表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

636/648

636【シコリ】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 メアリは、あのあと起こされ、自室へと引っ込んだ。



 翌日。

 目覚めると、彼女からの謝罪があった。ゆうべの時点で、すでに謝罪されたのだが。

「謝罪を受け入れる」

「ありがとう存じます」


 朝食をして、お茶休憩。

「メアリ」

「はい」

「あとから、国王陛下からも話が出るかと思うが、君はバロンケ様の付き人となる」

「はい、伺っております」

 侍従長を見ると、うなずかれた。すでに話はしてあったようだ。

「なぜかは?」

「わたくしが、魔獣を恐れないから」

「うん。だが、正確には違う。バロンケ様に言わせると、君は特別な存在なんだそうだ」

 首を傾げる彼女。

「特別?」

「巫女というのは、わかる?」

「神様に仕える方々の中の女性、でしょうか? 修道女のような」

「だいたいそんな感じだね。ただ、ここでは神様ではなく、聖獣に仕えるというのが違いかな。君は魔獣を怖がらないだろう?」

「はい。自分でもなぜなのかはわかりませんが」

「それが巫女だとバロンケ様は言うんだ」

「はぁ」

「だからといって、意思疎通は限定されているし、しばらくはそばにいて、世話を焼く程度の話になる」

「はい」

「これまでで、何か気になることは、あるかな?」

 彼女は、少し考えると、ひとつうなずいた。

「バロンケ様の腰のところにシコリがありました。気にはなさっておいでではありませんが。少し気になりまして」

「シコリか」

 バロンケのところに行く。

「バロンケ、腰のところに何かあるって、メアリが言っているんだが、心当たりはあるか?」

『どこのことだ?』

「メアリ、どこ?」

 メアリがバロンケに、失礼いたします、と言って、その腰のあたりを探す。

「ここです」

 メアリが示したところは、左腰のあたり。

『ああ』とバロンケ。思い出したようだ。『まだ、魔獣だったころに人間と闘ったときのものだ。よく見つけたな』

「まだ聖獣になる前に、人間と闘ったときのものだそうだ。変わってくれ」

「はい」

 彼女と変わり、その部位の魔力の流れを見る。うっすらとしかわからないが、何かあるのがわかる。だが、問題になるほどのものには見えない。

 鑑定さんで見てみる。金属製の小さな玉。何を使ったのか?

 思い当たるものをアイテムボックスから取り出す。

「バロンケ、その人間のひとりは、これを使っていなかったか?」

 それを弓の弦のように引いて見せる。

『よく似ていると思う』

 それは、スリングショット。俗にパチンコとも呼ばれる。

「たぶん、腰に入っているのは、これだ」と弾を出して、見せる。

『なるほど。当たったときにかなり痛かったし、キズにもなった』

「だろうね。毒を塗る場合もあるけど、痺れとかはあった?」

『痛みはあったが、痺れはなかったな』

「ふむ。しかし、毛皮の上から貫通するとは信じられないな」

 そう、バロンケの毛皮は、そんな弾丸を簡単にとおすようなものではない。むしろ、衝撃が減り、肉に到達する前に、力を奪われ、弾かれてしまうだろう。せいぜいアザになるくらいだ。

『魔力を込めて使っていた。そのせいだろう』

「魔力を? 弾に魔力を込め、打ち出すのか」とその方法を考えはじめる。だが、すぐにやめた。「おそらく、魔法の付与を行なうんだろうな。知らんけど」

 付与なんて、マンガでしか知らないからな。この世界では、聞いたこともない。

「それで、どうなのでございますか?」とメアリ。

「あぁ、大丈夫。この玉に似たものが入ってて」と弾を見せる。「それは悪さをしていない。安心していいよ」

 ホッとするメアリ。

 本来ならば、体内に残すのは、金属の毒があるので、取り出すべきだ。昔は、弾丸が体内に残り、鉛毒で次第に病んでいくと聞いたことがある。

 しかし、鑑定さんによると、そうした毒はなく、体内にあっても平気なのだそうだ。だから、無理に取り出す必要もない。

 本人も気にしていないようだし。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ