外神事情
一章分は書けてるので、読んでいってください。
暁メンバーは燃え落ちた村の後始末を始めた。まだ燃えている家は消火し、残されたものは集めていく。持ち主が生きていれば返す。スタンピード中ということもあり生き残りは少ない。
アンデッドからドロップした魔石はインベントリに放り込んであとで仕分ける。アンたちがこそこそ拾い集めていた。アンデッドだけに。
「私の名前でだじゃれはやめてほしいですね。だれじゃ」
「うるさいわ。心の声読むな。お前もやめろ」
「まあまあそう突っ込まないで。あれ、外神さんはどこですか?」
「え、もういない?」
アンはノリがいいところがある。それはそれとして。いくつか神のことを本神から聞きたいと思っていたのだが、行ってしまったようだ。
「後ろの正面だぁ~あれ」
「うわあっ!?」
否、セラフィーの後ろに張りついていた。怒る気もしない、いや、怒る気がしない。厄介かもしれないな、このスキル。外神は小さな顔でこちらをのぞきこんで、くけけ、と笑っている。
「お前ら神の力はどうなってるんだ……」
「かみのちから? 昆布を食べたら伸びる?」
「髪じゃねえ。なんで日本語だよ……」
突っ込みも力が入らなくなるようだ。なんとか情報を絞り出せないものか。ちなみに言語はスキルだが基本は日本語だ。この世界が日本のゲームに作り替えられそうになった歴史に起因する。
「神の力なら私が説明しますよ。外神さん、あなたの目的はなんですか?」
「エリさん、目的?」
「ええ、目的が無い者は神に至れません」
「兄を殺すこと」
「!?」
突然シリアスな調子になる外神にセラフィーは息を飲んだ。兄を殺す?
「……個人的な目的では神には至れないはずですが」
「神になったときの目的なら、世界を蹂躙する者たちを倒すこと」
「ふむ、それならば叶いますか」
「どういうこと……?」
「なに、知り合いに神がいるもので」
何人か、と続けた。先のリッチロードといい、この人の交遊関係はどうなっているのだろう。さすがエリさん500さ
「十六才です」
「はい!」
エリの言うことには間違いなどあろうはずもない。セラフィーは思考停止した。
「くけけけけけけ!!」
外神には思いきりバカにされたが。はらたつ。その怒りも吸収された。
「神にはそれぞれ目的があるのです。システムがそれを認めた場合管理権限が与えられて神に至る。まあ欺くこともできる程度のシステムですが」
「詳しいですね、さすが永遠の十六才」
「本音が漏れてますよ?!」
まあともかく、そうエリは仕切り直す。セラフィーの方をその青い瞳で見つめた。その真剣な眼差しは美しい。セラフィーは思わず息を飲む。
「セラさんは神になりたいですか?」
「いや、遠慮します」
「そうですか」
別れを苦しむセラフィーには不老不死は重すぎる。即答した。特に強く勧めるつもりはなかったらしくエリもすぐに引いた。
「これからどちらに?」
「どこにしようかな、不幸な人を笑いに行くよ。くけけけけけけ!!」
「外神、なんでそんなに他人を煽る。まともに喋れるくせに」
「なんで? なんでぇ? ドワーフちゃん、幸せだからみんな笑うんだよ? くけけけけけけ!!」
答えるつもりはなさそうだ。セラフィーは追求をやめた。不幸のどん底でも人は笑ってしまうことがある。笑ったら幸せなんてことはない。セラフィーは外神と話してるとなぜか辛くなった。
「私はセラフィーだ。ただのドワーフのセラフィー」
「セラフィーちゃん! セラちゃん!」
「……それでいい」
外神についてはこういう動物だと思うしかあるまい。エリとイェフタンが言ってたように怒れなくなるスキルらしい。なぜか辛くなるばかりだ。怒れないってのは辛くて悲しみばかり強調されるものらしい。
いくつか質問したあと、外神は空気に溶けるように消えた。エリさんによるとシステムを使ったテレポートらしい。いくつかある神の権能だとか。セラフィーも星属性のテレポートは使えるが、もっと便利なものらしい。行ったことがない場所にも行けるしあらゆる結界をスルーする。
外神は思ったより普通に喋るしいくつも情報が入ったのは有り難かったが、喋るだけで頭痛がする。もう一度話せといわれたら断りそうだ。しばらくは会いたくないな。
セラフィーは村の燃え残りを潰す作業に戻る。エリやイェフタンはお客ではあるが被災した状態の村を捨て置けないので参加、何十人かの生き残りを保護した。
馬車は幸い多く、セラフィーたちは飛べるので先行して危険を排除、一路王都、ローネルシアへと向かう。
セラフィーにはそこで、いくつかやることがあった。晴れやかな気分とは行かぬまま馬車に揺られ数日後、暁の星傭兵団はアウスローナ王国王都、ローネルシアへと着いた。
カルヴァインにとっては、故郷への凱旋である。その横顔を見ると、なぜか苦虫を噛み潰したような顔に見えた。
セラフィーはブランデーの入ったスキットルを傾ける。あまり気分の良くないことが待っていそうだ。




