を開始しており、そのままクガに体当たりする。


「ぬぐ……!」


 クガは紅龍の突進を大剣で正面から受ける。


 紅龍の鋭い牙と大剣がぶつかり合い、そのまま、つばぜり合いとなる。

 と……、


「んっ……?」


 クガの耳に何やら轟音が飛び込んでくる。


「なっ……!?」


 それはドラゴンが炎のブレスを発射した音であった。

 そのブレスはクガの方に向かっている。

 だが、その攻撃範囲は紅龍も含んでいた。


【うわぁああああ!!】

【こいつ手下のドラゴンを巻き添えにして】

【最近、どこかで同じような光景を見たような……】

【ジャスティス人間の魔法少女ちゃんな……】

【つまり紅龍には炎耐性があるってことかな】


 クガと紅龍がいた場所は、ドラゴンが放った強力な炎に包まれる。


「ふはは……他愛ない……これで早くも一匹……」


 ドラゴンは機嫌良さそうに微笑む。


 やがて炎が収束する。すると……、


「なっ……!?」


 炎の中の光景はドラゴンが想定と異なっていたようだ。


 そこには、首が落ちた紅龍の姿があった。


【うぉおおおお、クガぁあああ】

【流石にこんなんでクガが負けるとは思ってない】


 更に……、


「ぐぎゃぁああああ!!」


 少し離れたところでは青龍が穴だらけにされていた。


【吸血鬼さん、ナイスファイトです】

【こんな手下ドラゴン二匹では役不足でしょ】




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