074【ランドルフの仕事と湖畔】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
「へぇ。だから、この世界での過ごし方を知ってたのか。納得」
「そうでなかったら、城からは逃げなかっただろう。あるいは、逃げ出すタイミングを図ってた」
「そうかそうか。ランドルフも知ってたの?」
「ああ。あの村でな。だが、魔力のことは気にしていなかった。大魔法使いなんだから、大丈夫だろう、と」
「そういうところ、ギルマス、わかっていたんじゃ?」
ウグッ、と何も言えなくなるランドルフ。
「まぁ、いいや。みんなは魔法は?」
首振るオレたち。
「多少、MPがあるから使えるだろう、とは思っていた」
「そこも教える必要があるか。剣技とかは?」
「教えてない」とランドルフ。「あっ、オレの仕事か」
「ランドルフ……まぁ、オレもそういう話をしていなかったからな。追手のことは後回しで、野営のこととか常識とかを気にしていたんだ」
「でも追手は来る、それは忘れないでよ」
「もちろんだ」
「君たち」と四人を見る。「今日から特訓ね。覚悟しておいて」
「「「「はい」」」」オレも小さく答えた。魔法は、生活魔法だけでも覚えたいもん。魔法だよ魔法!
オレたちは、湖畔にいた。きれいな湖だ。
ここは、街道からだいぶ離れた場所にある。
ダルトンが、ここを特訓場所にする、と言い出したからだ。
特訓の話が出て、ダルトンが、移動しよう、と言い出した。地図を出して、ここ、と示されたのが、湖だった。名前をグレイハート湖という。なぜか、地図上の湖は、点線で示されていた。
とにかく、そちらへ馬車を向けようとしたら、ダルトンから待ったがかかる。
「ダメだよ。跡が付く。指示に従ってね」
むむむ、跡か。考えなかったな。荷のない馬車だから、たいした跡は付かない、と思っていた。
「見る者が見れば、すぐだよ」
「お任せします」
で、その指示。
夕方近くまで進んで、街道脇の野営場所で停車。全員で降りて、馬車を馬から外し、馬車をアイテムボックスにしまわせた。
それから前の焚き火跡を見つけて、竈門を組まずに、火を着けた。ある程度、燃やしてから、土をかけて消す。
草を食んでいる馬のそばに行き、首をポンポン叩いた。すると、馬がゆっくりとその場に屈み込む。
「何をした?」
「眠ってもらった。魔法使いさん、この子とみんなを浮かべて、森の方に。速度は出せる?」
「歩く程度、かな」
「わかった。三分だけ移動しよう」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




