008【昇級試験の相手】
しばらくして、喧騒が戻ってきた。
「で」とサティ。「アンタは冒険者、には見えないね」
「商人です。護衛依頼しようかと思いまして、相談に来たんです」
「そうかい。何を扱うんだい?」
「村々をまわるので、生活必需品を」
「そうかい。なら護衛は必要だね」
返事をしようとしたら、大声が響いた。
「登録したての新人が、昇級試験を受けるんだと!」
おお、やはり昇級試験があったか。
四人がスタッフに案内されて、奥へと進む。
冒険者たちがゾロゾロとそのあとに続く。
「娯楽娯楽ぅ」とダルトンも続く。しかもジョッキを持って。
サティは“仕方ないねぇ”という顔。
「いいの?」
肩をすくめるサティ。
「じゃぁ、オレも」とジョッキを持って離れる。
「返しておくれね」
その声に手を振って、奥へと進む。
廊下を進むと、建物裏手に出た。
二十五メートル四方の空き地があった。
出入り口に冒険者たちが広がる。
中央には四人とデカいスキンヘッドの男性。引き締まった身体付きをしている。
「おいおい、ギルマスかよ」
「どうせ、事務仕事に飽きて、運動がてらの相手だろ」
「それよりアイツらの実力、賭けねぇか?」
冒険者たちが言いたいことを言っている。しかも賭けまで。これもテンプレか。
彼らは四人の実力を上位・中位・下位で賭けるようだ。聞こえてくる話を聞くと、どうやらA級B級が上位、C級D級が中位、E級F級が下位ということらしい。S級もあるが、誰も賭けない。それに四人の見た目がそぐわないのだろう。
ちなみに、ここで言っているABCは、もちろんこの異世界での文字のはじめである。日本語でいえば、“あいう”か、“いろは”か。
とりあえず、オレもその賭けに乗る。
全員が銅貨一枚を胴元に渡して、3グループに分かれた。銅貨一枚だとエール分か。
胴元も銅貨一枚出し、中位のグループに混ざる。
ちなみにオレは、中位に賭けた。根拠はステータスからだが、負けてもともと。見物料だ。
賭けの比率としては、上位から2・3・3くらい。
その上位グループの中でも賭けがはじまる。ギルマスに勝てるかどうかで。比率は半々。
「これより」とギルマス。「昇級試験を行なう。ただし、おまえらは冒険者としては新人だ。昇級できてもDまでだ。いいな」
「「「「はい」」」」
「実力の判断くらいはしてやる。まず個人、それからおまえたちのパーティーとしての実力を見てやる」
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