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アンデッド

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 聖職者にとってみればアンデッドは下手をしたらゴブリンより与し易い相手である。なにせ浄化魔法という最小の魔力で使える魔法で消し去れるのだ。そうすると経験値が入らないくらいしか問題はない。セラフィーが竜牙兵やゾンビ兵と普通に戦っていたのはレベル上げのためであり、本当なら一瞬で消し去れる。仮にも聖女だった。


 なのでセラフィーはこのゾンビスタンピードでは手を出さないことに決めている。暁の星のレベルアップのために。人型の魔物というのは経験値が多いものだ。


 今のこの旅団は大陸最強戦力の上位三~五人を擁しているのだが、わりとてんてこ舞いになっている。セラフィー、エリ、イェフタン、……ウーシャンとかスヴァルトも都市くらい滅ぼせる大戦力である。だからこそ手は出せないのだが。暁の星には経験値が必要だ。要するにセラフィーパーティーもお客様扱いだ。


「おらぁー! ゾンビぐらいなんでもないぜぇー!」


 元気な小人ヨーズが弓矢だけでゾンビやスケルトンの首を落とす。かなり戦いなれているようだ。矢が尽きる以外は心配はなさそうである。風の魔法矢が脆いゾンビを吹き飛ばす。


「続く」


「倒す」


 エルフのナイスと兎人族のマイトも続く。斥候弓兵三人衆は暁でもかなりまともな戦力だ。魔法で誘導され強化された矢はどんどんとゾンビの首をもいでいく。連携も慣れたものだ。そもそも戦場で一番相手を倒せる兵器が飛び道具なのである。


 後ろから魔馬に騎乗したカルヴァイン、ガムマイハート、ウィーギネストスの三人が崩れた敵陣を更にかき回す。商人メンバーはさすがに出ていかないが狼姉弟カートとアイリスは突撃する。アイリスも僧侶である。アンデッドなど物の数ではない。たちどころに浄化していく。浄化だと経験値が入りにくいので回復魔法や神性魔法も組み合わせている。


「さすがに出番がなさそうだな」


 セラフィーはそんなことを呟く。暁の星は上位傭兵団だ。いちいちセラフィーが手を出す必要など本来はない。最近の敵が強すぎるのだ。半機人や魔人も、彼らが対応しかねるレベルのものが多く現れる。セラフィーは大陸全土でこうなっていることを懸念していた。セラフィーは一人しかいない。世界など当然救えないと思っている。


 だがまあ、この程度のスタンピードなら優秀な傭兵団を二つもぶつけたら制圧できる。味方も当然強くなっている。


「酒を飲んで高みの見物と行けるほど図太かったら良かったんだがな」


 セラフィーは戦い方からは想像できないほど繊細だった。それでも敵の痛みは無視しているが。ある意味時代にあった聖女様なのかもしれない。


 暁の星メンバーのアンデッド制圧は順調であり、いざとなればイェフタンやエリが出るので負けは絶対にないのだが、痛いのは嫌だろう。


 セラフィー本人は痛みを望んでいるところがあるが、他者の痛みは望んでいない。面倒は見きれない。それだけだ。


 やがて物言わぬアンデッドの中からタキシードを着た顔色の悪い男が出てきた。片手半剣でパールと五分に打ち合う、アンデッド、バンパイアだ。通常のバンパイアならパールで押しきれるとセラフィーは目算した。


 セラフィーの目算通り打ち合いは終始パール有利である。厚く作ってあるパールの剣ならまず折れないだろうし、セラフィーの打ち合わない、受け流す戦闘スタイルがパールにも馴染み始めている。


 これは恐るべき戦闘センスだった。セラフィーはそこをとても凄いセンスだと認めている。


 打ち合いながら受け流し、武器ダメージを計算にいれつつ隙を組み立てて(・・・・・)打ち込む。セラフィーにしても理想的な大剣使いができあがりつつあった。数合後、バンパイアの首は飛び、心臓も穿たれた。とどめにアイリスの神性魔法が決まる。十分な経験値を得られる戦い方だった。


 だが、その後、バンパイアは更に増えていき、明らかに暁が対応できないレベルの魔物も現れ始めた。


 放置されたスタンピードと言うものがいかに厄介か、彼らは知ることになる。





 後方の馬車ではエリと彼女の旧友が話し合っていた。


「貴方は出ないのですか先輩」


「君ほど今の私の武技は洗練されていない。かつての力を取り戻せていないのだ。走る馬車に着いていけない」


「……貴方が亡くなった時は泣いたんですからね」


 エリとその男性の話は誰も聞いていなかった。暁の星にはかつては不死身と言われた男がいる。それを知っているのはエリとその人物だけだが。


「まあ、君のレベルまで鍛えるさ」


「鍛えるのは得意ですものね、ゴウ……前世の名前は嫌ですか?」


「うむ、今世の名前で呼んでくれ」


 二人は寂しげに笑いあった。かつては競いあった仲だったのだ。死ねば輪廻する。それはこの世界の非情なルールでもあった。


「貴方がいれば大丈夫、そう思える人が今の時代にいてくれて良かった」


 エリの言葉は暗くなりかけたオレンジと紫の入り雑じる夜空に、緩やかに溶け込んで行った。


「頑張ってください、ラング先輩。また私と打ち合ってくださいね」






 僧侶はバフも回復もあるし強すぎる気がしますね。ゲームとかだとレベルが上がりにくかったりハンデがありますが。



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