648【バロンケお披露目】
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今話は、短いです。
「次に」と宰相の声が続く。静まる観衆。「マクレガウス陛下がグラデウス国から連れてこられた魔獣をごらんいただきたい」
“魔獣”と聞いて観衆がざわめき出す。
「魔獣とはいえ、従魔であり、暴れる心配はない。安心せよ。では」と宰相がこちらを向く。
近衛兵に促される。
『行くよ』
『うむ』
バロンケとともに歩き出す。
バルコニーには、オレが先に出た。
オレの仮装を見た観衆がザワザワしている。
オレが振り返り、バロンケを手招き。
そのバロンケの姿を見た観衆が、一瞬、声を失った。そして、静かにどよめきへと変わっていく。
「こちらのテイマーは」と宰相。「グラデウス国でこの魔獣を使役して、祭事を行なう者で、国民から敬われておいでです」
こちらに一礼する宰相。
こちらも一礼を返す。
「今大会もその祭事の一環であり、今大会の上位競技者が望めば、この魔獣との闘いを行なうことができます。勝敗に関わらず、挑戦した者には賞金が与えられます」
どよめく観衆。
「なお、大会で体力もなくなった者が挑むのは愚の骨頂。それは祭事への冒涜となります。魔獣との闘いを望まずとも、今大会の名誉は与えられます」
そんなことを言われて、闘わないのは、それはそれで、あとで人々に笑われるのでは?と思わないでもないが。
宰相の合図で、その場を辞する。
ふたりの国王が待っていた。
「ご苦労さん」とジョージ。
「あとは任せろ」とマクレガウス。
そう、バロンケの世話は彼とメアリに任せることになっていた。
「ほんじゃ、行ってくる」
侍従に案内されて、選手控室へと向かう。
そのあいだに、仮装を外す。すでに選手としての格好を着ていたからね。
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