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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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34/99

34.同時襲撃

 イビルスレイヤー攻城宣言から一時間後――。

 時刻にして午後三時ごろ――。

 とあるチャンネルの配信が突如、始まる。


「どうもー、イビルスレイヤーのウラカワでーす」


 ピンクの短髪の魔導師風情の男、ウラカワが愉快そうに配信を始める。


【お、またイビルスレイヤーの配信始まってんじゃねえか】

【あれから一時間しか経ってねえけども】

【また悪さするんかぁ】【まwさwかw】


「さっき、襲撃は三日後って言っちゃったんですが、間違えました。本当は一時間後でしたー」


【ちょwww】

【そんな言い間違いあるかいな】

【この下衆野郎が!】

【アンチの断末魔、最高ぅうう】


「俺は今、上層43層の吸血鬼の築城現場付近に来てるんですがー……実はですね、地下45層にも中継が繋がっております。地下45層のヘビオくん、ヘビオくーん!」


〝はい……〟


 画面が二つに分かれる。

 一つはウラカワが映った画面。


 もう一つの別画面には、ヘビオと呼ばれた人物がややテンション低めの声で応える。声は幼く少年のようだ。しかし、実際のところ、その人物の年齢等は見た目から判断できない。ヘビオは対ハチ捕獲用のような防護服に身を包んでいるからだ。そんなヘビオはイビルスレイヤーの一員である。

 ヘビオは意図的にドローンに接近しているのか画角一杯を占有しており、背景は視えない。


【ん? どういうことですかぁ?】

【ウラカワとヘビオは別の場所にいるってことだよな? なんでや?】


「はい、そーでーす。ヘビオくんが今いるのは、地下45層の……」


【地下45層……!?】

【ひょっとして……】


「勘づいた人もいますかね? そうです、ヘビオくんが今いるのは~~」


〝人狼の館の前です〟


 ヘビオのドローンがズームアウトし、人狼の館の全容を映す。

 更にはヘビオの傍らには、コボルトの屋敷に火を放った元S級ボスのサラマンダーもいた。


【相変わらずの下衆さwww】

【城を攻めると言っておいて、別の城、攻めに来る畜生www】

【サラマンダー完備w】

【タイトル 人狼の館、燃やしてみたってか?w】


〝グレイっていう人狼、結構好みなので、とりあえず館を燃やして鳴かせたいと思います〟


 ヘビオはぼそぼそとそんなことを言う。が、しかし……。


〝誰を鳴かせるって?〟


〝!?〟


 館の前で配信していたヘビオの背後から誰かが問いかける。

 ヘビオは振り返る。

 館の中から出てきたのは人狼兄であった。


〝あれ……人狼いるね……どういうことだろ?〟


 人狼達はアリシアの城を建てるために出払っていたはずだった。


〝アリシアの姉御にすぐに城に戻るように指示されただけだが……?〟

〝……〟


【あ、ウラカワさん、吸血鬼も配信始めたみたいっすよ】


「あん?」


 ウラカワはやや不満そうに端末を操作しアリシア達の配信を流し始める。


〝こんにちは、リスナーの皆さん……アリシアです〟


 ウラカワが観る映像では、築城現場にいるアリシアがリスナーに向かって挨拶をしている。


〝やはり、なんとかスレイヤーの襲撃はすでに始まっているようです。〟


 奇襲されたはずのアリシア達に焦った様子はない。


〝清々しい程の悪ではあるが、驚きはない。この戦い、正面から受けて立つ!〟


 アリシアはそんな風に宣言する。


「はは……魔物が俺達を悪呼ばわりとはよく言うじゃねえか……」


 ウラカワは呟くように言う。


「おい、ヘビオ、分かってると思うが、人狼は城に戻っているようだ……」


 配信越しにウラカワはヘビオに伝える。


〝別に問題ないよ〟


 ヘビオは淡々と応える。そして……。


「なぁ、吸血鬼ちゃーん、見てるのぉ?」


 ウラカワはねっとりとした声で自身のドローンにささやきながら手を振る。

 画面越しのアリシアの視線が動くことを確認する。


「すぐに館に人狼を戻したのは偉かったねー」


 画面越しのアリシアは怪訝そうな表情を見せる。それを見てウラカワの口元が少し上昇する。


「でもさー、吸血鬼ちゃーん、実はもう少しサプライズがあるんだよねー」


 ウラカワがそう言うと、イビルスレイヤーの配信画面が四つに分割される。

 それを見たアリシア、そしてクガは同時に唇を噛み締める。

 イビルスレイヤーの放送で追加されたのは二つの画面である。

 可能性としては考えられた。しかし、一時間ではそこまでの準備ができなかった。

 一つ目に映っていたのは、クマゼミ。

 そして、二つ目に映っていたのは、ミノタウロスのミノちゃんであった。



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