073【時計と魔法】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
「で、どこ行く予定?」
ランドルフが行く先を告げる。
「素直だねぇ。でもあの村で時間食ってるからなぁ……魔法使いさん」
「はい!」突然、振られたので、驚いているキヨミ。
「浮遊魔法は、どのくらい、使える?」
「えっと、最初は三分くらい?でした」
「サンプ? 何?」
オレはポケットから腕時計を出して、ダルトンに見せる。
「それは時計なんだが、動いている針が三回まわったら、三分だ」
「おお、こんな小さい時計があるんだ! すげぇ!」で、ジッと見つめるダルトン。少しして顔を上げる。「わかった。魔法使いさん、この馬車を浮かべて。ちょっと浮くだけでいいから、できる限り長く。そうすれば、馬の負担が減るから、速度が増すよ」
キヨミにうなずくオレ。彼女もうなずく。
詠唱をはじめる。
「浮遊!」
馬車の揺れがなくなった。軽くなって速度も上がる。
ダルトンは、腕時計を見続ける。
キヨミの息遣いが少しずつ荒くなる。
「もう、ダメ、です」
魔法の効果がなくなり、馬車がまたガタガタしだす。馬も重さを感じて、速度が落ちる。
「はい、約五分だね。MPは大丈夫?」
「えっと、三分の一に、減ってます」
「ならあと三分くらいは大丈夫だね」
「えっ?」
「続けろ、とは言わないから、安心して」
「よかった」
「本当はもっと使って欲しいところだけど、仕方ないね。魔法はどのくらいの頻度で使ってる?」
「クリアを一日数回とか」
「えっ、そんなもん? まいったな。もっと使ってると思ってた」焦っている。
ダルトンによると、魔法はどんどん使って、限界までMPを消費すると、限界値が増えるのだそうだ。テンプレな話だった。
「あっ、そうだった!」と四人。ちなみにオレも忘れていた。
「あれ? 知ってた?」とダルトン。狐につままれたような顔。
「忘れていたよ、すっかりと」とオレ。「オレたちの世界には、この世界に似た世界のことが物語としてあるんだ。その物語の中に、そのこともあった。でもあれこれあって、そこに気がまわらなかった」
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