095【新参者の話】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
全員がオレのあとに続く。
オレの声に反応して、こちらを見る新参者たち。ポカンッとしている。
結界の魔導具は、夜にしか発動させていないので、安全地帯を離れても大丈夫。
新参者たちのそばまで来ると、湖水が盛り上がり、白い姿が現れた。エッヘ・ウーシュカだ。最近はたまに顔を出して、こちらのようすを伺っていた。それでもオレたちは湖水に浸かる真似はしない。ちょっと足を入れる程度だ。
その白い姿を指差すと、新参者たちがその先に視線を向ける。そして、叫び。慌てて湖水から上がる。
オレは少し湖水に入り、ゴブリンの死骸を出して、エッヘ・ウーシュカへと風魔法で流す。
「騒いで、悪かった。お詫び、食べて」とエッヘ・ウーシュカに向かって話しかける。
エッヘ・ウーシュカは、オレの言葉に馬耳を震わせ、ゴブリンの死骸を背中にくっつけた。鉄が磁石にくっつくように。
鑑定さんによれば、エッヘ・ウーシュカはそうやって、獲物をくっつけ、食事場所に運んで食べるとか。ということは、食事時間ではなかったか。
エッヘ・ウーシュカが水中に没したのを確認して、新参者たちへと向かう。すでにダルトンたちが集まっていた。
いつのまにか、ラキエルもいた。面白そう、と思ったか? ラキエルは、エッヘ・ウーシュカをもう怖がっていない。隣人と思っているのかも。
「危ないところを助けてくれて、ありがとうございます」と新参者たちが頭を下げる。
「無事でよかったな」とダルトン。「で、どゆこと?」
「いや、オレたちは《探索の神獣》というパーティーで、この森に入って活動しているんだが、魔獣たちの大逃走に巻き込まれたんだ。それで迷子になった。お恥ずかしい話だ」
「大逃走? スタンピードではなくて?」
おっ、知ってる言葉が出てきた。スタンピード。大暴走だったな。
「いや、あれは何かから逃げていた。なんなのかはわからないが、威圧感も強かった」
「いつの話だい?」
「三日から四日前だ。かなりの魔獣が逃走したおかげで、オレたちを襲ってくる魔獣が少なくすんだ。ふつうなら、こんな装備では半日も保たん」
よく見れば、装備はほとんどなく、身体も大小さまざまなキズがある。食事も充分に摂れていないようすだ。
「ようやくこの湖にたどり着いた。助かったと思ったよ」
「そこへエッヘ・ウーシュカか」
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