007【エイジ視点――絡まれた】
冒険者ギルドに入る。オーソドックスな感じ。ドアは開け放してあるので、冒険者たちの視線がすぐに集中することはなかった。
入り口で中を見回し、窓口を見つけた。そこに向かって歩く。後ろにハルキ、キヨミ、マナミを引き連れて。
もうすぐ窓口というところで、大男がオレたちの行く手を塞いだ。やっぱりテンプレか。サブさんの指示通りになればいいけど。
「新人だな」と大男。黒い上下に緑の髪を後ろで束ねている。
「どいてもらえませんか?」
「先輩冒険者に対して、礼儀がなっていねぇな」とニヤニヤしている。
「申し訳ないが、先輩は必要ない」
「んだとぉ」と怒る大男。
オレは怖さを隠して、大男に胸を開いて見せた。
「これがわかるか?」と小声。
大男がオレの開いた胸を見る。固まった。良し。
さすが伝家の宝刀。いや、刀じゃないけど。オレの胸には、王家の紋章。キンピカに宝石でカラフル。結構、重い。
「わかるな。後ろにいるのは王女様だ。手出しすれば、どうなるか、わかるな。このことを誰かに話せば、追手を差し向けることになる。数日は黙っておけ」
オレはポケットから、一枚の金貨を取り出し、大男の右手を取り、金貨を載せ、自分の右手を載せて握手した。ふた回りはデカい手。
「ご忠告、ありがとうございます、先輩」と笑顔を見せて、手を離す。
それから踵を返して、窓口に向けて歩く。
窓口に到着して、冒険者登録をお願いする。登録用紙に記入を促されるが、代筆をお願いする。
サブさんいわく、文字は読めるが、書くことは練習しないと、まずいだろう、という。実際にノートに書いてみると、読めるかどうかというレベルだった。代筆が正解だ。
登録作業のあいだに、さきほどの大男は消えていた。よかった。
自分たちの実力がわからない状態で、絡まれて、対処できる気はしない。
「ところで」と窓口の人に「実力を加味してもらえないものですか?」
「はい?」
「たぶん、最初はランクが一番下で、スタートでしょ?」
「ええ」
「オレたちに実力があれば、ランクアップして欲しいのです。できませんか?」
「あると?」
「それなりに。ですが、正直、どれほどの実力があるのか、知りたくもあるのです」
「なるほど。上と相談してみましょう」
「お願いします」
四人で頭を下げた。
しばらくして、窓口の人が戻ってきた。
「昇級試験の実施をいたします。ただし、昇級の上限は、D級までです」
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