064【討伐参加者たちとバキューム】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
少し短いため、3話連続投稿します(3話目)
オレの声に、顔を上げるギルマス。そして、オレの前にあるステータスを見る。すでに隠蔽は解いてある。
「わかった」ギルマスはうなずいた。「どこの場所からでも、奪えるのか?」
「少なくともバグラール国は奪えた」
「国境地帯はどうだ?」
「具体的な指示をしないと」
「そうか、そうだな」
何かあるのか?
「逆に聞きたい」とオレ。「どうして? 何を奪いたい?」
「国境地帯で侵略を受けている、のは知っているな」うなずく。「そこで闘っている者たちの中には、冒険者も多い」
「参加しているのか!?」驚きだ。
「そうだ。彼らの苦労を減らしたい」
「理由はわかった。しかし、両国の者たちから武器防具を奪ったら、魔獣にも対処できなくなるぞ」
「敵だけ、は無理か?」
「無理」
「だよな」
「あっ」と発したのは、オレだ。
みんながオレを見る。
オレの視覚には、どんどんリストアップされる武器・防具・魔導具などなどが。実はちょっと思い付いて、バキュームしてしまったのだ。
思わず笑ってしまう。
リストアップが終了。
ふぅ、と吐息を吐き、ギルマスを見た。
「こんなのどう? バグラール国の兵士の武器防具を奪う、っていうのは」
「国境のか?」
「うんにゃ、バグラール国全土の」
固まるギルマス。
「まぁ、許しがなくても、もう終わってるけどね」
プッと吹いたのは、勇者一行の四人。それから笑い出す。大笑いである。
何が何やらわからないギルマスとランドルフ。
「終わってるって、どういうことだ?」とランドルフ。首をひねっている。
「もうバキュームしたあと、という話だよ。戻せ、とか言わないよな」
「言わないが……えぇぇ!?」
おっ、やっと理解できたか。
「いや、待て!」とギルマス。「バキュームってなんだ?」
「オレの固有スキル。あちこちから奪うスキルだ。この国やバグラール国の王城からいろいろと奪った能力ね」
「わかった。で、それを使った、と?」
うなずく。
「バグラールの国中から?」
「国に関係なく、バグラール国の兵士たちからね」
「どれだけの量を?」
「ううん……あの国の国民の数のざっと五倍くらい」鑑定で、バグラールの国民数を調べた。脳内鑑定ができるのは、ありがたいね。って兵士、多くない?「あっ、剣だけでね。ほかにも盛りだくさん奪ったよ」
四人は、ようやく収まりかけたところに、油を注いでしまったらしく、また大笑い。若いなぁ。
「それだけの数をどこに?」
「アイテムボックス。マジックバッグの上位版みたいなものですよ」
「聞いたことがある。確か、勇者が持つとか」
「勇者召喚されたら自動的に付与されるらしいね」
頭を抱えるギルマス。ランドルフはすでに知っているので、耐性がある。たぶん。少なくともギルマスのようすを見ている。ん? 楽しそうに? あっ、これは、他人の不幸は蜜の味ってヤツか。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。励みになりますので(汗)




