066【蹴りと喝】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(2話目)
一応、鑑定で調べる。
「大丈夫。生きてるよ。失神しているだけだ。水でもかければ、目を覚ますよ。それとも蹴飛ばすか」
「ウソでもやめとけ」
「それでコイツは、何をのたまっていたんだ?」
「聞いていなかったのか?」
「ああ。こんなホモ野郎といつまでも手を繋いでるわけねぇよ」
オレは鼻から、フンッと息を大きく出し、ギルマスを見下ろす。
それからランドルフからギルマスが言っていた内容を聞かされた。
オレは、ギルマスの横腹を力一杯、蹴飛ばした。
ギルマスが呻く。ようやく意識が戻ったらしい。クソッ、痛くもないらしい。上半身起こして、頭を振っている。
「オイ、ホモ!」とオレ。
「ホモ?」
ポカンッとするギルマス。
「おまえなんか、ホモで充分だ! オレは、ホモは、大嫌いだ! 近寄るな! 人のことをバカにしやがって! 男の尻が欲しいなら、ほかを探すんだな、ホモ!」
オレは、それだけ言って、執務室を出た。受付嬢がドアを開けてくれたので、オレが開ける必要はなかった。礼を言っておく。
オレはギルドの食事処のカウンターに立ち、銅貨一枚置き、エールを頼む。
置かれた木製ジョッキからゴクゴクとエールを飲む。
プハーッ、ドンッ!
クソタレがっ!
振り返る。
まわりの冒険者たちは、遠巻きにして、オレを見ている。昨日の参加者だ。
「オイ、テメェら。一般人に作戦立てられて、美味しいところを取られて、拗ねてるそうじゃねぇか!」
誰もが否定できないようで、目を伏せる。
「それでも冒険者か! あれをできるのはオレだけだったってだけの話だ! 村にオークが襲ってきたら大変なことになる! だからオレは手伝った! それだけの話だ! 違うか! 冒険者だろうが、一般人だろうが、関係ねぇんだよ! 殺らなきゃ殺られる! 違うか! だから殺った! それのどこが悪い! 言ってみろ!」
誰も反論しない。オレの剣幕に呆然としているのか、それとも反論を考えているのか。
「文句がねぇなら、オーク討伐成功をよろこべ! 危険が去ったことをよろこべ! 今日のエールがうまいことをよろこべ! そして、オレが奢る! よろこべ!」
懐から金貨一枚取り出し、見せつける。
静かだったホールに、だんだんと染み込む“奢る”の言葉とともに、よろこびの声が上がる。
フンッ、単純な野郎どもだ。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




