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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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71.対決

 グェ……グェ……グェ……グエ!!


「ぎゃぁあああああああああ!!」


 アリシアは絶叫する。


「な、なんだ、このヌメヌメとした生物は!?」


「何って……ウシガエルだけど……」


 ギュウッ……!


 ヘビオが淡々とウシガエルが捕獲しながら言う。


「クガ―、聞いてないぞ! 人間界にこんな奇怪な生物が生息しているなんて……!」


「お、おう……」


【吸血鬼さん、カエルが苦手なのか?】

【ダンジョンの魔物より明らかに大したことないでしょ】

【てか、ダンジョンにもカエルっぽい魔物いるでしょ笑】


 そう、アリシアはウシガエルが飛び掛かってきたことに絶叫していたのである。

 現在、クガ、アリシア、ヘビオの三人とその他三人のチームに分かれて、外来生物駆除の対抗戦を開催中である。


 ◇


 少し前のこと――


 ウラカワが話を切り出す。


「今から俺達は自然保持活動の一環として、外来種駆除をする」


「ほほう……」


 アリシアは「なるほど」とでも言うように頷いているので、クガが確認する。


「アリシア、わかるのか?」


「……いや、わからぬ……外来種とは?」


 その疑問にムシハラが答える。


「外来種というのは、この国の外の国から侵略してきた生物のことです。外国の環境で生きてきた生物は、時に日本のその他の生物より遥かに強い生命力・繁殖力を持ち、これまで日本に根付いていた生物達の生態系に悪影響を及ぼすのです」


「なるほど、よくわからんが、侵略の何が悪いのだ?」


 魔物の価値観的には侵略は当然の権利のようだ。


「まぁ、そうですね。一旦、侵略は悪いことではないとしましょう。ならば、守ることも当然の権利ではないですか?」


「ふむ、確かにそうだ。だが、ならば、なぜ無関係な人間がそれをするのだ?」


「無関係じゃねえからだよ」


 ウラカワが割り込む。


「ウラカワさん、私から説明します……」


 とムシハラ。


「先ほど、外来種は侵略してきたと言いましたが、実際には人間が外国から持ち込んだ生物なんですよ」


「……! つまるところ、人間が勝手に持ち込んだ生物が、その生態系に悪影響を及ぼしているから、その責任を取るということか?」


「そういうことです」


「……外来種とやらからすると、なんとも理不尽な話だな」


「そうですね。だからといって、感情論だけで、放置するわけにもいきません。誰かがやらないといけないんですよ。たとえ(むご)い手段であっても」


「……」


 クガはなんとなくイビルスレイヤーのダンジョンにおける活動方針の根源をみた気がした。

 魔物は意図的でないにしても侵略者であり、彼らにとって駆除の対象である。

 ムシハラが「魔物は嫌いだが、憎んではいない」と言っていたのもそのためかと思う。


「そういうわけで、せっかくですから、吸血鬼さんも参加していきませんか?」


 ◇


 そこからなぜかただやるだけじゃ面白くないから勝負にしようということで、現在、クガ、アリシア、ヘビオの三人とその他三人のチームに分かれて、外来生物駆除の対抗戦を開催中というわけである。


 ルールは単純で、制限時間内により多くの外来種を駆除したチームの勝ちである。

 しかも、負けた場合、勝ちチームの命令を一つ聞かなければならないという罰ゲームにも、うっかりアリシアが了承してしまった。


 いや、流石にこのチーム分けは不利すぎるだろ……と思うクガ。すると……、


「あ? ウラカワさんから通知だ」


 ヘビオが通知を確認する。


「ん? ウラカワさん達の配信を観ろって?」


 ヘビオは指示に従い、ウラカワチームの配信をつける。


〝おーい、吸血鬼ちゃーん、駄目勇者、ヘビオくーん、観てるかー?〟


 配信をつけるとウラカワがめっちゃ煽り顔だ。


〝そっちの調子はどうですかねー?〟


「こ、こっちも10匹は捕まえたぞ……!」


 アリシアが煽りに引っかかり、対抗するようにドローンに向かって言う。


〝なるほど、そうですか……なかなかいい調子ですね〟


 ウラカワはこちらの配信を確認しているようで、アリシアの言葉に反応する。


〝いやー、10匹かー、なかなか強敵だなぁ〟


「ふふ……そうだろ……」


 と、アリシアは満足げだ。

 クガはすでに嫌な予感しかしていない。


〝はい、じゃあ、ムシハラ、こっちの様子を見せてください〟

〝はい、ウラカワさん。これでーす〟


「くぁzwsx!!」


 アリシアは絶句する。


 ウラカワチームの画面上には、バケツいっぱいに埋め尽くされたおびたただしい数のオタマジャクシがピチピチとうごめいていたからだ。


「ぎゃぁああああああああ!!」


〝ムシハラー、これ何匹くらいかな?〟

〝ざっと1000はいると思いますねー〟


「せ、せんんんん!?」


 アリシアは大量のオタマジャクシの衝撃映像とその数の多さに二重のショックを受け、口をパクパクさせている。


〝というわけで、吸血鬼ちゃーん、駄目勇者、ヘビオくーん、健闘を祈る〟


 ウラカワがそう言うと、三人は作業を再開してしまう。


【こ、これは……】

【煽り力は健在だな……】


 配信外では思いのほか落ち着いた雰囲気のウラカワであるが、配信が始めると謎のスイッチが入るようで、煽り性能が高くなるようであった。


【うざいけど、正直、おもろいwww】

【吸血鬼さんが負けて曇ったところも見てみたい】


「なっ……!」


 内容が自然保護という健全な事柄ゆえ、リスナー達も結構、鬼畜である。



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