070【ダルトン再来】
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少し短いため、3話連続投稿します(1話目)
翌朝。ゆっくりと起きて、宿屋を引き払う。
門衛にカードを見せ、通してもらう。
少し離れたところで、荷物をしまい込む。馬車をスピードアップする。
「ねぇ、なんで急ぐのさ」
突然、どこからともわからない声が聞こえてきた。
馬車を停めるオレ。今日の御者の最初は、オレの番。じゃなくて……
「誰だ?」
みんなもまわりを確認。
「よいしょ、と」
上からオレのとなりに子どもが降ってきた。オレに向かって、ニッと笑む。
「あれ? おまえさん」
「知り合いか?」とランドルフがオレに尋ねる。
「顔見知り。確か、王都冒険者ギルドの食事処で会ったよな」
「偉いねぇ、商人の兄さん。そういうのが商売に繋がるのかな? 新人四人を護衛にするとは信じられなかったよ。しかも元S級冒険者のランドルフを奴隷にするなんてさ。すごいすごい」
感心しているが、軽い。
「たまたまだよ。それでなんの用かな?」
「ん? 仕事で来たんだ。ほい、ランドルフ」まるでランドルフの知り合いのように、小さな革袋を放る。重いもののような速さがある。
ランドルフが慌てて、空中で革袋を受け取った。
革袋の中を見て、眉間にシワが寄り、中身を取り出す。中から一枚のプレートが出てきて、ランドルフ自身のギルドカードを重ねる。淡く光った。今度は、プレートを耳に当てる。
しばらくのちに、耳からプレートを外し、客人を睨む。
「S級冒険者ダルトン、おまえの噂は聞いている」
「オイラ、有名? 困っちゃうなぁ」とうれしげ。
「サブ、コイツは、兄貴が寄越した。冒険者とは名ばかりの密偵だ。王城の異変に気付いて、いち早く情報を収集しに行っていた」
「なるほど。それで兄貴さんはなんだって?」
「勇者一行の本来の力を早めに引き出せ、と言ってきた。王城から暗殺者が放たれたらしい」
「暗殺者だと?」
「ああ。正確には“連れ戻せ”と暗殺者に指示が出たそうだ。そうすれば、奪われた金銀財宝の多くが戻ってくる、そう思っているんだろうな」
「そいつらは、オレたちの情報をどこまで?」
「わからん。ただ、五人組で、前に言ったとおりの人相書き。だが、暗殺者は、金で雇われたわけではない。宰相子飼いの奴ら、らしい」
「宰相? いたんだ、そんなヤツ」
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