072【戻ってきた財布と小人族】
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少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
「ありがとう、ダルトン。ヤバかった」
「うん。で、その魔導具を着けたら誰もわからなくなる。だから五人ひとまとめで動いている人たちを探したわけ。男女比も知ってるしね。すぐ見つけたよ。服屋で服を着替えたみたいだね。店員さん、あの服が欲しいって、ずっと言ってた」
「やっぱり目立っていたか」
「うん。それから商業ギルド近くの屋台あたりで四人を発見。でも君たち」と四人を睨むダルトン。「安心し過ぎ」
彼が差し出した手には、小さな革袋。オレたちが財布にしているのと同じタイプ。
「こういうふうにスられても仕方ないよ」とハルキに投げる。
受け止めたハルキは、中身を確認する。
「帰ってきたぁ」と情けない声を出す。
「オイラがそばに座っても身じろぎもしないなんて、ありえないよ、まったく」グビッ。
「しばらく、そばにいたんだけど、ようやくお兄さんが現れたんで、離れたんだ。で、冒険者御用達のお店で、装備ひと揃い、購入。でもお兄さんは買わない。路地裏で装備を隠した。あれってマジックバッグ的なスキル?」うなずいて答える。「そ。で、そうしたら今度は冒険者ギルドに四人だけ入っていって。お兄さん、あとから入って。意味がわからなかったよ。そしたら、四人は冒険者登録して昇級試験を受ける。当然、お兄さんも動くと判断して、先に動いたんだ。あとはご存知のとおり。狙いもわかったしね」グビッ。
「なるほどね」
横目で彼を見ながら、鑑定した。
ゲッ! 百歳越えてやんの。いや、大人とは思ってたよ。でもまさかねぇ。種族も小人族か。成人ちょっとの容姿で、人を欺いて情報を収集している、と。
「まぁ、そういうわけだから、よろしくねぇ」グビッグビッグビッ。「む、なくなった」と気落ちするダルトン。
アイテムボックスから鍋を出して、そのジョッキに注いでやる。
「おっ、やったぁ。お兄さん、サンキュ」
「これまでの情報料な。そんなにないからな」
「えへへ」グビッ。ガジガジ。今度は干し肉をかじりだした。「朝飯、食ってないんだ。あの村の門近くで張ってたからね」
「冒険者ギルドとか宿屋にくればいいのに」
「ギルドに行ったよ。遅くに着いたからね。夜番の人に聞いた。でもさ、その人、泊まっている宿屋を知らなくてさ。まわって確かめるような時間帯でもなかったからさ、ギルド前で朝まで仮眠して。門近くで張ってた」
「ご苦労様」
「おぅ。そういえば、お兄さんてば、ギルマスを倒したんだってね。なんか門衛の人たちが話してたよ」グビッ。
「ホモは嫌いなんだよ」
クカカッ、と笑うダルトン。
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