トチューチカ村の戦い
戦争こそがセラフィーの願いです。
今日も二話更新!
結局勇者ルシアを引き連れることになった暁の星傭兵団一行は、レハナまであと一日の村、トチューチカへと向かった。
最近銀山が見つかり、開拓が行われている村である。小さな村のわりに人が多い。
「うわー、賑やかな村ですね、聖女様!」
「死ね」
「ひどっ!?」
「お前の頭には記憶容量ないんですかぁー? 聖女呼ぶな言ってるだろが!?」
「でも勇者の鑑定眼だと間違いなく聖女なんですぅ~」
「くりぬけ」
「無理ですうっ!?」
厄介なことに勇者は鑑定だのインベントリだのの能力を普通に持っていた。厄介極まりない。
しかも勇者は彼女だけではない。いわゆる神器に選ばれた四人は勇者となる。つまりルシアのような人間はあと三人いるし、一人はハガネの打った剣を持っているわけで、会わなければ仕方ない。
ハガネの打った神剣は実に不名誉な名前を(ハガネ本人に)付けられていたりするのだが、使っている人は至極まともな人だ。セラフィーは何度か会ったこともある。いずれまた会わねばなるまい。
トチューチカ村には臨時でいくつも宿泊施設が設けられていた。どうやら今夜は野宿しないでも良さそうである。どこに泊まるのかな、とセラフィーが考えているとウィーが声をかけてくる。
「セラフィーちゃあん、私と一緒の宿に泊まりましょ!」
「ん、ああ、いいぜ」
「ルシアちゃんたちもぉ」
「は、はいぃ!」
「宿だあ~」
「わふん(屋根がある!)」
「あ、ごめんー、ペットは禁止だわぁ!」
「きゃいん!?」
「お前実は犬だろ」
と、いうことになり、スヴァルト以外のパーティーメンバーは同じ宿に泊まることになった。哀れスヴァルト。今夜もご飯はオーク肉。まあ影に入れるんだけどね。
宿は臨時で立てられている割にはしっかりした作りだった。まあプレハブとか無さそうだしね。魔法で建築できるそうだ。
各自部屋を確認したら団員で集まって食事をするらしい。バーベキューか? オーク肉が唸るぞ! 私は一人でエルダードラゴン食べる。てんごくのおとーちゃん、セラフィーはきょうもきちくです。
だが夕食はしっかりした居酒屋風のお店だった。まあいい。オーク肉はスヴァルトが食べるし。ドッグフードよりマシだと思うの。
女神様がいいお酒を飲めますように。と、祈る。お酒飲むのかな女神様?
焼き鳥や豚串を食べながら冷えたビールを飲んだ。最高だ。しかも団長のおごり。お金持ちでもただ酒は二割増しでうまい!
ちなみに冷蔵庫もダンジョン性アイテム収納道具のひとつだ。入れた瞬間に冷える優れもの。
ドワーフの適量まで飲むと樽が空になるのでセラフィーも手加減はしている。
そして夜、セラフィーたちが久々のベッドで眠りについた頃、それは訪れる。
『敵襲だあーッ!!』
がばりと起き上がるセラフィー、すぐに宿の外に出る。平屋なのが幸いしてすぐに外に出られた。ちなみに洞窟暮らしのドワーフは夜目も利く。
そこにはうじゃうじゃと機人兵の群れ、一式から四式、五式もわずかにいるか?
どこかに六式がいそうだ。それよりも五式がいるということは……。
「スタンピード、モード:トロール」
今回はトロールか、普通の冒険者じゃ太刀打ちできないぞ。ただスタンピードって割には数は少なそうだ。おそらく個体数が少ないと引っ張ってこれないらしい。五式が何体かいるはずだが呼び寄せている魔物が一種なのは複数種だと魔物同士が争うからだろうか。なんにせよ一種類しかいないのは都合がいい。
早速インベントリから黒銀を抜く。チマチマと一式なんかとやっていられないな。
「カルさん、契約外だ! 雑魚を頼む!」
「分かった! さすがに多すぎるな……」
カルヴァインとはこんなケースについても話し合っている。もぐらの里のような集団戦になれば当然カルヴァインたちも襲われる。じっとしていろなんて言えるはずがない。このようなケースは契約外となる。集団戦闘の始まりだ。
「おらあっ!!」
「セラ、いくわよ!!」
「来いやあっ!!」
一式の群れに飛び込み、その中にいる四式をセラフィーが狙い、そこにセリナの大火球が落ちてくる。雑魚はそれだけで吹き飛んだ。
「いい威力だ!」
「どんどんいくわ! 突っ込みなさい!」
一応セリナもセラフィーに比べれば常識があるので、仲間を撃つのは忍びないのだが、あんまりにもセラフィーが平気そうなのでだんだんムカついてきた。火球がどんどん大きくなる。それでも耐えられるのだが。ムキになって火炎砲弾なんていう大砲のような魔法まで放つが平気そうだ。本当にドラゴン倒すレベルで撃ってやろうかしら?!
そんなバカなやり方をしているのでどんどん雑魚ははけていく。しかしそれでも数が減らない。どんどん出てくる。
「こりゃどこかに六式が隠れてるな」
「探しだして始末しないとダメね!」
セラフィーとセリナで雑魚は押し込められるが、見える範囲に六式はいない。ちなみに機人兵の情報は暁の星ともすでに共有している。
「ウーシャン! スヴァルト! 索敵頼む!」
「はーい!」
「わふぅん!(オーク肉以外食べたい!)」
なんかスヴァルトの吠え方が愚痴っぽく聞こえたがセラフィーは気にしないことにした。何度聞いても意味は分からない。またオーク肉食べたい、と言ったのかもしれない。
二人が索敵している間にトロールを狩っていく。植物属性の巨人らしいトロールは火に弱いが再生力が強いらしい。
「せいやぁッ!!」
「ガボンッ!?」
顎を砕いたら一発で死んだが。再生力(笑)。
一撃で全部HPを持っていったら再生もくそもない。そしてセラフィーのレベルでトロールを相手にするなら問題になるはずもなかった。
「柔い!!」
「ギャバアッ!?」
「グボオオォ……」
「トロールって火にも弱いのよねぇ」
セラフィーの倒したトロールのとなりの一匹はセリナが炎でこんがり焼いた。じょうずにやけましたー。
「雑魚じゃん」
「あの二人こえぇ」
なにか狼少年のカートが怯えている。いや、敵を倒せ。ゲームのハードモードで真っ先にやられて士気を落とす味方武将か。
他の仲間のサポートもしつつ立ち回る。僧侶はセラフィーとアイリスだけだ。なんで要の僧侶が切り込んでるんですかねぇ、とか言われそうだが、セラフィーだから仕方ない。
セラフィーってある意味変態ですよね。
ブックマークと評価をよろしくお願いします!




