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奴との再会

 この章の最終話です。応援有り難う御座います。



 アンデッドの群れは万を超える非常識な数だったがヨハさんと呼ばれる聖者からリッチロードになった存在や暁の星メンバーの連携で、余裕で駆逐されていった。セラフィーはその間イェフタンとエリに魔術の奥義や必殺技の手解きを受けていた。的になるアンデッドは悲惨なものだ。


 この世界の人の人生は長い。うっかり不死になる人さえいる。なので学びの道は果てしなく長く、遠い。達人のセラフィーですらそうなのだ。暁の星のメンバーはどこかのダンジョンに放り込んで三年ほど修行させる。当のカルヴァインから言い出したことであるが、なので、そのうちお別れなのだ。


 セラフィーは自分が守るから、とごねそうになったが、早いうちに別れた方がいい、とも思っている。どのみちもう少し先ではあるが。


 考えていると小人のヨーズがその高い声を上げる。


「おい、あれ!」


「ん、村が燃えてるのか?!」


 それを受けてカルヴァインたちも焦る。セラフィーは無言で馬車を飛び降り、背中から光を噴射させ飛んだ。


「セラ! また単独?!」


 カートは一瞬非難しかかったが、セラフィーが村が焼かれているのを我慢できるはずがないことを思い出す。セラが自分の村のことを思い出さなければいいけれど、それはあの動きをみれば望みは薄そうだ。また泣かなければいいのだが。カートは御者として馬にムチを打ちつつそう思っていた。


「……ずいぶん燃えている。間に合わないか……」


 セラフィーは超音速で飛び、そのつぶやきを置き去りにした。


 村はそう大きくなく、全体が燃えているように見える。死体とそこに群がるアンデッドたちをついでとばかり蹴散らして、セラフィーは村へとたどり着いた。




「うあああああっ!! うあああああっ!! 楽しいの? 村が全部燃えて楽しいの? くけけけけけけ!!」


 聞いたことのある声が、聞いたことのない声で泣き笑いしていた。


「なんでここにいる……外神!!」


 外なる神、国もたぬ神、外神である。外神は事切れた小さな村娘を抱いて、その少年のような顔を全面濡らすような涙を流しながら、くけけけ、と笑い続ける。相変わらず情緒が不安定なようだ。炎に包まれる家の間で泣いている。


 一瞬こいつが村を燃やしたのか、と考えそうになったがさっきのアンデッドもいた。恐らくは別の事情だろう。セラフィーは自分が震えてるときに火を起こそうとした外神の優しい部分を忘れていない。


「外神! なにがあった!」


「いつかのドワーフちゃん、楽しい? 村が燃えて楽しい?」


「……楽しいわけあるか……」


 怒るよりもなぜか気が抜けてしまう。こいつはこういうモノなのだと思うことにした。ふと、セラフィーはメイスをインベントリから抜いて振り上げた。外神をとっさに守ったのだ。がきり、という音とともに折れた剣が飛ぶ。


「……ぐくっ!?」


「なんだテメエ……」


 黒い肌に二本の角、また魔人族か。この前のヤツとは違うが、なにか同じ臭いがする。セラフィーの直感が反応している。


「……レハナを襲ったヤツの仲間か」


「なに?! なぜ知って……いや、なぜわかる!!」


「この村に火を着けたのはテメエだな」


「ど、読心か!?」


 ただの勘ではあるがスキルを通しているので、ほぼ間違えない。ガムマイハートさえ頼るセラフィーの直感だ。


「そこをどけ! その気持ちの悪い男は殺しておかねばならん!!」


「知らねえよ」


「ドワーフちゃん、僕は大丈夫だよ」


「……まともに喋れんのかよ」


 間違いなく情緒も頭もおかしいがマトモなところがあるようだった。戦うというなら止めない。セラフィーは燃え尽きそうな建物を打ち崩し延焼を防ぐことにした。


「食らえっ!!」


「ぐほっぷ、くらあったぁ~」


「食らうのかよ!?」


 思い切り袈裟に斬り捨てられている。これは回復か、と思ったが普通に気持ち悪い動きで起き上がる。真っ白な髪や肌は血に染まり、白い目からも血が垂れ、口からも血を吐いているが、そういえば神である。これくらいでは死なないらしい。


 いずれ神と戦うつもりのセラフィーは少しゾッとしていたが、見るまに肩も服も治っていく。セラフィーもできるが敵対する可能性のある相手にやられるとここまで恐ろしいのか。


「はんげき~」


「グボアッ!?」


 軽く外神が手を払うと三メートルほど間合いがあるにもかかわらず魔人男は吹き飛ぶ。


「つえぇな……」


 村を出た時点であれば間違いなく勝てなかっただろう。争わなくてよかったとセラフィーは肝を冷やす。戦いはほぼ一方的だが……。


「よわーいよわーい、ねえねえ苦戦するの楽しい? 楽しいの? くけけけけけけ!!」


「……楽しいわけあるか……」


 けっこうな挑発であるが男は静かに唸るだけだ。なにかおかしいな。やはり気が抜けるのだろう。


 実はこれは外神のオリジナルスキルなのだが、セラフィーがそれを知ることはない。


 気がつけばエリとイェフタンも追いついてきていた。二人は外神のスキルを看破していた。


「怒りを……面白いスキルですね」


「どういう構造だ?」


「神になるとオリジナルスキルを得られますからね」


「なるほど、それは再現できないか」


「?」


 セラフィーは二人の話を聞いてもなんのことか分からなかった。戦闘が動く。


「燃やすんならもっとパーっと燃やそ~、パーっと。できないのぉ~? ねぇねぇできないのぉ~? 弱い? 弱いの? 弱~い!」


 傍目で見ているセラフィーの方がちょっとムカッとしたが、対する魔人男は冷静に炎を放った。セリナと比べてもパッとしない炎だな、とセラフィーは鼻で笑う。やはり犯罪組織の男などこんなものか。セラフィーとしては神の力を見れたので満足だ。思った以上にスキルが強い。回復にしても伸びる斬撃にしても、下位の敵だからと侮ればすぐに殺されそうなスキルだ。これが神の強みである。


「熱いっ!?」


「だからやられるのかよっ!?」


 華麗に燃え上がる外神。だがすぐに火が消えた上に火傷ひとつついてない。服も燃えたのに無傷だ。これどうやって倒すんだろう、とセラフィーさえ半ば呆然となるのだ、対戦相手の気持ちはいかばかりか。


「く、……くくっ!!」


「笑ったね~? やっぱり不幸は楽しいなぁ!」


「……楽しくないわ」


 やはり気が抜けているようだ。さすがにセラフィーもおかしいなと思い始めたが、外神と戦うこともないだろうし害もなさそうなので忘れることにした。


「じゃあね~、またらいしゅう~」


「ぐわああああっ!?」


 倒したら来週もないと思うが。外神が伸びる斬撃で男を粉々にする。セラフィーとしては自白の魔法をかけておきたかったが、ほとんど戦ってないので諦めることにする。


 レベルで負けることはないが、神は、強い。いつかやりたいものだとセラフィーは唇をなめた。









 神はチート持ちばかりですので、セラフィーがレベルでは上回っているのですが簡単に勝つのは不可能です。一方的に殴れるけれど倒せません。魔力が尽きたら負けです。


 ストックが十話くらいなのでしばらくお休みします。ブックマークと評価をよろしくお願いします!



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