殲滅
雑魚である。どうとでもできる。セラフィーの戦えるレベルになどそうは至れない。エルダードラゴンがいかに強かったか分かろうと言うものである。偽物親父のせいで手を抜いて戦う気分でもなかった。
「国を滅ぼすレベルの存在なんてまあ出てこないよな……なんかすごいさみしい」
味方は強いんだが敵が弱い。まあ逆ならエンシェントドラゴンやら死神や歌姫(?)が総出で潰すんだろうとは思う。うーん。味方強すぎねぇ?
グリム伯爵も機人兵を大量に投入してきてはいるのだ。始末は簡単ではない。なにを思ってここまで機人兵を投入してきているのか?
まあセラフィーの、もぐらの里の怨敵であるグリム伯爵だ。滅ぼすためにセラフィーは最初から出るつもりではあった。苦戦した挙げ句スヴァルトがセラフィーを呼んだが、別に出てくるのは、やぶさかではなかった。
「うーん、どうするのが正解なんだろう。とりあえず殲滅?」
「とりあえずビールみたいに言うな」
ヨーズのツッコミを受けるけど同じくらいの気楽さで潰せる。殲滅の手順ができるくらい殲滅戦はもうやりなれていた。化け物とか死神と言う言葉が生易しく感じてしまうのはどうしてか。破壊神と呼ぶのが妥当なのかも知れないがいっそ聖女と呼ぶのがいいんじゃないかとヨーズは思った。神を追い、神を慕い、神に祈る聖女様は神にも至るのかも知れなかった。まあ本人は否定する。神になどなりたくもない。しかしまあ、強さは神に及ばんと鍛えてきたのだが。ひょっとして神に足を踏み入れているのだろうか。ちょっぴりセラフィーも怖かった。自分怖い。
「トリシューラ、拡散」
原初の機神を倒すため。セラフィーはダンジョンで死に物狂いで鍛えてきた。よもや機人兵に負けるはずがない。最初からセラフィーというカードが出たら終わるのだ。決定的な人物、ジョーカーなのである。
そうして流石にヨーズたちで殲滅できる程度の兵力まで減る。更にセラフィーのマナフォートレスもかかる。戦争は終わったのである。
「はええから! まだ終わってないから!」
「ん、しかしもう雑魚しかいないんだが……、まあそれで終わるはずもないか」
対面からは上位の機人兵も出てきているようだ。まあ七式以降の機人兵がすでに用意されているわけである。
機人兵八式、大型歩兵タイプ。セラフィーが機人兵唯一の友人ゼロ式に、そのスペックだけは聞いていたが、五メートル超えの巨体歩兵。見れば圧巻である。グリム伯爵が原初の機神と繋がっている証拠とも言える。
「ふうん、面白そうなのが出てきたな」
「お前だけだろそんな感想出てくるの」
ヨーズたち普通の傭兵は怯える。機人兵でも厄介なのに巨人レベルの大きさの機人兵、普通に考えて戦えるとすら思えない。
「五メートルくらいじゃ普通の一式と変わらなくね?」
「お前それ絶対感性おかしくなってるからな!?」
セラフィーの勘は絶対的だが感性は狂ってる。セラフィーにしてみればこの程度全て雑魚である。なぜ仲間たちが動揺してるのか分からなくてかえって混乱しているくらいであった。もうセラフィーだけ戦わせておけばいいんじゃなかろうか。
まあ帰ってきたスヴァルトとウーシャンも暴れている。セラフィーというジョーカーを切った以上、敗けはない。そこまで追い詰められたのが情けなくすらある。
巨人型機人兵を一体でも倒す。ヨーズは弓を構えた。
「ヨーズ兄さんの弓は私のレイショットより強いからな、あの程度百体いても頼りないってものだ」
「そこまで信頼されるほど威力ねえと思うけど?」
実際普通の機人兵すら二発以上必要だったのだが。本気で撃ち込むと魔力消費がデカイ。セラフィーのような魔力回復スキルはない。
「ヨーズ兄さんなら百体くらい倒せるだろ?」
「魔力が足りねえよ!」
「魔力回復ポーションため込んでない?」
「ため込んでるけどお!」
魔力を消耗するのは偏頭痛に匹敵するくらい苦しい。やってられないのである。しかしどうもセラフィーは自分で片付けるつもりがなさそうだ。ヨーズたちが経験値を得られるように配慮しているのだ。余計なお世話ってこういうのを言うんですよねぇ?!
仕方がないので巨人型機人兵にヨーズは目一杯の雷の魔法を込めた矢を放ちまくる。
やっぱり戦えるじゃん、とセラフィーに呆れられるが全力の魔法矢なのだ。すぐに魔力切れアンド頭痛でへたり込みそうになる。
「はい、マナポーション」
「気遣いするなら倒してくれませんかねえセラフィー様!」
倒さないのである。セラフィーにしてみれば、雑魚だから。スクラップとしてはなかなか美味しそうだが。ヨーズやナイスに戦って経験値を高めてもらいたい。
「俺にも、マナポーション、くれ」
「戦意たかくねぇ? ナイス」
「ヨーズもやればいい」
「やるけどぉ! やってるけどぉ!」
なんだかんだ文句を言いつつもヨーズは戦い打ち勝つ。セラフィーも安心して笑顔でマナポーションを押し付けているだけである。セラフィーが出張るほどの戦闘ではなかった。まあ機人兵のバリエーションはこの八式では終わらないので予備兵力としてセラフィーは控えているのであるが。
「この後は城攻めかぁ」
「頑張れ~」
セラフィーがお気楽そうなのでヨーズは睨むばかりである。強いのは分かっているんだが横でニコニコされてるとちょっと辛いものがある。強いのは知ってるので問題にはならないのだが。
もうちょっと戦います。




