スタンピード
二話目です。
レハナ市周辺にはダンジョンがいくつもあり、スタンピードは二、三ヶ月に一度も起こっていた。未発見のダンジョンによるスタンピードもあり、被害は凄まじいものがあった。逆に言えば暁の星傭兵団は稼ぎどころである。そのためにこの地に半年とどまると決めているところもある。
そもそも暁の星傭兵団の名前を上げるのが目的ではある。セラフィーがいてくれて助かっているのも事実だ。
スタンピードが起こる。カルヴァイン団長はセラフィーを、見下ろす。
「オークか、行ったとこでオーガだな。ジャイアントもいるのか」
「まあまあきつめのスタンピードだと思うんだけど?」
「私に言ってるのか?」
「セラには荷が軽すぎるか」
ぶっ殺していいならどうとでもできる。セラフィーにしてみればエルダードラゴンまでは雑魚なのだ。邪魔くさい以上の感想はない。
すぐに戦場に降り立つセラフィー。後ろからセリナが魔法を打ち続ける。セラフィーはノーダメージだ。戦場は炎に包まれているが。
「クソ雑魚が数揃えたところで意味ねえんだよ」
片端から殴り潰し収納していく。スヴァルトのご飯が増えるだけである。
「退屈だ」
すでにセラフィーに文句を言えるメンバーはいない。誰がどう見ても最強戦力である。聖女活動と相まって名声はひたすら高くなっている。
聖女の里を滅ぼした商人がいたらしいが借金を抱え込んで潰れたらしい。知ったことではなかった。悪は滅びたのだ。
自分の手を汚さずに敵を潰すのはなかなか楽しいものがある。まあ世の中はわりと勧善懲悪だったのである。いい気味だ。
そしてセラフィーは戦うのである。戦場こそが彼女の望みであるがゆえ。
雑魚いオーガとかいい加減飽きた。っと、言うところでオーガチーフとか言うまあまあ骨の折れそうな敵が出てきた。セラフィーはにいぃと、顔をほころばせる。硬いの殴れるな。まあドラゴンに比べたら雑魚だが。
手抜きは手抜きだが強い相手と戦えるのは楽しい。オークより硬い頭蓋骨を粉砕していく。楽しかった。セラフィーの全力から言えば一パーセント程度しか力を使っていないが。団員に言えば大袈裟だと思われるがスヴァルトやウーシャンはそれが事実なのを知っている。カルヴァインもセラフィーが全力を出していないのは分かっていたが一パーセントとまでは思っていなかった。エルダードラゴンを倒した話を聞いているので納得はしているのだが。
普通にセラフィーの相手をするのは無理だった。スタンピードなのに敵はセラフィーを避けた。密集した敵を魔術師が撃ち蹴散らしていく。セラフィーが暇になった。却ってセリナたち魔術師はセラフィーの評価を高くしたのだが。
雑魚が固まれば広範囲攻撃魔法が生きる。セラフィーを打ち崩せない時点で敵方の動きは限定され、魔法使いたちに蹂躙された。セラフィーはただ突っ込むのみだ。雑魚も群れれば骨が折れる。無双するのは楽しい。スタミナもあまりあるセラフィーだ。千人斬りくらいできなくはない。ほぼゲームである。
戦場を駆けるセラフィーは話題になった。血塗れ聖女の噂も相まってどんどん名声が高まっていく。セラフィーの望み、機神退治が物語として出回るレベルである。まあ原初の機神退治はまだ無理なのだが。
スタンピードを起こす機人兵は退治していく。民衆はセラフィーの味方だった。
「悲劇を売り物にしてるのは気に食わねえが、ガムマイさんの仕業だろう」
「当然売るだろう。傭兵は商売だ」
「理解できるのが悔しいな」
「そういうわけで頑張って稼いでくれ、看板娘」
「私ガムマイさんの頭蓋骨粉砕しても許されると思うの」
「一応うちの参謀だからやらないで」
「ちくせう」
カルヴァインに言われたら一応納得するセラフィーであった。まあ今夜もエリさんのステージがあるので血塗れ聖女も血に塗れてはいられない。それはちょっと怖い絵面である。
今日はエリさんの新曲が聞ける。セラフィーは歓喜した。
スタンピード 静かに モンスターが暴れだす でも 彼女は 負けない
鋼の意思で 全てを叩き潰して!
飛べー! ドラゴンが雲を引いて 夢を描く
時空間を 自在に 飛び越え 君は 確かに夢を描く
自由に 飛んでいく 君は 英雄だ
フライハイ 高みを超え インスパイア 希望を抱く
私一人では叶わない 未来を一緒に歩いて 欲しいのー!
君と 越えてく あの丘をー!
自由自在 変化も越え イマジネーション 想像の限り
この 未来も 僕らの 手の中
セラフィーは、泣いた。かっこいい! エリさんかっこいい!
エリさんはしっとり系の歌のイメージがあったがこういう歌も歌えるんだな。セラフィーはこちらの歌の方が好みだ。喉を痛めそうだからあんまり歌ってもらえないかもしれないが。
雑魚ばかりのスタンピードを消化してダルくなっていたが、エリさんの声を聞けばスッキリする。すでにセラフィーのルーティーンになっている。
聖女活動も続けている。神殿の治療院ではもうレギュラーである。火事場泥棒商人も滅ぼしたのでやる意味はあんまりないのだが、名声はかなり武器になると味をしめてしまった。
今やレハナ伯爵領にくればいかなる病も治るとか噂がたっている。暁の星傭兵団としては有り難いことだった。セラフィーの名前を出せば貴族にも優遇される。
スタンピードもすぐ終わります。
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