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新たな出会い

 二話目、あの変態と出会います。


 よろしくお願いします!



 レハナ伯爵領領都、レハナ市へ向かう暁の星傭兵団。途中セラフィーの規格外さを見せつけられたりしつつ三日の道のりを歩き続ける。


 二日目、雨が降った。結構な豪雨で、しかし雨がっぱなどはセラフィーは持っていない。他のメンバーは持ってた。


 ウーシャンは革のカバンに隠れスヴァルトも影の中、セラフィーだけが濡れていた。水も滴るいい女だぜ、とか空しいことを考えたりしていた。まあ状態異常回復(フルリカバリー)もオートでかかっているので絶対に風邪は引かないのだが。それはそれで寂しい。パンツまで濡れてきた。雨でね?


 遠くでビシャン、と、雷の落ちる音もする。ガラガラと崩れるような音も……って、崖崩れ!!


 他のメンバーがカッパに手足を取られる中、セラフィーだけが突出して崖崩れの現場へと向かう。そこにいたのは……白い顔とフード付きの服、一見普通の人間と変わらないその姿は、ゼロ!


 ゼロ式が見たことのない機人兵と戦っていた。そしてその崖の下には、人がいる!


 すぐに駆けつけて岩をどけていく。十分に魔力強化したセラフィーの肉体は重機と変わらない。どんどんと岩を避けていく。崖下にも投げ捨てる、捨てる、捨てる。


 ようやく体が出てきたところで回復を放つ。見る間に傷はふさがった。服もあちこち破れているが、なにやら回復魔法をかけた時に違和感を感じた。部分的に魔法が弾かれたような。


「ゼロ! 援護する?!」


「構いません、セラフィー、その子を守ってあげてください! ヤツは私がしとめます!」


「気をつけて!」


 ゼロは心配だがあの新式にちっとも押されていないように見えた。自己改造を繰り返したゼロなら大丈夫なはずだ。信じるしかなかった。


 ゼロは敵を追い、またいなくなってしまった。


「……ん、……いた……くない? あれ?」


「目が覚めたみたいだな」


「貴女は……聖女様?」


「聖女ではないな」


 セラフィーは真顔で断言した。しかし当分この少女にセラフィーは聖女と呼ばれるはめに陥る。


 紺の髪に碧眼、美しい白い肌の、少し身長は高い美少女。彼女の名はルシア。勇者を名乗る娘である。




「あいたたたたたたたたたたたッ!」


「それでぇー、その勇者様がどうしてゼロと共闘してたんですかぁー?」


「い、痛いです聖女様ッ!」


「聖女って言うなって言ってんだろーがこの! 勇者様の頭はメモリーゼロですかぁー?」


「あいててて、そのアームロックって技地味に痛いですううううぅッ!!」


 セラフィーに追い付いた暁の星メンバーの心は一致していた。なにやってんだあいつ、怪我人に。


 セラフィーにより回復されてはいるものの、またどこか壊されそうである。とりあえずルシアは聖女呼びは一旦やめた。心がくじけるくらい痛かったのである。痛かったのである。


「セ、セラ様、お助けくださり有り難うございます」


「いいから、礼はいらない。ムカつくから。なぜゼロ式と共闘していたのか、あの機人兵はなんなのか。教えて」


「なんでお礼でムカつくんですか?」


「口先だけのヤツいるし、嫌いなんだよ。ほらそっちも答える。いいね?」


「アッハイ」


 ゼロ式とルシアが共闘していたのはたまたまターゲットが被っていたかららしい。とある村を壊滅に追い込もうと派遣された機人兵六式、コマンダー型。他の機人兵を操り現地で故障した機人兵素材からのリスポーンを行う、要するに機人兵スタンピードのための兵だ。戦闘スペックは五式より高く、その上他の機人兵と連絡を取り、放置すればどんどんと機人兵が集まり手に負えなくなる、というわけだ。めんどくせぇ、とセラフィーは顔をしかめた。


「そういうわけで私、セラ様について参ります!」


「くんな」


「ええ~……」


 熱意は認めるが暑苦しい。一回命を助けたくらいなんだというんだ。結局こういうヤツは見えないところで死ぬ。なら知らない人だと思えた方が楽だ。……悲しいのはいやだ。


 セラフィーの中では積極的な人間は一番嫌いな部類に入っている。昔の自分とか、嫌いだ。いつか泣く。そんな風に捻れていた。


「とにかく、ルシアさんはセラのパーティーでいいな?」


「なんでぇ?」


「そんなに嫌そうな声出さんでもいいだろ……」


 セラフィーの低音にカルヴァインも頬をひきつらせる。そんなに嫌なのかと。


「だってこいつすぐに死にそう」


「そんなことはありません! 私は強いんですよぉ!」


「はあ、じゃあ適当に私と打ち合うか」


「いいですともっ!」


 ルシアはそういうと胸、真ん中よりわずかに左、心臓の上に手を当てる。胸元が発光したかと思うと、その胸から剣の柄が飛び出してきた。どうなっている? セラフィーは自分の目を疑った。


 ルシアの心臓から飛び出したのは日本刀だった。


「これが我が神剣! メアリーデ=アウスです!」


 名前はめちゃ洋風だった。見た目は紫電をまとい強そうである。しかし剣の腕はどうか。


「いきますよっ!!」


「!!」





 ……いつの間にか雨も止み、夕焼けが射している。暁の星傭兵団は今日はここで野営だ。セラフィーは浄化の魔法で水気を振り払った。……明日は晴れそうだな。


「……せ、せいじょさまあぁ……」


「しつけぇ」


 戦いは三秒もかからずに終わった。一撃で脚をへし折ったセラフィーが鬼畜なのか簡単に一撃もらったルシアが間抜けなのかは誰にも分からなかった。


 治すとウザいので野営準備が終わるまでルシアは土下座体制で放置である。


「うん、やっぱりセラが鬼畜なだけな気がする」


「間違いないと思うぞ」


「そこ二人失礼だぞ」


 カルヴァインとガムマイハートはさっきからセラフィーを責めるばかりである。うっせえ、か分かってる、しか返さないセラフィーも大概ではあるが。


「はいできた。ほれ回復(ヒール)


「ああああ、生き返るうううぅ~……」


「……ほら飯」


 今日はクリームシチューだ。肉がエルダードラゴンなのを除けば普通の。その時点で普通ではないが。


「私もお供していいんですかぁ……?」


「ストーカーされるよりマシだろ。まあせいぜい頑張れや」


 結局ルシアのあまりのしつこさに、セラフィーは折れたのだった。飯まで作る辺り世話焼きの血は死んでないようである。






 この変態出番少ないですが勇者です。


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