スニーキング開始
セラフィーたちは早速装備を潜入用に早着替えする。セラフィーは真っ黒なスーツ上下で胸がすごく強調されている。ヨーズたち三人はなぜか拝んだ。ウーシャンも真似して拝んだ。
「バカなことやってんなよ。行くぞ!」
「ラジャ」
「いつでも行ける」
「うしろは任せろ」
セラフィーは顔を赤くしつつ三人に命令した。ウーシャンの先導の元、奴隷解放に向かう。全員の姿を見えなくする。
「神聖属性魔法太陽属性、透明化:5」
「おお、消えた……。え、みんないるよな?」
「声や音や臭いは消せないから気を付けろ。一応浄化はかけておいたが」
「行ける」
「問題ない」
マイトとナイスは元より無口なのであまり心配はなさそうである。裏口に回り壁は身体強化で乗り越えた。犬とかいると厄介だったがいないらしい。いても眠らせるだけだが。
裏口には兵士は立っていない。外からの侵入だけを警戒しているようだ。間抜けめ。ウーシャンが簡単に土魔法で鍵を開けて侵入する。ずいぶんと手慣れている。実は本人もこういうノリが好きなのかも知れない。この裏口にスーシェルに用意させた時間差で煙だけ上がる仕掛けをセットする。時間との勝負だ。獣人がいると臭いでバレそうだがウーシャンの風魔法で臭いと音は遮断する。ゆっくりとキッチンから中に入り、一階廊下。目的地は地下なのだが上階から降りてこられても困るので登り階段にしっかりと鳥もちをばらまいておく。ヨーズとかこういうトラップは得意そうだ。
地下階への階段を発見。見張りの男にスリープの魔法を投げて眠らせる。地下を魔力で探ると見張りは一人しかいないようだ。強い相手なのか、油断しているだけか。後者っぽい。
階段を降りきる前にスリープを誘導してその男にぶつける。ガタン、と音がしたので寝たようだ。牢屋の中のものたちに静かにするようにジェスチャーで伝えながら全員それぞれ牢屋の鍵を開け、足枷なども破壊していく。五分ほどで全員が脱出、弱っているもののために回復を投げた。さて、ここからどう逃げるか。
「数人ずつならテレポートで逃がせるけど」
「それで行くかぁ、どこか隠れられる部屋探そうぜ」
「すんすん……この部屋は誰もいない」
「接近する音も無いようだ」
「よし、全員この部屋に。ウーシャン、転移頼む」
「セラはどうすんのさ」
「ここの領主が魔人テロリストと繋がっているんだろ? どこか集会所やら地下の入り口やらがあるはずだ。スヴァルト」
「わおん(あるよ)」
「よっしゃ、俺たちも行くぜぇ。背中は任せな」
「行こう」
「魔法戦は俺がしのごう」
「……武器は、……あんまり使いたくないんだがあれで行くか」
そういうとセラフィーはインベントリから二本の剣を取り出す。それは全長で六十センチ程度の長いナイフのような見た目の代物だった。非常に厚手で頑丈さを感じさせる。
「おほ、二刀流?」
「だからやりたくないんだよ。簡単な技じゃないから真似るなよ」
「ああ、確かに真似たくなるな」
「男のロマンだな」
「本来二刀流は邪道だからな。私くらい握力も技術も伴ってないと却って弱くなる」
「なるほど、それは真似られたくないなぁ」
「危険な技だ」
「しかしロマンだな」
ロマンなのである。実戦には向かない。セラフィーがこれを選択したのは閉所で雑魚多数と戦う見込みだからだ。さすがに狭すぎると黒銀のパフォーマンスは落ちる。セラフィーはその場でくるくると回転しつつ剣を回転するように動かし、踊るようなステップで動いて見せた。
「うん、動けるな。ッシ! 案内頼む」
「わふん(かっこいい)」
「……聖女からますます離れたんじゃね」
「闇夜の聖女」
「たくましい」
うるさい。セラフィーはどんどんスヴァルトと進んでいき三人は慌ててそれを追いかけた。なにもない通路の角に彫像が一つ。どうやら邪神かなにかをイメージして作られたものらしい。信仰心の高いセラフィーなので一目見てぶっ壊したくなったが潜入任務なので無視する。追いついてきたウーシャンがなにやら像を右に回したり左に回したりしているうちに、ガコン、と、音を立てて壁がずれた。
「先に行って、閉めるから」
「よし、行くぞお前ら」
「おう」
「戦いの臭いがする」
「気を付けろ」
「わん(セラの影に隠れておく)」
するすると音もなくセラフィーたちは階段を降りていった。
「絶対聖女のスキルじゃねぇよ……」
「ウサギのような隠密」
「斥候いらずだな」
「閉めたよ~」
「わおん(暗いから先に行って索敵する)」
「まかせたよ~」
「所々にある明かりの魔道具に気をつけろ」
「おん(まかせて)」
道は複雑に組合わさっていて、あちこちに十字路や三叉路がある。下手に動いたら迷いそうだ。と、敵だ。
「……ふっ」
「ぐっ!?」
暗がりから一撃で魔人の男の首を落とす。
「……おぅ、ニンジャ……」
「ニンジャ」
「闇の刺客」
「聖女だよ~聖女万能だよ~」
「わん(さすが)」
新たに聖女万能説が持ち上がったがセラフィーの斥候としての動きは洗練されていた。音もなく幾十も死体が廊下に転がっていった。
聖女ってなんだっけ、とはもはや言うまい。
今日は新作も投稿予定です。




