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魔人暴走

「いやいや、なんで一撃で負けてるんだ機人兵……。協力は約束したがこんなに雑魚を派遣されるとは……」


 機人兵が雑魚だったわけではない。セラフィーが強すぎただけだ。しかもセラフィーの怒りを買って生き残れるはずもなく。


「レハナを攻めてきた魔人か。どうした、私とやりあう気になったのか?」


 かつてセラフィーが二、三クレーターを作ったら失禁しながら逃げた魔人である。ノコノコと現れた。セラフィーは馬鹿を見るような目で睨みつける。実際雑魚である……はずだったのだが。


「予定とは違いすぎるが、まあ私の勝利は揺らがん。見せてやろう、我らが奥義!」


 気持ち悪い。セラフィーの直感に少し脅威が感じられた。まあ少しだが。


 魔人は鶏卵くらいの大きな魔石のようなものを飲み込んだ。たちまち身体が膨れ上がる。スライムをいくつも引っ付けたような、ブクブクと膨れ上がった巨体になる。なんだこれ。


「召喚!!」


 魔人の男の声に答え、ドラゴンが二十匹ほど会場の内外に降りてきた。どうやらこれで混乱を狙っているようである。機人と魔人が連携してくるのは予想外だったが襲撃があるのは予想通り、よって対策もできている。


「四大元素魔法、合成、魔術の深奥を見るがいい。選択(セレクティブ)四大元素砲エクスターミネイトレイ終局砲ジ・エンド


 イェフタンは別に観客としてこの場にいるわけではない。この事態も想定済みゆえにここにいた。セラフィーが勝てない人物なのだ、当然最強クラスの防御戦力であった。虹色の光の玉がドラゴンを食らっていく。


「つまらん雑魚は私が掃除するからセラはそのボス面してるやつを殺っておけ」


「了解師匠」


 師弟の連携は完璧である。目の前の気持ちの悪い魔法実験体も予定外であるが、セラフィーはさして動揺していなかった。雑魚である。


「とは言え、スライム系の気配がするんだよな」


「我に、物理攻撃は、効かん」


「殴ってみなきゃ分からんな」


 セラフィーは全く臆していないばかりか、さっきの機人兵への怒りが収まっていない。ぶち殺す。


 数発殴り付けるが傷つけても再生している。ちょっと消化不良だった武闘大会、これくらいの敵はむしろ楽しめるというものだ。何発ぶちこもうが耐えてくれるなら逆に有り難い。ただのサンドバッグとして。


「物理無効ってたまに聞くけどさ、実際問題物理無効な生物なんていないんだよな。死者や精霊なら分からんけど」


 ひたすらに黒銀で殴り付ける。魔人の成の果てはたいした防御も、回避も攻撃すらできない。ただのサンドバッグである。


「こここここ、殺す!」


「そういうのは攻撃を一発でも当ててから言え」


 セラフィーが本気なら隙などない。魔法的な攻撃手段や大量の酸を浴びせても結界で弾かれる。秘密兵器を投入したつもりだが、そう、例によってエルダードラゴンより強くないのである。セラフィーの底を見誤っていると言わざるを得ない。


 更にイェフタンが雑魚を討伐する。ドラゴンなので一体でもAランク冒険者が苦戦する戦力のはずなのだが事も無げに薙ぎ倒されてしまっている。予定外であった。まあドラゴンキラーでも伝説になるのに複数のドラゴンを屠れる人物がいるとは普通に計算できないだろうが。


「師匠はやっぱり化け物だな。精密にもほどがあるだろ、会場にも町にもダメージを与えないで複数体のドラゴンを倒すとか私でも無理なんだが」


「よ、余裕か貴様あ!!」


「余裕に決まってるだろ、雑魚が。スライム対策なんて黒の森ダンジョンで嫌ってほど学んだわ」


 黒の森ダンジョンは植物や動物の魔物が多かったが大型のスライムの魔物も多く、物理主体で戦っていたセラフィーにはきつかった。まあそのお陰でトリシューラなどの技を身につけたのだが。さすがに十メートルくらいの大きさのスライムはヤバかった。黒の森ダンジョンの魔物は厳しい魔物が多かったが極めつけだった。まあ魔法実験はたっぷりできた。


 よって物理無効(笑)など敵にもならない。


「ば、馬鹿な馬鹿な!?」


「要するに予習済みだ。消え去れ」


「お、お、お、おくのてぇ~!!」


「ん? まだあるのか?」


 スライム魔人は更に一手を打つ。しかしまあセラフィーが強すぎるのでよほどのスキルを持たないと勝てないと思うのだが。


「複合体! キマイラボディー!」


「へえ、なるほどな」


 イェフタンにノミのように潰されたドラゴンたちを取り込んでいく。……。悪いのだが全然強そうじゃないんだよな。


「まだまだ……

無貌の神(ナイアルラトホテップ)!!」


「ん?」


 油断していたら神格を上げてきたらしい。体が元の人間のサイズにまで圧縮され、黒い塊のような人間の姿になる。魔力が稲妻のように体を覆っていた。流石にこれはヤバいかもしれない。つかどうやってそんな反則的な進化を遂げたのか。スライムの延長のようではあるが。


「んー、まだ神を名乗るには実力が足りない気もするが、回復能力とか高そうだな」


「これで終わりだ、死ねい!!」


「なんでそんなに敵視されてるのかさっぱり分かんねえけど、敵対するなら殺す。慈悲深い聖女に期待していたら、すまんな」


 そんな聖女はいない。実際この世界ではレベルを上げなければ聖女にはなれないので聖女職になっているのはほぼ全員魔物殺しを生業としている化け物ばかりである。聖女に敵対すれば物理的に殺されるだけだ。







 そもそもイェフタンはセラフィーより強いのでセラフィー狙いで来たのにイェフタンとか不幸としか言えませんね。



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