088【冷えたエールとお風呂】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
そのあいだに、ガラスの話に戻る。
「ガラス製品は、多くはなく、またそれなりに高価である。間違いないか?」
「間違いないよ」
「で、緑色しているんだな?」
「そうだよ」
「なら、無色透明なガラス製品があったら、金持ちは飛びつくか?」
「そんなのないけど、あったら飛びつくだろうね。なんで? まさか」
「オレたちの世界では、そういうガラスがふつうにあるんだ。窓全体がガラスとかね。もちろん、色付きガラスもあるよ。工芸品が多いかな」
「作れるの?」
「材料と作業場があれば、かな」
「ここでは無理?」
「どうかな。作業場は作ればいいけど、材料は?」
脳内鑑定が必要な材料を見つけてくれる。まだ収集はしない。
「材料はあった。でも溶かすのに結構な火力が必要だな」
「溶かす? 溶かして作ってるの?」
「ああ。知らなかった?」うなずくダルトン。「そうか。簡単に説明すると、材料を溶かして、型に流し込むとか息を吹き込んで膨らませる。で、冷ます。そんな感じ」
「へぇ。で、作るの?」
「マナミ、そんなに欲しい? 別にヒマだから作ってみてもいいけど」
「欲しいです。やっぱり料理で使うのに、いろいろとあった方が」
「まぁ、そうだよな。“ビニール”袋とか“プラ”容器とかあると便利だよな」
「はい。“ラップ”や“ホイル”も欲しいところです」
「それは厳しい気がするよ。科学技術の粋を集めたものだからね」
「ですよね」と消沈。
「でもまぁ、作れるものから作っていこう。マナミが欲しいものを書いておいて。できれば、サイズとかも」
マナミが笑顔を見せる。
「わかりました」
「さて、ダルトン、もう冷えたはずだ」
「ん? おっと、そうだった!」
器からゴブレットを取り出し、ひとつをランドルフに渡す。
ふたりして、冷たいゴブレットの中身を喉にとおす。
「なんだ、コレ! 全然、違うじゃないか!」
「美味いな。冷やすだけで、こうも変わるか」
「飲み過ぎは、腹を壊すからな」とオレが注意事項を述べる。「風呂上がりの一杯がちょうどいいくらいだ」
「オイオイ、なんで早く教えないんだよ! オレ、もう一回、入ってくる! エール、注いでおいてよ!」
風呂場に走るダルトン。一度、風呂場に入り、しばらくすると大声が聞こえてきた。
「サブ! お湯が足りない! 早く入れて!」
「はいはい。今、ふたりが入ってるのに」
風呂場に行くと、男子ふたりはお互いに魔法で水をかけ合っていた。火照った身体を冷やしているらしい。
ダルトンは素っ裸で、“早く早く”とオレを急かしている。こうやって見ると、子どもなんだけどなぁ。
お湯を入れてやると、飛び込むダルトン。
「どのくらい、入っていればいい?」
「ゆっくりしな。さっきと同じくらいだな」
男子ふたりと風呂場をあとにして、みんなのところへ。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




