099【報酬と風呂とダルトンと】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
「ここにある財宝。欲しいだろ。別にいいぞ。その前に武器か」
「いや、まぁ、欲しい気持ちはあるが」と仲間たちを見る。
バッケルが答えた。
「金貨はあるか?」
「あるよ。貨幣を溶かすのもどうかと思って、そのままにしてある」
「では、報酬として、それをもらいたい」
「まぁ、いいけど。報酬ってことは、仕事するってこと?」
「そうだ。まぁ、ここでは共同生活になるだろうから、ここを抜け出したら、ということでどうだろうか?」
「そうだな。どっちにしろ、ここを抜け出ないと金も使えないしな」
うなずくバッケルと握手した。で、どのくらいあるのかを見せることに。
マジックバッグから取り出す。革袋をいくつも。全部で五十袋。ひと袋に金貨百枚ずつ。これで全部ではないよ、もちろん。
「こんなにあるのか」
「ああ。オレたちはほかを取ることにするよ。貨幣はうちの国じゃ使えないだろうし」
「そうか。それもそうだな」
革袋をマジックバッグにしまい、彼に渡す。
「はい、報酬」
「えっ?」
「武器は少し待ってくれ。あとで渡すから。あっ、それからあの四人には手を出さないでくれよ。あっ、オレも含めてな」
「お、おぅ」
夕方。ダルトンの解体はまだ続いている。だが……
「腕が上がらないぃぃぃ」と弱音が漏れてきた。
そこへマナミが彼に近付いて、身体に触れる。小声で何事かつぶやく。それから離れた。
「マナミ! そこまでやるの!?」
「頑張ってくださいね」と笑顔。
なるほど。治癒魔法を使ったか。
ぐおおおっ、と発奮して、解体再開するダルトン。
夕食。肉ではなく、魚料理。
美味い美味い、と食べ進む《探索の神獣》たち。
もちろん、美味いに決まっている。食材の新鮮さもさることながら、マナミの手が加えられているのだ。美味くないわけがない。
「寝床に入る前に、風呂に入ってくれ。疲れが取れるから」
「風呂? ってあの風呂か?」
「ほかにあるのか?」
「い、いや」
《探索の神獣》を風呂場に連れていく。
使い方をレクチャー。
着替えは、オレたちのものを提供。ほとんどランドルフのだけど。
「マナミさま」とダルトンが焚き火にやってきた。疲れ切っている。「お仕事、終わりました」
「ご苦労様でした」と笑顔で迎えるマナミ。「では、ご褒美をあげましょう」
テーブルに夕食が出てきた。取り分けておいた彼の分だ。
ダルトンはガツガツと食べる。
その夜。《探索の神獣》は、昼間に新たに作った小屋に雑魚寝で寝てもらった。ウルフの毛皮を毛布代わりに。
不寝番は、オレたちが担当。彼らには今日はゆっくり休んでもらう。
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