080【詠唱破棄】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
翌日は、四人の特訓。ランドルフも相手をしている。
オレは、生活魔法で何かできないかと試していた。
物を生み出すのは、かなりの魔力が必要で、どんどんMPが減っていく。
だが、素材がそこにあると、それを操るだけなので、減りは少ない。
そういうことは、両国の王城から奪った魔法書にも書かれていた。
ちなみに、両国の魔法書を比べると、キヨミが恥ずかしがる祝詞に食い違いがあるのが、わかった。同じ魔法なのに。
生活魔法は、ほぼ魔法の名前を口にするだけで、これは両国とも変わらない。
本当に祝詞って必要なのかな?
そう思って、鍋に水を用意して、明確なイメージを作り、“ウォーターショット”と唱えた。
近くの石に、水の固まりが飛んでいった。ビチャッ、と威力のない音だったが、確かに祝詞は使わなかった。
これが、詠唱破棄、かな?
さて、全員に教えるべきか? ちょっと悩む。
お昼休憩。昼食後のお茶。
「なぁ、ダルトン」と声をかけた。
「なぁに?」
「魔法の詠唱破棄って難しいの?」
「うん」
「どうして?」
「詠唱破棄なんて、夢のまた夢、おとぎ話、伝説」
「ふうん。ウォーターショット」とやってみせる。水の玉が飛んでいき、彼の顔にぶつかって弾けた。
水がひっかかり、目をパチクリさせるダルトン。
「オレだからこの威力だけどな」
「ど、どうやった」
「頭の中でしっかりと思い浮かべて、撃った。以上」
「サブさん! あの恥ずかしい詠唱、いらないの!?」とキヨミ。
「やってごらんよ。しっかりとイメージを固めて、撃つ」
もうイメージは固めてあったらしく、すぐに魔法名をつぶやくキヨミ。
「ウォーターアロー!」
何本もの水の矢が浮かんで飛んでいく。それが標的に当たり、溝を空けていく。
「やった! すごいすごい!」とマナミが自分のことのようによろこぶ。
男子ふたりも、すげぇ、と言いながら自分たちも魔法を打ち出している。
ランドルフもダルトンも呆然として、そのようすを見ている。
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