武闘大会、暁の星の健闘
そのあとも当然試合は続く。もうセラフィーが優勝だろうという空気になってしまっているが。しかし実力者が揃っているのでまだ賭け事が成立している。
続く試合、剣聖、レベル二百の騎士団長など本命の選手たちが危なげなく勝ち残っている。こちらは集中攻撃を受けつつ跳ね返すといった見所のある試合だったが全員がセラフィーに勝てる気がしていない。やりすぎたのである。開幕トリシューラはさすがに会場の全員を震え上がらせたのだ。山にも及ぶ質量の一撃など誰も受け止められない。
セラフィーのあとに続いてカートやカルヴァイン、ガムマイハート、ウィーギネストス、マイト、ルシアたち暁の星の選手たちが勝ち残る。上位メンバーは当然だがカートはよく頑張ったものである。ダンジョンアタックでレベル四十程度まで上げているとは言え、敵もそう弱くはない。セラフィーに勧められて魔法剣を編み出したことが功を奏している。若手の注目株ナンバーワンと司会のマリーナも興奮して誉めている。ちなみにマリーナは犬獣人なので単純にカートが好みだった。閑話休題。ちなみにサーラは組み合わせが悪くカルヴァインチームで敗北した。ビクトルは生き残っている。
「さーあ、予選も終わりました! 注目はさすがの聖女セラフィー様と若手ナンバーワンのカート選手、暁の星団長カルヴァイン様、剣聖ハモン様、アウスローナの騎士団長マイネルス様、副団長カフェル様と強者が順当に残っています! さあイェフタン先生、これからが本番です!」
「うむ、せめてセラフィーに一矢報いて欲しいな」
「もう終わってるみたいに言わないでください! 剣聖もいるんですよ! ワンチャンあると思います!」
「うん、頑張れ」
全くセラフィーが負けると思ってないイェフタン。セラフィーの賭けの配当は下がる一方である。ミリオンはちょっと危機を演出して欲しいなぁとか考えているが変に意固地なセラフィーなのでないかなーとも思っている。胴元なので儲けはあるのだが。この大会は国をあげてのものなので国王グレイスや第一王子アレク、第二王子オルソワーズ、第三王子エニーも観ている。ちなみにセラフィーはショタコンなので第三王子推しである。閑話休題。
「さて、本戦第一回戦、我らが聖女セラフィー様と、対するは怪力無双、ゴウセン殿です! 予選を危なげなく勝った二人の対決となります!」
「うーん、怪力無双? 力で言えば半巨人の副団長さんの方が強そうだよねぇ」
「イェフタン先生、いきなり選手を貶めないで!」
「始め!」
「ぐおおお! 俺だって力は自信あるんだ!」
「ふーん」
セラフィーは黒銀を肩に乗せて油断しきっている。隙だらけであった。が。達人の隙は見せていると考える方が自然だろう。相手に強者と戦った経験があるかは分からないが。
「隙ありぃ!!」
「そーか」
二人の対決を観客席でアウスローナ騎士団長マイネルスと副団長カフェルが眺める。側にはカルヴァインもいた。
「わざと隙を見せて誘っているのか」
「高度な技ですな。あれだけ隙が多ければどこへでも打ち込める気がします。まあ誘い込まれているのは分かりますな」
「セラは技術も超人レベルだよ。隙だらけに見えても実質隙なんかないからね」
「くらえい!!」
「おらあっ!!」
ゴウセンがセラフィーの隙と見てハルバードを振り下ろそうと踏み込んだところでセラフィーは黒銀を小枝を振るような速度で叩きつける。巨漢ゴウセンは毬のように吹き飛んだ。一撃で終わりである。予定通りだった。
「まあ勝てるはずないんだけど。セラフィーは僧侶だから魔法が格段に強いけど、技術も高いからしっかり物理も強いからね」
「私が次に勝つと二回戦で彼女と当たるのですが……」
「アウスローナ副団長の実力を見せて欲しいね」
「どちらの味方やら」
「面白い勝負見たいじゃん。セラが苦戦するのは見たことないんだよな。本人が手抜きしてたことはあるんだけど」
カルヴァインと騎士団長マイネルスは遠い親戚で話す機会も多かったので気安い関係である。レベル差があるが一緒に訓練したこともあった。お互いの力量はよく分かっている。
セラフィーは痛みを味わいたがるので手抜きすることが多い。油断はしていないらしいのだが、散々に流血する事態はよくあった。最近はそういうこともなくなってきてはいるのだが、やはりセラフィーは人生に絶望しているのだ。命を投げるようなことをよくやっていた。エリに出会い、イェフタンと再会し、カルヴァインに恋をしてから戦いに手を抜かなくなってきたのである。手を抜かないと虐殺になるのは否めないが。セラフィーは人間が相手をするには強すぎる。
そして騎士団副団長、騎士団長、カルヴァイン、カート、ウィーギネストス、ガムマイハート、マイト、ルシア、セリナ他暁の星メンバーが順当に勝ち上がり、
二回戦、騎士団副団長、身長三メートルの半巨人カフェルは順当にセラフィーに一撃で殴り飛ばされた。勝てないのである。余談だがビクトルもガムマイハートに負けた。
淡々と進みます。




