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追放された器用貧乏、隠しボスと配信始めたら徐々に万能とバレ始める~闇堕ち勇者の背信配信~(WEB版)  作者: 広路なゆる


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11.最後に快楽に溺れてみないか?

「なんか人間の女がいるぞ……」


 コボルトのコロニーへ向かう道すがら、確かに探索者らしき女性がいた。


「どうする……?」


 アリシアの方がクガに尋ねる。クガは聞き返す。


「狩らないのか?」


「相手次第だな。ただ、目的もなく、魔物に対して敵意のない相手を狩るなんてことはしない」


 そうなのだなと、クガはアリシアの性質をまた一つ知る。野生の肉食動物も腹が満たされている時は無暗に狩りをしないというが、それと同じであろうかとクガは思う。


「敵意がないかどうかは今時点ではわからないがな。魔物に対して敵意のない探索者の方が稀であろうし」


 その逆もしかりではある。


「まぁ、そうだな」


 しかし、少し妙ではあった。まず、その探索者は一人きりであった。配信用ドローンらしきものも飛ばしていない。ソロ探索というのは、いなくはないが珍しい。

 昨日のユリアのように一人で出歩くことは、腕に自信がある者であっても推奨されることではない。一人きりでいるだけでも妙ではあるのだが、更にその人物はどこか上の空で、明確な目的があって一人でいるようには見えなかった。すると……。


自動蘇生リライブ解除……」


 その女性の周囲からきらきらとした粒子が発生し、点滅しながら消えていく。魔法解除のエフェクトである。


「…………なにしてんの? あの人……」


 アリシアは眉をひそめて尋ねる。


「ん? ……まずいな。あれは自殺行為かもしれない……」


「へ……?」


 クガの発言にアリシアは首を傾げる。


【リライブの解除ができるってことは……】

【そらぁ、再生士だけよ】

【早まるな~!】

【貴重な再生士がぁああ】


 コメントも彼女の自殺行為を嘆くもので溢れる。


 ジョブ:再生士。

 自動蘇生リライブ魔法が使用できる唯一のジョブである。


 その再生士が自身にかかっているリライブを解除している。補足すると、自身へのリライブを解くことができるのもまた再生士だけである。

 一般的な探索者はダンジョンに入る前に、リライブ専門の保険会社に料金を支払い、そこで働く再生士にリライブをかけてもらう。そうすることで、ダンジョンでの死亡時の自動蘇生が保障され、ダンジョンに入ることができるのだ。ダンジョンの立ち入りでは特殊な検問バリアをくぐらなければならず、必ずリライブの付帯有無を確認される。


【つまり、検問を通過しダンジョンに入った後で、自力でリライブを解除することができる唯一のジョブが再生士なのです】

【かなりのレアジョブだし、ほぼ全員がリライブ保険会社のダンジョン外での仕事に引っ張りだこなわけだからダンジョンにいること自体、稀なんだけどね】

【説明ニキありがとう】


「なるほどなるほど、説明ニキありがとう」


 アリシアは再生士と自動蘇生リライブの関係をリスナーに教えてもらい、おおまかに理解する。


「なるほど、クガニキ、これはやるしかないな」


 ついでにアリシアは〝ニキ〟の使い方を誤って理解する。


「何をやるんだ?」


「そんなに貴重なジョブなら再生士とやらも眷属にする」


「え……?」


 アリシアはクガの返事など待つ様子もなく、走り出していた。


「おーい、再生士ニキ、早まるなー」


「っっ!?」


 アリシアは再生士の女性に突撃していく。再生士の女性は明らかに驚き、肩を揺らす。


【吸血鬼さんの行動力よ……!】

【惚れる】

【数日前に無慈悲に狩られた奴らがいることを忘れるなよ】

【捨てる吸血鬼さんあれば拾う吸血鬼さんあり】


 アリシアの存在に気づいた再生士は逃げようとする。


「あ、ちょっと待て」


 しかし、アリシアの触手があっという間に再生士を絡め取ってしまう。


「っっっ……!」


 そして、触手の先端……紅刃が再生士に向けられる。


「きゃぁあああああ」


「って、おい、アリシア」


「あ……危ない危ない……背中を見せられるとつい狩りたくなってしまうな……」


 熊か何かかな? と思いつつ、クガは口には出さない。


「すみません、一旦、配信停止しますね」


 クガはリスナーにそのように告げる。


【え? なんで?】

【センシティブなことかもしれんだろ】

【あー、確かに】

【がってん】


 配信が止まったのを確認し、クガはアリシアの方を見る。再生士の女性はアリシアの触手にすっかり絡め取られてしまっていた。


「止めないでくださいっ! 私はここで退場するんですよぉ! あ、いっそその刃でひと思いにやっちゃってください……!」


 案の定、再生士の女性はバタバタと暴れて抗議する。


「ふむ。君がなぜ退場したいのか……すまない、私はそんなに興味ない」


「……え?」


「だが、どうせ退場するのなら、最後に快楽に溺れてみないか?」


「へ……? な、なんなんですか……」


「君……犬は好きかね?」


「犬……!? ま、まぁ、正直かなり好きですが……」


「おー、それはよかった。ならば、行こう。犬の楽園に」


小説だと極めて健全なこのシーンが、『センシティブ』の意味の伝達誤りにより、コミカライズ版だとなぜかちょっと叡智になっていますので、念のため確認した方が良いと思います。コミカライズ2巻です。


https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B0FB3MGXP2

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