78.成果
「いやー、すっきりしたー! それじゃあ、帰って早速、ハチミツを使ったポーションとやらを作ろうではないか!」
アリシアはシャワーを浴びて、すっきりしていた。
「ん……? どうかしたか? クガ……」
アリシアは、なぜか少々、気まずそうにしているクガに気付く。
「い、いや……」
クガはそれなりの罪悪感とちょっぴりの背徳感を感じていた。
「……?」
アリシアは不思議そうに少し首を傾げる。
ヘビオはすでに防護服を着ているため、表情は不明であった。
クガは、ヘビオから口止めされているわけではなかった。しかし、デリケートなことかもしれないので、そういうことを勝手に喋るのは良くないと思い、口を閉ざすのであった。
……
その後、アリシアの城のキッチンに戻った四人は、ハチミツを使用したポーション生成を再開する。そして……、
「こ、これで完成……複数の薬草とハチミツのブレンドポーション」
黄色……よく言えば黄金に輝く液体が入った瓶を手に取りながら、アイエが息をのむ。
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【本日のブレンド】
のはら草 × 1 …… 治癒力C
はなぞの草 × 1 …… 治癒力C
ゆうやけ草 × 1 …… 治癒力B
すいけい草 × 1 …… 治癒力B
ハチミツ × たっぷり
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どういうブレンドにするか、という話になった際、アリシアの「とりあえず採れた奴、全部ぶち込めばいいんじゃない?」という意見が色濃く反映された結果である。ちなみにリスナーには企業秘密の特別なブレンドと伝えている。
「そ、それじゃあ、誰が最初に飲む? 僕は多分、何でも飲めちゃうみたいだから参考にならないと思うけど」
アイエが三人に視線を送る。
「そ、そうだな……えーと……」
普段であれば真っ先に行動するアリシアであるが、前回飲んだポーションがよっぽど不味かったのか、尻込みしている。
【クーガ、のーめ!】【クーガ、のーめ!】【クーガ、のーめ!】
リスナー達はクガをご指名のようだ。
クガは、俺がなにか恨まれるようなことでもしたか……!? と思いつつも、致し方なしとポーション瓶を手に取る。
そして、意を決して、口に運ぶ。
「っっっ……!」
【どうだ……?】
【感想をどうぞ】
「の……飲みやすい……」
【飲みやすい……とは……?】
【なんだその酒飲んで味の良し悪しわからんけど、とりあえず褒めとこうみたいな感想は……!】
【ちっ……つまらんな】
リスナーの少々、辛辣な反応にクガは苦笑いする。
「どれどれ……ならば……私も飲んでみようかな……」
クガの毒味を見たアリシアは、少々、怯えながらもポーションに口をつける。
「お? おぉおおお、確かに……! 美味しい! 美味しいぞ!!」
四種の薬草がいい感じに融合し、ハチミツの甘味で中和されたのか、ブレンドポーションは存外、いい感じに出来上がってしまったのだ。
「じゃ、じゃあ、僕も……」
今度はアイエが試飲する。
【どうだ?】
【アイエに人類の味は通用するのか?】
「え、なんだこれ……」
アイエはほろりと涙を流す。
【ちょ、アイエさん……!?】
【まさかに落涙】
「こ、これがポーション……? 信じがたい……それに……治癒力の方もなかなかのものだ……」
「すごい! すごいぞ、ヘビオくん!」
アイエの反応を見たアリシアが嬉しそうにヘビオを讃える。
「当然でしょ。僕のハチミツを使ってるんだ」
そんなことを言っているが、ヘビオも満更でもなさそうであった。
◇
ポーションの生産が軌道に乗った頃――。
クガの元にニュースが舞い込んでくる。
それは新たなS級パーティ誕生の報せであった。
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【S級パーティ】
①ルユージョン……正統派
②あいうえ王……ソロダンジョン籠もり
③デュエリスト……プレイヤー間の決闘を好む
④ジャスティス人間 ← NEW
⑤クマゼミ ← NEW
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