071【すねるランドルフとダルトンの推察】
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少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
「いたんだなぁ」とダルトン。「召喚のときには、儀式には慣れてたから、参加していなかったんだ。ほかに仕事がたっぷりあったからね。で、宰相が暗殺者に指示していたから、ギルマスに報告したの」
「聞いていたのか?」
「モチ」
「それで」とランドルフ。「コイツがここへ派遣されてきたわけだ。オレじゃ、対応できない、と判断されてな。クソッ」
最後は、うつむいてつぶやくランドルフ。
「それは違うよ、ランドルフ」とダルトン。「時間がないから、だよ。ギルマスはあんたの力を知ってるし、信頼している。このままでもいい、とも考えていた。でも暗殺者が出てきた。どう考えてもヤバいだろ。どう?」
ダルトンがランドルフを諭すように言う。ランドルフは、渋々だが、うなずいた。
「じゃ、お兄さん、馬車を出して」
「お、おぅ」
馬車が進み出すと、ダルトンがどこから出したのか、手に木製ジョッキを持っていた。それをゴクゴクやる。
「プハーッ、やっと追いついたぁ」
「どっから出した?」とランドルフ。
「バッグからだよ。便利だよね、マジックバッグって」
確かに背中にバッグをまわしていた。見たことのあるデザイン。
「あっ、そのバッグ、王城にあったバッグだ」
「おっ、よく気がついたね、お兄さん。以前にずっといたからもらって来ちゃった。ひとつくらい、いいよね」グビッ。
「まぁ、人のことを言える身分じゃないから、いいけど。あれ?」
記憶を遡る。
「ギルドで会ったときは、なぜギルドに?」
「王城の騒ぎをギルマスに報告にね。ずっと中にいるわけにいかないでしょ。報告報告ぅ」グビッ。
「報告前に飲むか?」
「飲ませてよぉ。やっと重要人物に接触したんだからさぁ」
「重要人物?」
ダルトンはオレを指差した。
「オレ?」
「そ。報告前に探してたんだ。おたくらが王城を逃げ出したあとのあたふたしてた騎士さんの中に、おたくらの人相に詳しい人がいてね。その人から聞いたのさ。あっ、その人には隠れてもらったよ。今ごろ、お腹を空かせてるだろうね」グビッ。
「しかし、すぐには――」
「うん、見つからなかった、城内はね。だから、もう外に出ているんじゃないかな、と思ったんだ。でも簡単じゃないよね。だけど勇者一行なら特別なスキルとかあるんじゃないかと考えた。勇者一行の中には大魔法使いがいるのはわかっていたから、なんかの魔法を使ったんだろうと思ったんだ。んで、外に目を向けた。黒目黒髪を探そうと思った次の瞬間、思ったね。王城のいろいろを盗んだんなら、あれもある、ってね。そう、髪と目の色を変える魔導具。あっ、それで思い出した。そろそろ魔石を替えた方がいいよ。消費は少ないとはいえ、常時発動型だから、もうヤバいと思う」
ゲッ! オレたちはすぐさま魔石を交換した。危ない危ない。
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