086【ランドルフからの礼】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
充分温まったところで、彼を追い出す。それからボディオイルを塗ってやった。
次は、ランドルフだ。
その前にお湯を足す。
ランドルフが入ってきた。やっぱりたくましい。筋骨隆々。でも脂肪はほどほどに付いている。以前に聞いたら、奴隷に落ちて少し痩せたらしい。どこがだ?
とにかく洗う。実はランドルフ、以前に貴族の邸宅で、体験しているとか。
ランドルフは軽く洗って、入ろうとする。それを止めて、もう一回洗わせた。
「洗い方が雑なんだよ、ランドルフは。そのまま入って出たら、痒くなるぞ」そして、垢が乾いて、フケのようになる。
ムムッ、と諦めて、身体を丁寧に洗うランドルフ。
オレの許しを得て、バスタブに入る。お湯が出ていく。ザーッ。
「ハァーッ。いいなぁ」
「だろう」
しばらく無言で浸かる。屋根はないので、星空が見える。
「ありがとう、サブ」
「ん? なんの礼だ?」
「奴隷のオレを買ってくれて」
なぁんだ、と言おうとして、ランドルフから続きがあるのに気付き、口を閉じた。
「ドラゴン討伐に失敗して、生き残ったのが、オレともうひとり。死ぬかと思いながらも生き延びた。だが、違約金が払える額ではなく、もうひとりは働くことも難しい。だから、オレひとりで背負うことにした。でもよ、奴隷に落ちて、余裕が出てくると、もう冒険者に戻れないんだ、と気付いてな。落ち込んでいたんだ。愛用の大盾を見てもさみしくなってな。そんなときだ、サブが来たのは。話を聞いて、信じられなかった。また冒険者に戻れるなんて、と」
その礼か。なるほど。ふたたび、冒険の旅に出られることをよろこんでいたのか。
「しかも王都を離れたら、勇者召喚されたと暴露するし。四人を訓練してくれ、とも言うし。おまけにさっきのアレだ」
「さっきの?」
「エッヘ・ウーシュカ。あんなの見るなんて、思いもよらなかった」と笑顔。子どもっぽい顔だな。なんか好奇心ワクワクが抑えきれない感じ。
「あれ、ケルピーとは違うんだろ。どう違うんだ?」
「ケルピーは大きな川に生息している、と言われている。以前に遠目に見たことがあるが、大きさが違うな。ケルピーは本物の馬と同じくらいだ。今日のは大きさが桁違いに大きい。たぶん、川にいたケルピーが生きられなくなって、湖に来たんじゃないだろうか。で、そのまま大きくなった。まぁ、真相は本人に聞かねばわからんが」
「どうやって聞けって?」
彼は、ニヤリと笑った。
「無理だな」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




