646【明日の準備】
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今話は、短めです。
部屋に戻ると、ソファーに身体を預けた。
「お疲れですか?」とマナミ。
「うん。試合をさせられた」
「試合?」
メイドさんが、お茶を淹れてくれた。お礼を言う。
「ジョージたちにハメられたんだ。行ったら、大会の予選会場でさ。木札を受け取ったあとに、それに気付いたんだ」
「それで大丈夫だったんですか? ケガはないようですけど」
「大丈夫。カスリもしなかったよ。いつもの訓練の賜物だね」
「よかった」
そこへ、ジョージとマクレガウスが入ってきた。
「お疲れ」とジョージが軽く言う。
「疲れたぁ」とダレた感じで文句を言う。
「なかなかの体捌きだったな」とマクレガウス。「相手の剣の捌き方もよかったぞ」
「なに、どこかで見てたのか、ふたりとも?」
「隠れてな」と笑うジョージ。
マクレガウスも笑っている。
「で? オレにも大会に参加しろって?」
何も言わずに、肩をすくめるジョージとマクレガウス。
「出てるあいだ、バロンケはどうするの? オレ、そばにいられないけど?」
「大会開会式までは、そばにいてくれ。バロンケを紹介せねばならんからな。そのあと、選手控室に向かえばいい」
「バロンケは?」
「本人に、見るつもりはあるのか?」
『バロンケ』
『なんだ?』
『明日の大会、どうする? どっちにしろ、一度民衆に紹介するから、出てもらうけど。そのあとは、見学しててもいいらしいよ』
『見れるのか?』
「見ようと思ったら、見れるの?」
「構わん。それでも特別な檻に入ってもらうことになるが。なに、バロンケが出ようと思えば、壊れる程度のものだ」
『なんか、見れるけど、檻に入らないといけないんだって。それでも大丈夫なら、見学できるって』
『檻か』
『すぐに壊れるくらいのものらしいよ』
『そうか。なら見たい』
「見たいって」
「檻の中でもいいのか?」
「いいって」
「わかった。手配しよう」
侍従長が侍従にうなずくと、その侍従はそっと部屋を出ていった。
『手配してくれるって。ほかに何かある?』
『特にない』
『わかった』
念話を切る。
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