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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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52.守護ゴーレム専門店

「で、ここは?」


 アリシアは人狼兄に尋ねる。


 クガとアリシアの二人は再び、人狼兄に連れられて、街外れにポツンとあるなにやら怪しげな店に来ていた。


 その店には守護ゴーレムとおぼしき石盤がところ狭しと並んでいた。


「守護ゴーレム専門店っす」


「ほ、ほう……?」


【専門店あるのかー、もはや一大コンテンツだな】

【吸血鬼さん、わかってなさそう】


 配信再開後、早速、コメントするリスナーの指摘通り、アリシアはよくわかっていないようであったが、人狼兄は店の奥へと歩みを進める。


「何を隠そう……僕がミノタウロスと運命的な出会いをしたのもこのお店……」


【唐突な自分語りw】

【ってか、ミノちゃんもこういうのやるんだw 意外な一面w】


「おー、いたいた……店長……!」

「お? レブロか、久しいな」


 人狼兄に呼びかけられた店長は人間くらいの体格で、なぜか和装をしており、仮面姿という怪しさであった。


「レブロ……?」


「じ、自分の名前っす」


 アリシアがじとっと人狼兄を見つめると、人狼兄は少し恥ずかしそうにしている。

 クガもこの時、初めて、人狼兄はレブロという名だということを知るのであった。


「店長、ここに人間がいるが……」


「ん? 人間だと!?」


「あぁ、そうなんだ……だが、とりあえずは危害を加えるような奴ではない」


「やや……! そいつは……!」


「ん……? 店長、知っているのか?」


「あぁ……吸血鬼が人間を連れていると、多少は噂になっているからな」


【クガ、すでに魔物界でも噂されてんのかw】

【よかったな……! 有名人じゃん!】


「……」


 複雑な気持ちのクガがいた。


「それはそうと、店長、ちょっと見積を頼みたい」


「お……? なんだい……? 掘り出しものかい?」


「姉さん、一瞬いいですか? 先程の石盤です」


「お、おう……」


 アリシアは少し戸惑いつつも、人狼兄に石盤を渡し、そして人狼兄がその石盤を仮面店長に見せる。


「なになに…………お、ウォールのレベル10か!」


 仮面店長のテンションが少し上がる。


「あぁ、今だといくらくらいになる?」


「ウォールは性能、見た目、両方が高水準だからな……」


【いくらだ……?】

【守護ゴーレムの種類とレベルに応じて、相場が変わるって感じかな?】

【他人事ながらわくわくする】


「ちょっと待ってな……」


 仮面店長は何やら調査し始める。


 その間にクガは人狼兄に尋ねる。


「なぁ、レベルが結構、値段に影響するのか?」


「そうですね、かなり影響します。レベル10は最高レベルでして、場合によっては一つ下のレベル9の3倍、いやそれ以上の値がつくこともあります」


「……なんと!」


 仮面店長の相場調査は少し時間がかかるようで、その間にクガらは店内を物色する。

 店内には多種多様な守護ゴーレムが陳列されており、中にはショーケースに格納され、二百万円の値がついているものもあった。

 また、店の奥の方には階段があった。

 しかし、上階へと続く階段には〝会員様専用〟、地下へと続く階段には〝スタッフ専用〟と書かれた立て看板があり、結局、どちらにも立ち入ることができなかった。


【ひょっとして上階にはもっと高額な守護ゴーレムが売られているのか!?】

【まじか。やばいなw】


 リスナー達は想像を膨らませている。と、アリシアがふいに素朴な疑問を抱く。


「ぬ……? ここは一階なのに、なぜ下へと向かう階段があるのだ?」


【吸血鬼さん、地下室ですよ】


「地下室……?」


【えーと、地下に部屋を作ることは人間界では割とよくあるのだけど……】

【ひょっとして魔物の街には地下室は珍しいのかな?】


「へぇー、人間界では普通のことなのか……人間界……か……」


 アリシアは少々、遠くを見るような意味深な表情を見せる。

 そんな感じで店内を物色しているうちに、仮面店長の相場調査が終わったようである。


「そうだな……ウォールのレベル10だと……30万はかたいな」


「っ……! 30万……!」


【30万きちゃーーーーー!】

【結構、いきましたなー】

【吸血鬼さん、いくら使ったんだっけ?】


 クガもその値段を聞き、皮算用する。


 使った金が10万くらいだから、+200%もの大黒字だ。


「アリシア……よかったな」


「……?」


 が、しかしクガの予想に反し、アリシアは特に嬉しそうにするでもなく、きょとんとしている


「あ、えーと……それを売れば、+20万円の利益となるわけ……」


「売らぬぞ」


「え……?」


「この子は売らぬ」


 アリシアはきっぱりと言う。どういうわけか売るつもりはないようであった。


「お時間お取らせしたのにすみません」


 クガは仮面店長に頭を下げる。


「いんや、よくあることさ。お気になさらず。また来なよ、クガくん」


「あ……はい」


 幸い、仮面店長は嫌な態度一つしなかった。


「……」


 しかし、クガはふと思う。


 あれ? 仮面店長に名前、伝えたっけ……?


 ……


 店を後にしたクガ、アリシア、人狼兄の三人は一度、アリシアの城へと戻る。

 そして、城の外周部にて、アリシアは早速、先ほどの石盤を取り出す。


「早速、お披露目といこうじゃないか……ゴーレム召喚!」


 アリシアがそう宣言すると、石盤から、ゴーレムの〝ウォール〟が出現する。


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