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強者たちの戦いに無粋な外野はいらない

 パール対カルヴァインは熱戦となった。そもそも剣の腕前はパールが伸び盛りでカルヴァインに引けを取っていない。天才である。


「うおおおおっしゃあ!!」


「くそっ!! 強い!!」


 大剣を小枝のように振るうパールのその戦い方はしっかりとセラフィーをトレースしている。普通にカルヴァインですら脅威だった。よくぞここまで練り上げたものである。天才はいる。悔しいが。


 しかしカルヴァインも並みではない。しっかりと天才である。脱力した隙だらけの構えを見せて、誘う。実力が伴わねば自殺行為であるが、カルヴァインに実力がないはずもなく。


「こええ、打ち込めねえ……」


「どっからでもこい!」


 カルヴァインの殺意。あらゆる手を潰されるイメージしか湧かない。パールをしても打ち込めば負けると思われた。しかし硬直しているわけにもいかない。ここでパールが選択したのは殺気をぶつけて怯ませる作戦だった。これが不味かったのである。


 カルヴァインは殺気などで怯むような温い覚悟を持ち合わせていなかった。よってその力みはパールの隙にしかならなかった。


「雷神剣」


「はっ!?」


 魔法をまとった剣、セラフィーに譲り受けていた(有償で)オリハルコンの魔剣はカルヴァインの魔力を十分に乗せて振る舞われた。


「やっちまった……」


 パールは顔一杯に笑みを浮かべる。強いとは憧れでしかないからだ。そして我らが団長が強かったのだ。後悔など有ろうはずもなく。


「きぇへへへ!! いい痛みだあ!!」


「吹き飛べ!!」


「ぎゃあああああああぁ!!」


 カルヴァインの一撃はパールを吹き飛ばす。セラフィーはやっぱり強いカルヴァインに惚れ直した。まあ決勝で一撃でぶん殴るつもりだが。


 ある意味予定どおりである。セラフィー対カルヴァイン、他の決勝戦は考えづらいというものだ。パールと本気のさしでやりあうのもセラフィーは楽しみにしていたが、今回はカルヴァインが優勢だった。それだけである。決勝戦はさすがにセラフィーもニヤリとなる。強い相手との勝負は大好きだ。カルヴァインなら下手な隙を突いてくるような真似はするまい。レベルよりも技術が高い、それがカルヴァイン団長という男であった。


 楽しみなのである。さあ、どうやって一撃で倒すか。そもそもカルヴァイン団長から持ちかけてきたのだ。倒す。フラグが立ってる気はするが。


「おおおっ!!」


「来いッ!!」


 小細工など必要ない。強者とのぶつかり合い。セラフィーはカルヴァインの攻撃を二撃、三撃と躱した。雑魚じゃない。強い!!


 全く攻撃しないままセラフィーはカルヴァインの攻撃を躱し続ける。楽しかったのである。


 しかし仕舞いに空中催眠トラップを連射してカルヴァインも動きを止められる。一秒止まるは死の時間。聖女の魔法は伊達じゃない。


「おらあっ!!」


「ぐほおっ! ち、っくしょう!」


 やはり一撃、右から左に純粋な、星が流れるようなスウィングでカルヴァインは場外にはね飛ばされて結界にぶつかり落下、場外負けとなる。結局全試合一撃でセラフィーの優勝となった。勝てないのである。


 ……のだが。


 「セラフィー選手優勝~! さすがに素晴らしい聖女の力! この世の全ての邪悪を打ち砕く聖女が、ここにあったのです!!」


 解説が盛り上がっているところであった。空から半機人が降りてきたのである。


 無粋だった。しかも。


「おお、セラや、よくぞ勝ち残ったな。さすがは我が娘よ」


 その半機人は、セラフィーの父、ハガネの顔をしていた。


「うん、そうか」


 セラフィーは動じない。愛おしき父の姿をしている半機人が現れたのに。


「おお、セラや、お前の父の顔を忘れたのか?」


 ふざけるな。こんなタイミングでなにをぶちこんできやがった。


「我らが命を永らえさせてくださった原初の機神様に感謝を」


「なんだー?! 変な半機人が出て来たぞー!?」


「あはははは、阿呆がいる!」


「イェフタン師大爆笑だー! なんだあの半機人」


 セラフィーは静かに笑う。よもやハガネの姿を写し身にしたような機人を出してくるとは思わなかった。よほど原初の機神に嫌われているらしい。


「魂の籠らない言葉ってのは空しいもんがあるな」


「ん? どうしたセラよ。父の言葉が聞けぬのか?」


「いや、いいから。死ね」


 セラフィーはその半機人を容赦なく黒銀で殴り付ける。しっかりと両腕で握るポールが歪むほどの高速で。


「ぐぼあっ!? き、貴様の父であるぞ!?」


「親父か、お父ちゃんが、機神などに従うものか。馬鹿にするのも大概にしろ!!」


『ハンマーでぶん殴れ!!』


 それがドワーフたちの望み。


 今回はもうハンマーも使わない。腕を掴み、高くそのハガネに似せた機人を放りあげ、セラフィーは怒りのままに最強の技を見せる。


「神聖魔法太陽属性、太陽爆発(ディバインフレア)


 それは全てを穿つ魔法の一撃。闘技場を守る結界すら意味もないとばかり穿ち、偽物のハガネは細胞一つ残さず蒸発した。


「貴様の神に祈れぇ!!」


 吹き飛んだハガネもどきが神に祈れたかは謎である。確実にセラフィーの怒りに触れたものは消え去った。セラフィーの怒りに触れた原初の機神の戦略が、間違いなく間違えていた。






 まだ終わりません。



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