カジノでデート
ちょっと短めです。
そろそろ武闘大会開催であるが、セラフィーはエリを連れてカジノへデートに向かった。前例の通り娯楽の少ない世界である。カジノは人気があるようで、ずいぶんとたくさん客が来ている。
「楽しそうですね」
「本当ね、お祭りみたいだわ」
「エリさんの好きな戦争ですか?」
「意地悪なことを言うわね。普通のお祭りも好きよ」
まあセラフィーもどちらかと言えば戦争の方が好きである。人のことは言えなかった。しかしカジノ、楽しそうである。
「カードゲームだけじゃなくて魔物の闘技場やレースもあるみたいですね」
「へえ、ずいぶんと趣向を凝らしてるのね。見るだけで楽しいわ」
見学していると職員が近づいてくる。どうやらこちらが招待客だと分かっているらしい。優秀なスタッフのようだ。
「聖女様、歌姫様、お待ちしておりました」
「誘われたから来たよ」
「今夜は楽しませてもらうわね」
「お酒はブランデーでよろしいでしょうか?」
物理的に暴れると戦場でも壊滅する二人である。スタッフの青年も冷や汗を流している。接客業は大変だなと他人事のようにセラフィーは思った。特別室とやらに通されてセラフィーが好きな酒を提案される。
「お料理も出せます。お好きなものをご注文ください」
「メニューがないってことはなんでも出せるんだな。中華で」
「良いわね、私も中華好きよ。お酒は紹興酒いただけるかしら」
「かしこまりました」
セラフィーもエリもかなり無理な注文をしたつもりだがスタッフの青年は事も無げに了承して退室した。本当に準備があるらしい。ちょっと感動したセラフィーである。
次々にテーブルに並べられる料理。高そうだな、とらしくもなくお金の心配をする。セラフィーが払えない額なら暴れていいと思う。
「この度は謝罪も兼ねておりますので無料でご奉仕させていただきます」
「対価になにを払わされるのか心配だな」
「もちろんお二方とのご縁をいただくだけで私どもは満足で御座います」
「治療か、歌か、戦争か、まあエリさんと縁ができたらマフィアとしても最高だろうが」
「貴族にもエリ様との縁を望む方は多いですので」
「多少無理しても見返りはあると言うことか」
「もちろん強要するようなつもりはありませんので」
裏社会をまとめている組織のはずだがずいぶんと礼儀正しいものだ。それだけしっかりとセラフィーやエリの情報を掴んでることを意味している。この接待は受けても良さそうだ。ツマミの小魚をいただきつつ紹興酒をいただく。たまにはブランデー以外の酒も良いものだ。
揚げ春巻き美味い。青椒肉絲好きなんだよな。セラフィーは遠慮せずガツガツ食べる。北京ダックってあんまり好きじゃないんだよな。まあ野菜も取れるから良いんだけど。フカヒレスープ美味い。ジューシーな小籠包も出てきた。美味い。
「中華メニューここまで揃えれるのすごいですね」
「たぶん提携してる料理屋さんがあるのよ」
「まあそうじゃなきゃ無理なラインナップですけどね」
そのあとも二人で料理とお酒を楽しんだ。いいデートである。
「少しカジノで遊んでいきます?」
「ハマっちゃわないかな?」
「まあ多少なら奢りますから」
「悪いわね」
「今日はお二方に遊んでいただくよう社長から仰せつかっています」
「本当になにを払わされるか怖いんだけど」
ただより高いものはないしね。セラフィーとエリだと戦力として異常なのだが。対抗する組織を潰せ、くらいは言われそうなサービスである。
「どうもお待たせしました、ミリオンで御座います」
「社長さん、今日は楽しませてもらってるよ」
「お二方との繋がりがあるだけで当方は満足で御座いますので」
「あらあら、悪いわね。ちなみに武闘大会はセラちゃんが勝つからそこだけ賭けたら良いわよ」
「おや、こちらの目論みはばれておりましたか」
「私もイェフタンちゃんも出ないからね。セラフィーちゃん八百長とか受け付けないと思うし、他に賭ける手はないわよ」
「儲けは薄くなりそうですね」
「手抜きはしねえけど全力も出さねえから二、三回戦くらいまでなら賭けは成立すると思う」
セラフィーが全力を出すとミンチにしてしまうので武闘大会のルールに不殺がある以上全力は出せない。反則負けの可能性の方が高そうである。それはそれでマフィアが儲かりそうではあるが。賭け事は胴元が勝つようにできている。
「さて、いろいろもらっておいて申し訳ないが、私の方で探してる人間がいてね。情報をもらえるかな?」
「もちろん承知しておりますとも。私どもの情報網をお見せしましょう」
セラフィーが望む情報はすでに掴んでいるらしい。まあセラフィー自身だいたい予測がついている。
マルジグラと繋がっていた機人貴族は、武闘大会不参加の暁の星メンバーが倒してくれるはずである。他に知りたい情報もだいたい彼らは持っていた。心配ごとはひとつだけ、王位継承権問題である。マウとアレクの恋愛をセラフィーは応援しているのだが。




