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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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51.フラグ回収

 あっという間に取っ手を捻ると、ガコンという音と共に石盤が出てくる。


「どれどれ……」


 アリシアはその石盤をひょいっと手に取り、眺める。

 石盤をよく見ると、下記のような記載がある。


 ==========

 ボンバー ランクA


 爆弾を投げて戦う。


 レベル6

 ==========


「どうなんだ、これは?」


 アリシアは人狼兄に尋ねる。


【こういうのって、ついついワクワクしちゃうよな】

【ワクワク】【どうだ……?】


「まぁ、ハズレですね」


「っ……!」


 アリシアはガーンという効果音でも聞こえてきそうな表情を見せる。


【あらら、残念……】

【まぁ、そんなにうまくはいかないよ】


「だ、だが、大丈夫、これを戻して……」


 アリシアは箱の上部に石盤を戻す。

 すると、石板が箱に吸収され、2000円が出てくる。


「お金ゲットだ!」


 アリシアは嬉しそうに2000円を取り出す。


「……」


 そのアリシアの笑顔を見て、クガは内心、心配になる。


【守りたい。この笑顔……】

【うーん、これは……嫌な予感……】

【いけー! どんどん回せーーー!!】


「これを軍資金にして……」


 アリシアはポケットから取り出した3000円と合わせ、再び、5000円を箱に投入する。


 ……


「これが最後……これが本当に最後……」


 普段の自信にあふれる彼女からは想像できないように、やつれたアリシアがぼそぼそと呟いている。


【きゅ、吸血鬼さん……】

【あの……煽ってごめんね……もうそのくらいにしとこ?】

【笑顔……守れなかった……】


 リスナーも結構、ガチでアリシアを心配している。


「あ、アリシア……? もう止めておいた方がいいんじゃ……」


 クガはアリシアを少々、不憫に思いながらも心を鬼にして助言する。


「できぬ!」


「っ……」


 アリシアは目頭に少し涙を浮かべ、必死に言う。


「ここで止めたら、私が今まで投入したお小遣いが全部……全部、無駄になってしまうではないか……!」


 アリシアは守護ゴーレムくじに10万円余りの有り金を吸い取られていた。

 しかもハズレを引いたらキャッシュバックしていたため、手元に残っているものすらなかった。


「あ、姉さん……申し訳なかったっす。こんなつもりじゃ……」


 人狼兄も結構、申し訳なさそうにする。

 まさか、アリシアがここまでくじ運が悪いとは思っていなかったのであろう。


「自分のそこそこの当たりの守護ゴーレムを譲りますゆえ……」


「ならぬ! 私のクガ(何者か)グレイ(眷属)人狼兄(眷属)から物品を巻き上げるなど、あってはならぬ!」


 アリシアは謎のプライドを見せる。


「わかった。とりあえず、アリシアは一回、落ち着くためにも、俺にやらせてくれ」


 クガは一旦、悪い流れを断ち切るため、そのように提案する。


「…………わかった」


 アリシアはやや納得いかなそうな様子ながらも、クガの提案をひとまず受け容れる。


 うーむ……どうしたものか……と、特に解決の糸口もないまま、時間稼ぎ的にクガは守護ゴーレムくじを回す。


 これまでと同じように、ガコンという無機質な音と共に、箱から石盤が出てくる。


【こういう時、出ちゃったりして】

【んな、都合よく……】

【ざわ……ざわ……】


 クガは出てきた石盤の内容を何気なく呟く。


「ウォール……ランクS……レベル10……」


 それを聞いた人狼兄は目を見開き、静かながら興奮気味の口調で言う。


「あ、(あに)さん…………お、大当たりっす……!」


 ==========

 ウォール ランクS


 壁を張り、守護対象を守る。


 レベル10

 ==========


【ランクS、きたぁああああああああああ!!】

【フラグ回収】

【でも、これってちょっと吸血鬼さん……】


 ぷちっ


「……ん?」


 アリシアは突如、配信を止めた。そして……。


「…………うわぁあああん!!」


 アリシアはクガをぽかぽかと叩く。


「ちょ、ちょ……アリシア!」


「なんだ、クガ! お前は! いいところ取りをしおって! 私が……私がたくさんやったから……!」


「だから……ほら……!」


「へ……?」


 クガは石盤を差し出す。


「……やるよ」


「……」


 アリシアはきょとんとしている。


「俺はお前の眷属じゃないから、受け取れるだろ?」


「……うむ」


 アリシアは視線をクガから逸らし、口を尖らせて、少し不満げな半眼で、石盤を受け取る。

 しかし、なぜか翼がぴょこぴょこと上下に動いているのであった。


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