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ヤミンにて

 二話目です。よろしくお願いします!



 ヤミンの町に着いた一行は、それぞれに行動を開始した。セラフィーはカルヴァインに呼び止められる。


「最後の団員と、ヤミン男爵に会ってほしい。依頼のこともあるし、もぐらの里のことも話しておこう」


「ん、了解」


 セラフィーはおとなしく着いてきた。カルヴァインはその様子を見つめる。やはり無表情に見えるのは心がどこかに飛んで、ぼんやりしているからに見えた。セラフィーの気持ちを軽々しく分かる、なんて言えない。カートの時よりずっと重症だった。


 やがて暁の星の定宿にたどり着いた。ここで調整をしていた団員とセラフィーの顔合わせをする。カルヴァインはセラフィーをそこで待たせてウィーギネストス、ウィーの部屋へ向かった。あらかじめセラフィーのことを伝えておかなければならないだろう。


「ふうん、可哀想な子ね、って、言っていいのかしら?」


「憐れまれるのも嫌そうだったが」


「そうよね……。こういうケースも無いではなかったけど……。気にせず見守った方が良さそうね」


「ウィーならなにかあるかと思ったんだが」


「固まった心はゆっくりと溶かしていくしかないわ。無理やり叩いても折れて割れるだけよ」


 ウィーギネストス、ウィーはエルフのオカマだった。一応参謀なのでいろいろ相談をしている。特に心の問題は彼女(?)が詳しそうだったが、さすがにセラフィーの心は複雑な折れ方をしている。溶かして固まるのを待つしかない。溶かすためにはゆっくりと熱を加えないといけないが、慌てても駄目だろう。


 まずは顔を合わせよう、ということでカルヴァインたちは一階に降りた。セラフィーは一階にいなかった。どこにいったのか、と、外を覗くと、いた。


 中央の広場になっているところで、美しいエルフが立っていて、どうやらなにか歌っているようだった。セラフィーはそれを見ているのか、直立不動で微動だにしていない。カルヴァインたちもそっと近づいてみる。セラフィーが見つめるエルフを見ると、はっとなった。はっと目覚めるような美しいエルフ、いや白銀の髪に青い瞳はハイエルフの特徴だ。街中でハイエルフを見るのは非常に珍しかった。



 ぼくらは 未熟な 冒険者 茂みで 薬草 探してる


 ぼくらは 駆け出し 冒険者 ゴブリン なんかに 負けないぞ


 無理して 戦い 傷ついて 付けた 薬で大赤字


 ぼくらは 中堅 冒険者 オーク 退治も 慎重に


 ぼくらは 上級 冒険者 クランの 若手を育ててく


 一人一人は 弱いもの みんなで 栄光 目指してく


 ぼくは 伝説の 冒険者 ドラゴン 退治で 名を上げて


 ぼくは 引退 冒険者 優しい 家族が 待っている




「うおおおおん!!」


「!?」


「セラ?!」


 セラフィーはそのハイエルフの歌を聞いて大泣きした。カルヴァインはセラフィーは冷静だと決めつけていたがもしかしたら泣き虫なのかも知れない。いつものセラフィーからは想像がつかなかった。確かにいい歌だったけど。声が優しく透き通るように伸びる、どこか独特な心に響く旋律だった。カルヴァインも確かに聞き惚れたのだがセラフィーの反応の方が気になった。


「最高! もう一曲!」


「あはは、有り難うドワーフさん。でも今日は終わりにするわね。喉を休めないと。ごめんなさいね」


「いえ、すみません! 私はセラフィーといいます!」


「私はエリよ。聞いてくれて有り難う」


「ファンです!」


「まあ、有り難う。いつもはレハナの『晴夜』という宿で歌ってるのよ。よかったらいらしてね」


「はい!」


 すっかり一瞬でセラフィーは虜になったようである。まあ群衆の反応を見ればセラフィーだけではないようだ。次々に声がかけられ、しばらくエリはその場から動けなかった。セラフィーも握手まで求めにいった。落ち着いたらしいところでカルヴァインはセラフィーに声をかけることにした。


「セラ」


「……ん、あっ、ごめんカルさん」


「いや、セラは歌が好きなんだな」


「いや、なんか染みちゃって、声とか旋律とか」


「まあわかる」


 カルヴァインにしてもいい歌だと感動していた。セラフィーが引くほど泣かなかったら自分も泣いていたかも知れないくらい。その二人を見てウィーギネストスは呆れてため息を吐いた。その大きなため息でカルヴァインはウィーの存在を思い出した。セラフィーに紹介する。


「セラ、こいつがうちの団最後の一人、ウィーギネストス、ウィーと呼んでやってくれ」


「ん、よろしく……?」


「はぁい、セラちゃんねぇ~? あたしウィーギネストス。名前嫌いだからウィーって呼んでぇ~?」


「ウイ」


 なぜフランス語?


「反応が可愛いわぁ~!」


「ぐぇっ」


 ウィーは思いきりセラフィーを抱きしめる。セラフィーはその瞬間性別を判断した。胸板かたっっ!!


 どうやら男性のようだ。いや、本人は女性といわれた方が嬉しいか? 判断に困っているとカルヴァインが助け船を出した。


「……一応女性として扱ってやってくれる?」


「わ、わかった……」


 実戦なら絶対負けないはずだが勝てない気がした。おとなしくカルヴァインに従おう。


 そのまま宿の食堂で話しているうちに、なんとかセラフィーはウィーと打ち解けることができた。と、思う。








 セラフィーはエリと出会ったことで少しずつ心を溶かしていきます。


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