091【説教と説明】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
「ハルキ、エイジ」と説教モードのダルトン。「なんじゃ、さっきの闘いは! オーク相手に対等に剣技で勝負するな! アヤツらはたいした力量ではない! 石礫でも顔にかけてやれば、スキができる! そこを斬ればいい! それもじゃ、相手の動きを損なうように斬れば、余分な手をかけずともいい!」
ダルトンにそう言われて、何も言い返せないふたり。ダルトンは、自分のおっさんくさい発言に気付いていないらしい。
「大盾から出たところはよかった」とランドルフ。説教ではなく、ダメ出しだった。「だが、せっかくオークが驚いたのに、打ち合ってしまった。見せかけの行動で撹乱すればよかったと思う」
男子ふたりには、ちょっと届いていない感じ。
「ふたりとも」オレ。「バスケ部だったっけ?」
うなずくふたり。
「フェイントかけたりするだろう?」うなずく。「打たせまいと腕で塞ぐだろう?」うなずく。「シュートと見せかけて、別の行動をしたら、相手は戸惑うだろう?」うなずく。「そういうのを組み合わせれば、イケそうじゃないか? あとさ、斬りかかる前に相手に砂をかけてもいいよな、バスケじゃないんだからさ」
それでようやく、ふたりが合点したようだ。
「それとどんなに鋭い太刀筋でも、効果的な場所っていうのはあって。例えば、首筋の血管、かかとの上の腱なんかを斬れば、相手を弱体化できるだろうな。そのうえで相手の命をいただく」索敵が反応。「さぁ、次だ。ゴブリンが六匹、来たぞ」
指差した先にゴブリン。まず二匹が顔を見せた。
「ハルキ、エイジ、ふたりだけでやれ。自分たちで試合を組み立てろ」
「「おぅ」」
ふたりが駆け出す。
その姿を追う。ゴブリン六匹に手間取るようじゃダメだ。勇者と賢者という称号以前に、冒険者として終わっている。
「なんか」とダルトン。「サブが言う方があのふたりには響くようだな」
「確かに」とランドルフも。「知らない言葉があったが、ふたりには理解しやすいものだったようだな」
「バスケという競技があってな。あのふたりはその競技者なんだよ。だから、わかりやすいんだ。それだけだよ」
「いや、ランドルフがサブをリーダーと認めたわけがなんとなくわかった。人を使い慣れてる」
「仕事でな。ある程度の数の人間を使っていた。ひとりひとりの特徴を知らないとできなかったんだ。強制的に身についた能力だよ」
「ふうん。おっ、うまく倒せてるな」
男子ふたりは、ゴブリン六匹に対し、フェイントを混じえて攻撃している。魔法も使って。相手の目や足元なんかを狙って、スキを作っている。
その後も、四人に簡単な指示をしてから戦闘に送り出す。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




