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ゴロゴロ

 猫のようなセラフィーです。今日もよろしくお願いします!



 セラフィーは今日も冒険者ギルドの酒場でテーブルに顎を乗せてゴロゴロしていた。結構働いているのだが怠け者の評価が付きまとう。まあ怠けてるんだが。


 聖女活動も魔物退治もセラフィーにしてみればおまけのようなものである。恨めしい機人兵を倒すことだけが本望だった。


 だが傭兵団に属している以上避けられない戦いがあった。人間との戦争だ。


 燐領が他国と連携をとってレハナを攻めようとしている。情報を掴んだのはセラフィー自身だった。面倒だかレハナ伯爵に話を通したら暁の星傭兵団も駆り出されるだろう。


 戦争とかいやすぎる。なぜ魔物が暴れてる世界で人間同士争うねん。セラフィーは静かにムカついた。


「しかもさぁ、ベキヘム子爵が手を組んでるアウスローナって団長の母国でしょ? なんか伝とかないわけ?」


「うーん、俺伯爵の三男だし伝とかはないなぁ。恋人も子爵家の次女だし」


「恋人放置して傭兵団やってるとか団長もわりと鬼畜よね」


「セラに言われたら反論できないな」


「私が鬼畜と言いたいのか」


 わりと鬼畜であるけど。敵に手加減などしない。だいたい頭蓋骨粉砕して倒してるし。


「団長恋人いるの? セラ狙いだと思ってた」


 カートいらんこと言うな。


「セラは狙ってる。大事な聖女様だからな」


「やめて気持ち悪い」


「振られた」


「いや、団長はいい男だけど聖女呼びはやめて」


 カートもセラ狙いだと暁の星の団員は思っているがセラフィーには興味がない。団長は好きだが早々に彼女が国にいるのを知ったので特に狙ってない。団としては聖女セラフィーの存在は美味しいので優しくしてもらっているが、かえって空しい。


 そもそもベキヘム子爵が動いたのはもぐらの里のトンネルをセラフィーが開通したためだったりする。利益が出る前にレハナ伯爵領を落とす腹積もりなのだ。セラフィーも暁の星傭兵団も人間との戦争は嫌だとも言いづらい。名声を得ることでクソ商人を追い詰めたが逆に名声が足を引っ張っている形である。逃げるとも言いづらい。


「聖女呼ばわりされてるお陰でいろいろ情報が飛び込んでくるのはいいんだけどさあ」


 戦争の情報はいらなかった。一応レハナ伯爵とは面談する予定である。


 セラフィーはめんどくさい話になったとテーブルに顎をつく。ごろんごろん。


「そんな常にダルそうにしてるから怠け者の扱いされるんだぞ?」


「いーよもう私怠け者で」


 セラフィーの心の傷は癒えていない。理解してるメンバーはセラフィーがぼんやりしていても責めたりはしないのだが。むしろセラフィーの心を癒したいと思っている。ゴロゴロしていても仕方ない。最近では下位メンバーでもセラフィーの事情は理解されている。怠け者扱いは変わらないが。


 変に鋭いのでカルヴァインたち上位メンバーに頼られているのだが、回りから見ると特別扱いされているようにしか見えない。団員は理解しているが他の傭兵や冒険者には理解されていない。だらだらゴロゴロしているのに聖女呼ばわりされている無駄飯食らい認定だ。実際に戦闘になったら誰もセラフィーに勝てないのに。


「レハナ伯爵の娘さんが持病抱えてるって話だけど」


「耳が早いなお前、本当に」


「治してあげたらレハナ伯爵取り入れられるかなって」


「腹黒いなお前本当に」


「聖女様だからな」


「聖女とか自分で言うのは腹黒い」


「いや、ヤミン男爵に言って。あの人の策に乗っただけだし」


 どのみち聖女の名前を利用しているのは事実だが。だいたいだらだらしてるか酒を飲んでるので冒険者の評判はよろしくない。


「まあ戦争は回避できないんだけど」


「なんでいつもだらだらしてるのに情報通なんだ?」


「八百屋の女将さんが情報屋でさ。メロンとか買うといろいろ教えてくれるし情報も拡散してくれるんだよ」


「いやに早く聖女の話が広がったと思ったらそんな情報ツール持っていたのか」


「ヤミン男爵の紹介で」


「ああ、そう言えば紹介されてたな。と言うかヤミン男爵が腹黒い」


「私もいろいろ学んだよ」


 セラフィーも腹黒い。仕方ない。大切なものを失わないために狡猾にならざるを得なかったのだ。


「暁を大切に思ってくれてるのは嬉しいが」


「仕方ないだろ、関わったんだし」


「セラは本当に人が好きなんだな」


「私は人間が嫌いだ」


「はいはい」


 セラフィーが人好きなのはもう暁の星団員には知れわたっている。本人は人嫌いと公言しているがツンデレ扱いである。


 まあ人好きなのはレハナ市の人たちにも知られているから聖女としての名が広まっているのだが。


 普段はだいたいめんどくさそうにテーブルに頭を乗せてゴロゴロしているので冒険者からの評判は怠け者扱いだが。


 そういうところも可愛いんだけどな、と、カルヴァインは思っている。恋人がいなかったら付き合ってるくらい仲が良かった。


「まあレハナ伯爵に情報持っていくか。どうせ娘さんの治療もする予定だったし」


「そういう人に取り入るの上手いよなお前」


「恋しても良いのよ」


「恋人がいなかったらな」


 ただの酔っぱらいの戯れ言だ。今セラフィーが、恋したら失う恐怖で自殺できる。彼女の破滅欲求的なところはカルヴァインも困っているところである。致し方ないが。






 ストック二十話くらいしかありません。


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