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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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75.自作

「え!? ポーションって自分で作れるんですか?」


「だ、堕勇者さん、興味があるみたいだね」


「えぇ……ポーションは探索の役に立ちますし、配信のネタにもなりそうです」


 更に、うまくいけばポーションを商材にすることもできるかもしれない……とクガは思う。

 まさに、一石三鳥である。


 というわけで、その日は四人で城周辺の薬草採集配信を行ったのであった。


 最初は【また草むしりで草】などとコメントされたりもしたが、【たまにはこういう和やかなのもいいね】というような意見もあり、概ね好評であった。


 =========================

【本日の収穫】

 のはら草 × 12 …… 治癒力C

 はなぞの草 × 6 …… 治癒力C

 ゆうやけ草 × 3 …… 治癒力B

 すいけい草 × 5 …… 治癒力B

 =========================


「うんうんうん、こ、これは悪くない収穫量だよ」


 アイエが本日の収穫メモを見ながら、満足げに頷いている。


「これも薬草だったんだ……知らなかった……」


 ヘビオはすいけい草を手に取って、ぼんやりと眺めている。


「いや、俺は、のはら草しか知らなかったんだが……」


 クガは感心するように言う。


「いや、堕勇者、それは逆に知らなすぎ」


 とヘビオは言うが……、


【俺も知らなかった】

【逆に、普通の薬草以外が薬草として機能すること自体知らなかったわ】

【流石はダンジョン籠りのアイエ……】

【いや、ヘビオくんもなかなかだな】


 実際のところ、アイテムドロップなどで手に入る通常の薬草(〝のはら草〟)しか知らない探索者が大半であった。


「こ、この辺は、すいけい草が結構、自生しているみたいだね。こ、この薬草は結構、レアだよ」


「そうなんですね。ちなみにアイエさん、この治癒力というのは……?」


 クガがアイエのメモを見ながら質問する。


「あー、そ、それは僕が独自にランク付けしたものだよ」


「なるほどです」


「ほほう、つまり、アイエもん、これを食すと体力が回復するというわけだな」


 そう言うと、アリシアは自分が摘んだすいけい草をおもむろに口に運ぶ。


「あ、そうなんだけど……」


「ぶぇえええええ!!」


 アリシアはすいけい草を一口、口に入れて吐き出す。


「そ、そのままだとすごく摂取しづらいよ」


「アイエもん、そういうことは先に言ってくれ!」


【いきなり食うのが吸血鬼さんらしい】

【どんな味がするんだろうな】

【普通の薬草はレタスみたいで食べやすいけどな】

【……吸血鬼さんが吐いた薬草】

【……ゴクリ】


(ファイア)


 クガはアリシアが吐き出した薬草を炎の魔法で燃やす。


「ぬ……? クガよ、なぜ燃やすのだ?」


「……気にするな」


 クガは不思議そうに見つめるアリシアから目を逸らす。

 人間界にはアリシアの想像を絶することに価値を見出す輩が結構いるのだ。


「でも、アイエさん、摂取しづらいなら、どうやって治癒力を算出したんでしょうか?」


 クガがアイエに尋ねると……、


「え? あー、うん」


 突如、アイエがしゃがみ込む。

 そして、自分の下に生えている草をむしり取ると、むしゃむしゃと食べ始めた。


「な……!?」


「僕、わりと何でもいける口だから」


【クガはアイエの悪食っぷりを知らないのか?】

【こいつ、何でも食うぞ】


「そ、そうなんですね……美味しいんですか?」


「い、いや、とても不味い」


 アイエは淡々と答える。


「となると、ほとんどの薬草が一部の何でも食べられる人にしか扱えないってことですかね?」


「ま、まぁ、そのままだとやっぱり摂取しづらいよね。そ、そこで〝ポーション生成〟というわけだよ」


 ……


「ということで、ポーションを作っていきたいと思いまーす」


 城のキッチンにて、アリシアがポーション生成開始を上機嫌に宣言する。


 ポーションとは、液状の薬の総称である。

 薬草に比べ、携帯性が高く、摂取が容易であることから基本的にはポーションの状態で使用されることが多い。


 しかし、クガはアイテムドロップでしか入手したことがなく、そもそも自分で作れるものであることすら知らなかった。


【え? ポーションって自分で作れるの?】

【まじか、こんなの公開しちゃっていいのかよ】


 クガ同様、リスナーも知らないことであった。


「あ、あれ? 今まで公開してなかったっけ?」


 アイエは計画的に配信するタイプではなく、自分がどこまで情報を公開しているのかに対して無頓着であった。


「まぁ、いいよ。別に隠していたわけでもないし。大したことでもないし」


【うぉおおお、アイエさん太っ腹】

【楽しみ】


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