表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

634/648

634【国王ふたりとの夕食】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 そういえばと思い、侍従長に話し掛けた。

「すまないが、国王陛下に確認をお願いしたい」

「はい」

「仲間への連絡は、どうなっているのか、と」

「畏まりました」とそばに侍従に指示する侍従長。

 侍従長は、人を使ってなんぼのものなのだな。うん、知ってた。

「いまさらだが」と問う。「バロンケ様が怖くないのか?」

「正直に言えば、怖いです。しかし、メアリがあれであれば、問題はございません」

「なるほど」

 変な意味で、彼女は信頼されているんだな。


 その後、さきほどの侍従が戻ってきて、侍従長に報告する。

「サブ様、お仲間には、宿泊することを伝えてあるそうでございます」

「ありがとう」

 そうだよね。こんな案件を持ち帰らせないよね。はぁ〜。


 しばらくは、部屋を整える侍従やメイドさんたちで、忙しなくしていた。


 その後、中庭では、バロンケの身繕いをメアリとほかのメイドさんたちでしていた。長年、ひとりだったこともあり、バロンケの体毛はかなり汚れていたようだ。

 メイドさんたちも、メアリのおかげでバロンケを恐れの対象ではなく、客人として扱っているので、バロンケもよろこんでいる。


 侍従長から、ふたりの国王が夕食に訪れると知らされた。

 すぐに支度がされていく。

 オレに拒否権はない。まぁ、拒否するつもりもないが。


 ふたりが部屋を訪れたのは、こちらの準備が終わって、十分ほどしてからだった。

「お邪魔するぞ」とジョージ。

「どうぞ」と迎える。

 ふたりのほかに、当然護衛が付く。

「バロンケ様のようすは、どうだ?」

「みんなのおかげで、よろこんでいるよ」

「そうか」

 ふたりが中庭のバロンケのようすを伺う。

「ほぉ、毛艶がよくなったな」とマクレガウス。

「メイドさんたちが、きれいにしたからね」

「この部屋のことは、どのように?」とジョージ。

「狭いが、中庭にいれば、大丈夫だろう。ずっとは無理としても」

「そうか」

 ホッとしている。


 食卓に三人で座る。まずは食前酒のワインをいただく。それから料理がひと皿ずつ出され、食べていく。

「そういえば」と口を開いたのは、マクレガウス。「サブは、何級だ?」

「Bです。従魔が強いので、ほぼ強制的に」

「確か、ケルピーとホワイトタイガーを二頭ずつだったか」

「ええ」

「詳しく教えてくれぬか」

 ジョージに確認すると、すでにオレのことは話してあるそうだ。

 なので、テイムした経緯を話して聞かせる。

「変わっているな。ふつうは魔獣を屈服させてのテイムなのに」

「そうらしいですね。魔獣と話せるというのが大きいのかも」

「そのおかげで、バロンケ様との仲介をしてもらえた。助かる」

「いや、それは違います。オレも最初は、それで話そうと思っていましたが、バロンケ様からの念話があり、驚いたのですよ」

「そうなのか」

「ええ。その前に鑑定されましてね。隠蔽していたのに、看破されてしまって、それに驚いていたら、念話で話し掛けられたんです」

「念話が通じるのがわかった上で、念話をしてきたと」

「はい。本来は、従魔とのつながりだけのはずだったんですがね」

「まぁ、相手が聖獣では、それも仕方あるまい」

 食事は続く。

「サブが」と口を開くジョージ。「言っていた大会での件だがな、そのまま採用することになった。明日、発布する予定だ」

「上位者のみが、闘う権利を有する」とマクレガウス。「例え、負けても、挑戦した者にはそれなりの金子を与える。もちろん、バロンケ様から“参った”と言わせたら、大金を出す」

「なるほど。ところで聞いてもいいかな?」

「ん?」

「なんでそんなに大金を掛けられるの?」

「あぁ、知らないのか。我が国は、ミスリル鉱山を抱えているのだ」

「グラデウス国は、あちこちの国と交渉していて、金持ちの国なのだ」

「だからといって、それだけに頼っているわけではないぞ。我が国特有の産物も売っていて、それぞれの国からのさまざまなものを買い入れたりしているのだ」

「そういうことか。でも、なんでゴウヨーク国で大会を? 自国でやればいいんじゃ?」

「海を渡らねばならぬし、我が国に冒険者はおらんのだ」

「へっ?」

「みな、冒険者ではなく、兵士となる。そのため、冒険者ギルドもない。商業ギルドがあるのみだ」

「狩人もいないの?」

「いや、狩人はいる。兵士を辞めた者がなることが多いがな」

 なるほど。地元の狩人ならば、素材採取は地元に還元するのがふつうだ。冒険者も冒険の旅に出なければ、それと同じようにする。

 しかも兵士を辞めた者ともなれば、基礎戦闘技術を持っているから、ある程度の魔獣なら討伐できるだろう。できないとしても、ある程度抑えておける。そのあいだに、人々を逃がせる。

「我が国は、徴兵制を敷いていてな。教育とともに鍛錬を課す。別に戦争をしたいとかではなく、魔獣も多いので、その対応策としてだな」

「なるほど。基本的なことを教えておけば、いつでも魔獣相手になるということか」

「それだけではなく、出会いの場でもあるのだ」

「男女の?」

「それも含めてだな。辺鄙な土地では、相手もいないだろうし、友人も少ない。両方を得られれば、何かあっても助け合えるからな」

 良さそうだな。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ